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パラレル・繋ぐ者

retake.1

「さぁーて、そろそろ片付けんと支部会議に間に合わんな。弥重、お前も出席しろ。とっとと準備してこい」

「一介の高校生を大人の話し合いに連れ込むつもりですかー? 僕この間誕生日きて、やっとこさ十六になったところなんですよー?」

「現場を見ているお前の意見が聞きたいのだ。歳に見合わんその考え方もな」


retake.2

「……弥重。さっき言ってたコンビニプリン、商品名を教えろ。買ってきておいてやる」

「わーい。ありがとうございます」

 凪は一つの写真を司令官に送信する。

「リアルな絵だな。地面に描いてるのか」

「ええ。りゅーちゃんから送られてきました。未来が描いたらしいですよ」


retake.3

「……ところで、文字。絶対にバレないって言ってなかったか?」

 ギクッ

「……バレないと思ってましたもん」

「絶対大丈夫だーって言ってたからお前を信じて賭けてたんだぞ? どうしてくれる」

「人の師弟関係で賭け事をするのはやめてください? 司令官の悪いクセですよ」


「……で、何を賭けていたんです?」

「ずっと飲んでみたかった高級紅茶だ」

「それはごめんなさい」

「良いさ。手に入ったから」

 ガサッ

「? 負けたら紅茶ですか?」

「いや、勝ったらだよ」

「……信じてないじゃないですか、僕のこと」


 つまり最初から凪には賭けていなかったというわけだ。


retake.4

「チームのやつも連れて行っていいぞ」

「いいんですかー?」

「ここしばらく休んでないだろう。ついでに休んでこい」


retake.5

「重い話をしたすぐに電話を終えてしまえばその感情を引きずったままになる。つまり、バレやすくなる」


 司令官は笑う。だから電話を長引かせようとしたのだろうと。


「……僕は、そんな優しさ持ち合わせていないですよ」


retake.6

「待て弥重。チームの二人も連れて行け」

「? 僕一人で問題ありませんよ?」

「阿呆。暫くまともに休んでないだろう。頑張ってくれるのは非常にありがたいが、二人に任せてちょっと休め。お前に倒れられたら私が困る」

「そんなヘマはしませんよ」


「でも、ありがとうございます。お言葉に甘えて」


retake.7

 支部会議。各都道府県の司令塔が集まって死人に対する報告やこれからの動きを論議する場とあって、とても重要な会議であるのだが、凪はこれがどうも苦手だった。

 理由は今口にしたように、周りから見れば単なる子どもであるから。

 忙しい司令官の代わりに出席する場合も多く遠征で全国各地を飛び回っているために、顔は認識され、その手腕も認められてはいたが、各県の代表から見れば三十歳以上年下になる。そんな若輩者が司令官の代わりなど務まるものかと、業務ストレスのはけ口として言葉で嬲られることも少なくなかった。


(まあ今日は司令官がいてくれるし、今回は大丈夫かな)


「嬉しそうだな?」

「ふふ、ごめんなさい。でも……あそこだけは本当に、嫌いなんですよ」


retake.8

「ありがとう。気をつけてな」


 突然の真っ直ぐなお礼の言葉に、凪は目をまん丸にする。

 数秒頭がフリーズして動けなくなってしまったが、頬が少し熱くなるのを感じて

 そんな彼に安心する凪は微笑を浮かべ、「では、また」と短く言葉を残し、瞬時にその場から消え去った。

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