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死人の巣窟


「……静かですね」


館内。ガラス扉を引いて入ってから、通路を進む。


「いくら静かでも死人の気配が充満してる。警戒して」

「はい」


異様な静けさにより一層警戒する。

俺を戒める凪さんは一番前を歩く。

その後に流星さんと湊さんが続き、一般人の結衣博士と非戦闘員の国生先生、未来のを守るようにユキさんと俺がその後ろを歩く。


通路の最後、自動扉になってるらしい扉のセンサーにかからない位置で、凪さんは足を止めた。


「──臨世がいる」


耳を疑った。


「ダミーだけどね。奴に分身を作るような能力はないから」

「んな面倒くせぇこと誰がすんだよ」

「さあね。でも想像するのは簡単でしょ」


流星さんへ答えた凪さんは、●に笑った。


「先回りするのは、奴らの常套句ってわけ」


言った瞬間、扉の向こうが爆発した。


「【(いと)】」


凪だけで終わらせる



「なっ……!」

「焦らない。戦闘準備」


バリィンッ! 風圧で割れた扉はガラスを飛ばす。

落ち着いた凪さんの【(いと)】が一気に細かく編み上げられて防壁に変わる。ガラスから守られる。


「奴と対面する前に、ご挨拶といこうか」


「タクト」


防壁から変形、虎型になりその爪が先へ行く。

前衛が動く。


「【シェフの拘り】」


鍋と火。飛び込んできた化石標本の死人が湊さんの作り出した鍋へ頭から突っ込む。

水が周囲に飛ぶ。


「湊。あんまり補間が効かないことはしないでね」

「あははぁ〜。心配しなくても、正しく過ごす標本には手は出さないよ。ただ……」


にや、と笑う。


「美味しいお出汁が取れそうだね。鶏ガラちゃん」


煮込まれ、その形を失った化石標本は液体と化し固まっていく。

拘りの一つ三徳包丁がそれを切って一口大の出汁キューブが完成した。


「うげ。死人でとった出汁とか、不味そう」

「実はそんなこともないんだなぁ。流星にもあとで作ってあげる。死人の味噌汁、美味しいよ?」

「やめろやめろ。」


「隆君、未来ちゃん。息を止めて」


その意味を、すぐに理解する。

俺と未来は息をめいっぱい吸ってから止め、両手で口と鼻を覆う。

何も持っていなかったはずの手。人差し指と中指の間に生み出されたたばこを咥える。


「──【侶伴りょはん】」


細く白い煙が、何倍にも伸びてひとりでに館内を飛び回った。

煙に当たるというよりは、その近くにいる死人がぴくりと反応して、そしてこちらを見る。

虫の標本らしいその死人が、ぬっ……と、巨体をこちらへ近付かせた。


「凪。人形ドール追加、二体」

「了解。後衛配置で守備強化。りゅーちゃん前衛においで」

「はい!」


あまりにも淡々とした流れで呼ばれる、


バラバラとガラス玉が落ちてきて、気配が完全に消えた。

いったい何体いたのか。数える暇もないほど戦闘は早く終結した。


「……で、先回りってのは?」



「産月だよ。まじないとやらで隠してるのもそうだし、手がかりになりそうな臨世の殺しを企てたんだろう」


「……ま、奴がこの程度でやられるなら、僕も取り逃したりしないしユキが無茶することもなかったわけだけど」


臨世がいる展示部屋は、通れないほどの吹雪に覆われていた。

凪さんが屈む。

指先に光を灯し、床に線を描いていく。


「【(おぼろ)げ】」


「どいて」


晴れで、吹雪をどかした

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