失われていく日常
翌日、マシロはラスク達にクロエと姉妹だという事を説明した。 流石に記憶云々は伝えなかったが二人とも驚愕の色に目を染めた。
「はっはっは! まさかクロエとマシロが姉妹だとはなぁ。 驚いたなあラスク?」
「ああ。 まぁ色々あったけどよろしくクロエちゃん」
「ちょっとラスクさん。 ちゃん付け止めてくれないかな? マシロ以外だと気持ち悪いんだけど」
そう抗議するクロエだったがラスクは笑って流した。
「ははは。 別に良いだろ? 俺らは仲間みたいなものだ」
「……仲間ねぇ。 色々あったって、何があったのか説明してもらおうかしら?」
意地悪く笑うクロエ。ラスクは考える。唸りながら顎に手を乗せている。
「うー……ん、何があったかな」
それを聞いたクロエはラスクを嘲笑するかのように笑う。
「はんっ! 碌に思い出せもしないくせに良く仲間だなんて言えたわね!? 言っとくけど私はあんた達と馴れ合うつもりは無いから。マシロといれればそれでいいからね」
クロエはそう言うとマシロの手を掴んでラスク達から離れるようにあとにした。ラスク達は追い掛ける事が出来なかった。
「ちょっとお姉ちゃん!! 何でラスクさんに意地悪するの? 私が言うのもなんだけど、あれはないんじゃない!?」
クロエから手を振りほどいたマシロが憤慨するように言った。 それを聞いたクロエは鼻で笑う。
「ふんっ、別に本当の事でしょ? 私は質問したの。それに答えられずに仲間面されても困るって訳。 それに、マシロの力が覚醒した今あの人達に用はない。廃人化してく人達なんだ。私には関係のない事」
「〜〜〜〜っ!! お姉ちゃんの馬鹿!!」
マシロが叫び扉を乱暴に閉める。その音に少し身体を震わせたクロエだが、あのマシロの様子ではまともに取り合ってくれそうもないのは明らかだった。
「……。流石に言い過ぎたよ。ごめん」
自室に閉じこもったマシロに謝り、クロエはその場を後にする。それを扉越しに聞いていたマシロは声を押し殺して泣いていた。悔しくて仕方が無かったのだ。誰だってあんな言い方をされれば激昂する。
「っ、ひぐっ、うぇ……うぅぅ……」
悔しさと共にクロエと出来てしまった溝を埋められないかと考える。その夜、マシロは一睡もせず泣き明かした。




