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任務を終えて

「マシロちゃんお帰り。あれ?一人?ライズはどうしたの?」


  ラスクが声を掛けてくるがライズが居ないのを不思議に思ったのかライズの居所を聞いてきた。


「何か、魔物の死体処理って言って私一人で帰らされました」


  マシロが淡々と言う。それを聞いたラスクはワナワナと拳を震わせ額に青筋を浮かべていた。


「あの野郎……女の子を一人で帰らすような真似しやがって……俺が直々に裁いてやる」


(後が怖そう。まぁライズさんの自業自得ってやつね)


  マシロはラスクに怒られてるライズを想像するとクスッと笑った。 直ぐにハッとした表情になり口を手で押さえる。


「大方、ライズの事でしょ? マシロちゃん分かりやすいからね」


「うぅ……」


  恥ずかしいのかマシロは顔を赤くして俯く。


「まぁ良いけどね。それがマシロちゃんの個性なんだから。よーし、ちょっとここら辺の掃除は僕がやっとくから部屋でゆっくりしてて良いよ。初めての任務で疲れてるだろうし。自覚が無くても身体は疲労してるから休んでてね!」


「あ、分かりました。ありがとうございます」


  マシロはラスクに向かって頭を下げると階段を登って自室へと入っていった。


「さて、居るんだろ?ライズ……」


  座ったラスクは、ため息を吐きながら言葉を出す。その言葉の後にラスクの真後ろにライズが姿を現した。


「あらら、バレてたか」


「魔力がダダ漏れだ。見つけてくださいって言ってるようなもんだぞ。で、どうしてマシロちゃんを一人で帰した?何か理由があったにせよ一人で帰らせるのは感心しないなライズ」


  少々ご立腹のラスクにライズは少し後ずさってしまう。額に汗を浮かべ顔も引きつる。

 ラスクの身体から殺気が滲み出ていた。


「おいおい、その殺気をしまえ。俺が悪かったけど、気になることがあったんだ。誰にでも人懐こい性格のミストキャットがマシロにだけ異常な程怯えてたんだ。こけ脅しの威嚇までしてたけど意味は無かった。あの怯え方は尋常じゃなかったぞ。断末魔も相当なもんだったよ。あいつには……マシロには何かがあるはずだ」


  いつになく真剣なライズにラスクは眉をピクリと動かす。ライズの言葉にも何処か引っかかった。


「何だと……? マシロちゃんの姿を見た途端に奴が怯え出したのか?本当ならあり得ない事だぞ。あいつらミストキャットは分け隔てなく誰にでも懐く。初対面でも、だ。人を油断させるのが上手いからな。マシロちゃんに怯えた……か。お前の言う通りマシロちゃんには何かあるはずだとしても、手を出すなよ……」


  ラスクの言葉に今度はライズが眉を動かした。


「……クロエの言ってた力の覚醒か? 仮にあいつの言ってた力の覚醒が本当だとしよう。俺らにも手の負えない力だったらどうする!? 現にクロエにすら俺たちは手も足も出なかった。違うか!? 別に殺したりしないし手を出すつもりもねぇ。あいつの力が覚醒したとしてあいつとどうやって付き合っていけばいい!?」


「……ライズ」


  ライズの言葉にラスクは顔を歪めた。仮にクロエの言う通りマシロの力が覚醒したとする。その力は自分達より上かも知れないし下かもしれない。それは誰にも分からないがラスクはマシロに対しての考えを変えるつもりは無かった。


「確かに覚醒するかも知れない。だがしたから何だ?マシロちゃんはマシロちゃんだ。

 俺らがそんな過敏になったってどうしようも出来ない。態度を変えたってどうしようも出来ない。いつも通りで良いんだよ」


  悟すようにライズに話し掛ける。ライズはそれに何も言い返せないのか、黙っていた。

 すると暫く黙っていたライズが口を開いた。


「すまん……今のは忘れてくれ。

 俺が悪かった……ちょっと頭を冷やしてくるわ」


  頭を下げるとライズは踵を返してギルドから出てった。そんなライズにラスクは嘆息をつく。


(やれやれ、あくまで仮定の話だってのにあいつ……。クロエの言った事はハッタリかも知れないのにな。困った奴だよ)


「しかし、力の覚醒か……。クロエに聞くのが一番良さそうだな。マシロちゃんは知らないって言ってたし。問題はクロエが何処にいるのか、だな。俺の探査結界でシラミ潰しで探してみるか」


  ライズは一人呟くと納得したかのようにスッと立ち上がるとマシロの部屋を一瞥する。


(一番の謎はマシロちゃんの力だな。どんな力で何の能力なのか……。まぁそれもクロエに会えば分かる事だ。焦る事はないな)


「マシロちゃ〜ん。ちょっと出かけてくるねー。何かあったら他のギルドメンバーに言っといて!」


「はーい。分かりました〜」


  ラスクがマシロの部屋に向かって声を掛けるとすぐに言葉が返ってくる。それに幾度か安堵したラスクはギルドの扉を開けて出て行った。クロエを探すために。マシロの手掛かりを求めるために。淡い期待を胸に一人でラスクは行く。


「待ってろよクロエ。俺が必ず探し出して全て聞いてやるからな……」


  言葉を噛み締めるように呟くと瞬間移動でその場から消えた。

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