壁越え
会長視点。
驚きだね。寮の前で会ったのは偶然。それで思わず見つめたら、急に身を翻して逃げた。
壁沿いにすこし逃げると、高い壁をひらりと越えて見せた。
……なんというか、ほんとうに綺麗だったな……。
思わず感慨にふけってると、後ろから佐藤と渡辺さんのクラスの女子が一緒に来た。……どうやら佐藤も渡辺さんについて調べてくれていたみたいだ。
「すっげー。お前が一目惚れしたってのも頷けるな……」
「……渡辺さん、ずっとこれを隠してたんですね……」
さすがに呆然としてるね。
「まあ、それで目だってストーカー被害にあって、回りに迷惑をかけたから、隠してるそうだけど、勿体ないよね」
二人とも頷いてる。そうこなくちゃね。
「というわけで、僕のことはともかく、渡辺さんの本性を知らせて、その上で渡辺さん守れるように手を借りていいかな」
「もちろん」
「これは、他の人たちも知るべきです!」
……予想外だけど、彼女は渡辺さんのファンになっちゃったかな?
「とりあえず、作戦を練ろうか」
僕はふたりを連れて、この場は離れた。
リコ、ファンげっと。
会長本人はリコを追いかけるつもりですが、本性を回りに知らせるための根回しも開始してます。




