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初めての依頼。


「ん~・・・。あれ?カナ?いねえっ!!カナが居ねぇっ!?」

というウェインの叫びにより、

「本当かっ!?どこだ!?」

「んだとっ!?探せ!」

ウェイン・アルド・グレンの3人が直ぐに臨戦態勢に入った。


突然の事に驚き、心臓が止まりそうな上に動けない私。

だって、今、トルーノの寝顔をこっそりと覗き見ていたところなので・・・。

気まずいというか・・・。

そんな中、目の前の布団の中から冷静な声がした。


「いや、おひぃさんはここにいるから落ち着け、お前ら。んで、おはようさん、おひぃさん。どうした?他の奴らが起きなくて心配になっちまったか?いつもはウェインが起こすからな。驚いて俺のところに来たのか?」

と、何だか《分かってる》という雰囲気で助け舟を出してくれたトルーノ。

トルーノには全てばれているようなので、後で寝顔を盗み見ていたことは正直に謝罪しようと思います。

取り敢えず、今はトルーノの話に乗っかります!


「あ、うん!そう!いつもは私が最後なのに皆起きてないし、その、あーっと、そう!お酒が体に合わなかったのかもって心配に・・・。そうだよ!皆、二日酔いとか大丈夫!?私、そこまで考えてなかった!お酒が体に合わないとかあるよね?大丈夫?」


私はお酒を飲んだことないので分からないが、体質的に二日酔いや気分が悪くなることもあるかもしれない。

昨日、皆はけっこうガバガバ飲んでたから一気に心配になるが、

【大丈夫だ。】

と全員から即答された。

清酒もワインも身体に問題が無いみたいで良かった。

喜んでもらえたし、今後も定期的に出そう。


「いやー悪ぃ。居ねぇからビックリしてよ。周り見てから叫びゃ良かったな。すまん!」

と、皆に謝罪しているウェインに

「良い。むしろ、カナちゃんがいない事に気づいて直ぐに叫んだのは褒めることだ。もし、本当の襲撃の場合、周囲を見てる間に倒されたらカナちゃんは間違いなく連れてかれる。良くやったな、良い判断だぞ、ウェイン。」

と、ウェインを褒めるアルド。

グレンは大声で起こされたことに最初は少し不機嫌そうだったけど、アルドのその説明を聞いて、

「そうだな。よくやった、ウェイン。お前、本当にそういう勘と反射は1番だよな~。」

とウェインを褒めた。

それを聞いたウェインは嬉しそうである。

流石、素直な大型犬という渾名(私の心の中だけの命名)が似合う男、ウェイン。


「皆、おはよう。ごめんね。朝から驚かせて。」

私からも謝罪しておく。

寝顔見るのに集中してて、皆が襲撃と勘違いするとか考えなかった。

緊張感が無くて申し訳ない。


【おはよう。気にしなくていい。それより、腹減った~。】

と、皆は挨拶をして各々、着替えを手に取った。


「着替えの幕張るから、手伝えー。」

というアルドの声に倣って、ウェインとトルーノが幕張の手伝いを。

グレンと私は昨日の酒盛りに使った食器を洗う。

時々、横であくびをするグレンが猫みたいで可愛い。

あっちでは、ウェインがトルーノに【オレ、凄いか?トルーノもそう思うか?】って聞いてて、可愛い。

それを呆れたように笑いながら【凄い。凄い。そっちちゃんと伸ばせ。】と指示を出すトルーノも、【偉いから弛ませるな。】と注意するアルドも。

このまったりとした《家族の様な空間》が好き。

そこに混ざれてる私は幸せ者だな~。

と、幸せを噛み締めていると。


「なんか嬉しそうだな?今日は依頼をこなす予定だからな~。浮かれてんのか?ん?ん?」

と、少し意地悪な顔で聞いてくるグレン。

「んーん。幸せを噛み締めてた。でも、今日の依頼も今から楽しみ!狩りも採集も歩きながらしてきたけど《依頼》ってい責任ある状態では初めてだもん。緊張もするけど、皆がいてくれるから大丈夫だよね。」

うんうん、大丈夫。

言葉にしたらやっぱり緊張よりも楽しみの方が強い。

皆が傍にいてくれると思うと集中して行動できそう。

いざという時、この前のワイバーンの時みたいな場合は迷わずに魔法使おう。

んで、間近な人間の記憶塗り替えていこう。

そうしよう。冒険者だから怪我するのは仕方ないとは思うけど、命に係わる事態になったら話は別だ。

オッサン達優先で行こう。

よし、腹もくくったし、さっさと着替えてご飯の準備だ!!


「・・・・相変わらず、とんでもねぇ爆弾落としやがるなぁ~。」

というグレンの言葉を筆頭に、カナが着替えている幕の外で、幕に背を向けて素早く着替えるオッサン達は全員、頭を抱えていた。

「突然、さらりと、だからな。」

と嬉しそうにも困惑の表情のアルド。

「外では言動に気を付けさせねぇとな。嬉しいがな・・・。」

と、照れた様子のトルーノ。

「外では女王様モードでお願いしようぜ。オレ、あっちも割と好きだから。」

と、優しいことを知っているからこそ女王様でリードしてもらうのも良いと頷くウェイン。

「お前、割と尽くす派だったのな・・・。お、終わった。よし、解散。飯作るぞ。」

と驚いたような声を出しつつも、カナの着替えが終わったことに気づき、即座に食事用の準備を始めるグレン。


グレンとカナが食事を作り、

トルーノ、アルドは今日の予定、詳しく受ける依頼の選定(ギルドで直ぐに決められるように、今のうちから大体の内容を決めておく。)

ウェインは武器の手入れをする。


そんなこんなで朝食完成。

今日もお肉をメインに、大量のお米と汁物、副菜も充実。

元々はお米を食べる習慣はなかったらしいが、『腹持ちが良い』『肉に合う』などの理由から、今では毎度の様に食卓に上っております。

【いただきます!】

みんなで美味しくモグモグ。

嬉しそうに食べてもらえるの、本当に嬉しい。

作ったご飯は全てペロリと平らげ、皆で【ごちそうさま】して。

皆が準備している間に、トルーノに

「さっきは寝顔見ててごめんね?みんなが寝てるの珍しくて、つい。助けてくれてありがとう。」

と謝罪。

「ん?ああ、気にしなくていい。今度は他の奴らの寝顔も覗き込んで驚かしてやれ。」

と、いたずらっ子みたいな顔で答えるトルーノ。

か、可愛いっ!!

無邪気な笑顔のオッサン、可愛い!!寝顔を含めて、朝から色々ありがとうございます。

さてさて、上機嫌の状態で冒険者ギルドへ出発!!



宿を出た時からそうだけど、相変わらず視線が痛い。

周囲をオッサン達が囲んでくれてるから直接見られてる感少ないけどね。

にしても、本当に当然の様に私を護ってくれるオッサン達に胸がキュンキュンする。

そんな風にふとした事にトキメキながら冒険者ギルドに到着。

ここから私は《女王様モード発動!》

皆で依頼ボードを見る。


「ん、これかな。とりあえず、お嬢ちゃんは依頼に関しては初心者だからな。ゴブリン退治と薬草の採集だけにしよう。」

と、予め決められていた台詞を告げるアルド。

受ける依頼は既に決めているけど、依頼の内容を他のものも色々と見ておく。


そして、受付のカウンターまで皆で集団で移動。

カウンターは初めましてのオジサン。


「私のパーティーでこの依頼を受けるわ。手続きして頂戴。」

と、緊張しながらも《女王様モード》で話しかける。

オーラ的には《さっさとしてよね》を全開にしております。


「え...あ、はい!すぐに!あっと、そちらにいらっしゃるオッサン共と一緒で宜しいので?」

と、受付のオジサンは用紙を受け取りつつも皆をみる。

「なに?文句でもあるの?私はこの人達と登録してるんだけど?良いから、さっさと受理してよ。行くの遅くなるじゃない。」

と、少しイライラした様子を出しながら急かす。

オジサンは後は何も言わず、黙って作業してくれてた。素早い動きで。


そして、周囲の注目を集めながらも、無事にギルドを脱出。

後は森に向かうだけ。

けど、その前にぞろぞろついてくる奴らを何とかしないと。


「ちょっと、何なのよ?鬱陶しいわね。あっち行きなさいよ。私は今から狩に行くんだから、邪魔しないでくれる?ほら、とっとと失せて!!」

と、追い払うジェスチャーと共にやってやると、見える範囲でついてくる人間はいなくなった。

が、しかし


「何人かはついて来てやがるな。何か問題が起これば助けに入って【守ってやった】とかいうつもりだぜ、アレ。」

と、嫌そうな顔をするグレン。

「まあ、嫌ではあるが仕方ねぇな。直接話しかけてこねぇ分、まだまともだ。今日はゴブリン退治と薬草採集だけだからな、周囲を囲んでカナちゃんに採集、狩りをさせてギルドに持ってくまでの練習って事で良いだろ。あんまりカリカリすんな。」

と、アルドは冷静にグレンに声をかける。

「おひぃさんは採集と狩りに集中だ。周囲の警戒も忘れるな。俺達がいないものだと思って、一人のつもりでやるんだ。良いな?」

と、トルーノからは注意される。

「分かってる。頑張るよ!サポートお願いね。」

と皆にお願いして行動開始。


まずは薬草採集から。

周囲から攻撃を受ける可能性もあるので、警戒もしつつ、目を皿のようにして薬草を探す。

アルドに教えてもらった薬草の特徴と採取方法を何度も反復しつつ、探す。

すると、斜面に群生しているのを見つけた。

取りつくすのは禁止なので、きちんと考えて採集する。

根本から、葉を傷つけない様に注意しながら採集しているとガサガサと大きな音が聞こえた。

採集に集中してしまったため、大きな音に驚き、薬草を1つ傷つけてしまった。

コレは値引きされるやつだぁ・・・・。

と落ち込みながらも、周囲を確かめる。

皆は手に武器を持ったまま、特に反応もしない。

でも、音が右から左に移動した気がした。

私も剣を持ち、音のする方向に神経を集中する。

すると、ゴブリンが一体、草むらから飛び出してきた。

飛び跳ねる様に草むらから出てきたので一瞬体がこわばってしまったが、しっかりと剣を握る手に力を入れて、ブッ刺す!!

ゴブリンが前かがみに倒れた瞬間に剣を振り下ろし、首を刎ねた。

次の瞬間、同じ場所からゴブリンがもう一匹飛び出てきた。

気配でもう一匹いるのが分かっていたので、慌てることなく、そっちも即座に切り倒す。

二匹だけだけど、一人で片付けるのは中々に難しい。

皆が助けてくれないと分かった上での行動は少し緊張する。

討伐証明のゴブリンの耳を切り取り、小さいが魔石を回収する。

そして、周囲をもう一度確認し、薬草の採集を続ける。

すると

「うんうん。良い調子だな。」

と、嬉しそうな声が聞こえた。

「ウェイン、今は俺達は邪魔しねーようにすんのが役目だ。声かけんな。」

と、アルドの声と、ウェインの謝罪の声が聞こえた。


暫く採集&ゴブリン狩りを続けたころ。

最終的には4種類の薬草を採取することが出来て、内容的には9割が上出来。

一部は少々買い取り額が下がる見込み。

ゴブリンは、最終的に一人で同時に3体まで相手出来るようになった。

皆が誘導してくれれば、6体は確実だ。

1人でやるのと皆でやるのは結構な違いがあるんだけど、皆が見守ってくれるうちに、地道にコツコツ頑張ろうと思います。

そう話し合いながらの帰り道。


「プギョー!!」

と、叫びながら私に向かってくるオークが3匹。

明らかに私狙い。

おそらく、女である私を狙っているんだろうけど・・・・。

大きな体が三体、興奮状態で近づいてくるのは寒気がする。

そう思いながらも、疲れた体にムチ打ち、剣を構えると

「カナ、一匹回すからな!アルドとトルーノ、補助で倒せ!」

と、一匹目に切りかかるウェインが叫んだ。

「んじゃ、俺はそっちのデブの方な。」

と、少し嬉しそうに切りかかったのはグレン。


【任せろ】


と声を揃え、私に指示を出してくれるアルドとトルーノ。

トルーノが前衛になり、注意を引きながら鎌で切りつけ、アルドは私の後ろからタイミングを計ってくれていた。

「今だ!!」

アルドの指示により、トルーノの鎖鎌の鎖の部分がオークの足を引き、前のめりに転ばせる。

更にアルドからの攻撃も入り、

「カナちゃん!首を落とせ!」

との指示が出る。

普段は突くことに特化した剣さばきを練習していたが、オーク位なら首を落とせるはず。

集中して、首のどのあたりを狙えば良いのか、きちんと考えてから一気に剣を振り下ろす。

結果、ストン、と強い抵抗もなく首が落ちた。


「うん、良いね。ちゃんと教えた通り、首のこの辺り、骨の間を切ってるね。教えたかいがあったなぁ~。」

と、嬉しそうに切った首の確認をするアルド。

「良くやったな、おひぃさん。オークの解体も教えておく。今日は見ておけ。」

と、目の前で説明付きで解体を始めてくれたトルーノ。


【こっちも解体しとくぞ~。】

と、ウェインとグレンも解体をするすると終え、肉を纏めて集合することに。

今日の狩りは終わりということで、トルーノやアルドから本日の注意点や減点とされる点などの師事をしてもらいつつ、ギルドへ戻る。

そして、ギルドへ到着したはずなのだが・・・・。

何だか騒がしい。

「嫌な予感がするな。カナはこのまま宿に帰そうぜ。」

と、勘の鋭いウェインが即座に反応したので、ウェインとトルーノにギルドへの提出を任せ、私はグレンとアルドと共に宿へ帰る。

なるべく目立たない様に、早足で。


「何があるか分からないが、荷物は纏めておこうな。いつでも出ていける様に。」

とのアルドからの進言もあって、全員分の荷物を纏める。

更に、朝の残りご飯でお握りを作っておく。

これで何時出発になっても大丈夫。

グレンは既に他のメンバーの荷物を纏め終えている。

「いざとなったら、俺がカナちゃんを抱えて走るから、そのつもりでいてくれ。あの二人には次の行先も言ってあるし、大丈夫だ。もし逸れても落ちあえる。安心して俺達を信じててくれ。」

と頭を撫でられて、ソワソワしていた気分が落ち着く。

「何があったのか、俺達に関係あんのか分かんねぇからな。俺はこのまま、宿の奴らに聞き込みに行ってくる。もし、カナ嬢関連の事で駄目そうな内容なら、合図するから、カナ嬢連れて出てけよ。後で追いかける。こういう、内容が分からねぇ、それでも不利益になりそうな場合は立ち向かうより逃げた方がマシだよなぁ。」

と、アルドに同意を求めつつ、私の頭を一撫でして出ていくグレン。

「確かにな。カナちゃん失うよりも、逃げる方が何倍もマシだよなぁ。・・・と言う訳で、荷物は背負って。グレンの大声が聞こえたら、このまま中庭から逃げよう。」

と、アルドと二人でその時に向けて準備する。

下の様子が分かるように、音を出さない様に会話もないが、アルドがずっと手を握っていてくれているから、落ち着いていられる。

いったい何があったのか、不安でドキドキしながら動くときを待ち構えていると

グレンが部屋に戻ってきた。


「待たせたな。んーと、結果的には今すぐに動くよりも、2人を待った方が良いんじゃねぇかと思うんだが、その辺はアルドに任す。」

と、グレンが説明してくれた。


グレンが宿のやつらに聞いた話では。

かなり離れた町のギルドに、3人組の貴族の冒険者パーティが現れた。

彼らは途中で、とても美しい女性1人と、その周囲を護る強く知識も深い4~5人くらいの男性パーティと出会ったそうだ。

一緒に旅をしようとしていたのに、魔物に襲われ離れ離れになってしまった。

なので、近くにそのパーティがいたら連絡を寄こすように伝えてくれ。

との連絡がギルドに入っているらしい。


思わず白目向いた。

コレ、あれだよね?

あの、名前も覚えてないけど、オーガが来た時に逃げた貴族の奴ら3人組。

てか、そもそも、一緒に旅する約束なんてしてないし。

しつこいなぁ。

しかも、オッサンの人数間違ってるし・・・。

そう思っていると

「あの馬鹿3人組だよな?トルーノが上手く情報操作してると良いんだがな。場合によっては俺が追加で情報操作してくる。まあ、どっちにしろ二人が戻ったら街を後にしよう。カナちゃん、海の方に行きたいんだったよな?次は海鮮物、沢山食べような。またしばらく野宿になるが、少しでも距離を取りたいし、頑張ろうな。」

と、少し呆れたような表情をしつつも優しい表情で頭を撫でてくれるアルド。

【情報操作してくる】なんてスッと言えて、カッコイイ。

グレンもこんな短時間に、そんなに仲の良くない旅の人から情報を得てくるなんて、なんて優秀なんだろう。やっぱりウチのオッサン達はカッコイイ。

そんな風に思っているとトルーノとウェインが返ってきた。


「そこまで急がなくて良さそうだけど、今日中には出た方が良いぞ。あ、ちゃんと金は貰ってきた。分けるのは後でにしようぜ。」

と、ウェインがお金の入った袋をグレンに渡す。

「簡潔にまとめると、この前の貴族3人組がおひぃさんを探してて、あっちのギルドに居るから連絡してくれって伝言を頼まれただけらしい。掲示板に貼ってあった。【美人の女性一人と、博識で最強に強い男集団4人から5人】っていう曖昧な情報だったけどな。探してくれっつーよりも、伝えてくれってだけらしい。」

と、トルーノが手に入れた情報を提示すると

「で?何か言ってきたのか?」

とアルドが返し

「こーゆーのはお前が得意だろ?一応、喋りそうなウェインは黙らせて《お貴族様が冒険者なんてやってんのか?》って知らん振りして聞いてはきた。」

と、トルーノが返すと

「んじゃ、ちょっくら行ってくる。戻ったらすぐに街を出るからな、忘れ物ないか確認しとけよ。」

と、アルドは髪をしっちゃかめっちゃかに混ぜ、だっさいマフラーを巻いて、瓶底眼鏡を付けて出て行った。

「・・・・。あれ、誰?」

いや、本当に、アレ、誰?

なんか、癖の強い爺になったように見えたんだけど・・・。

と質問すると

「ああ、カナは見たことないっけか?ちょっと下手打った時とか、アルドがいつもあれで助けてくれんだよ。俺達4人組だとはバレずに、何かしたい時に便利だっつって。」

ってウェインが説明してくれて納得。

情報操作に行くからあの格好なのね。


そして数十分後。

戻ってきた謎の人物、改め、アルド。

直ぐに元の状態に戻り、指示を出す。

「女1人、男4人だと怪しまれるからな、先にグレンとトルーノは先行してくれ。カナちゃんは俺とウェインと一緒に。フードは深くかぶってな。」


そして、即行動。

眠たそうな顔をしている門番に怪しまれることなく、町の外に出た。

街の外の少ししたところでグレンとトルーノとも合流。

暫く何もしゃべらず、なるべく速足で海へと向かう道を行く。

そろそろ休憩できそうな場所が見えてきた。


「なあ、なんて言って情報操作したんだ?あっちではどんな話になってんだ?」

と、夕飯の準備をしていたグレンが興味津々と言った風にアルドに尋ねる。

私も気になる。

「ああ、じゃあ、飯を食いながら話そう。」

そう言われて、速攻でご飯の準備を終えた。

そして、皆でご飯を囲みながら話を聞くと


「まず、貴族と知り合えるなんて、よっぽど腕のいい冒険者なんだな~。から始まり、男5人と女一人か、羨ましい。と男が5人の方を強調して、貴族のボンボンが美人だって言うくらいだから、よっぽど色気のある良い女なんだろうな~。からの、【そういや、この街に、メルルとかいう女冒険者とそのお供達5人がいるよな?優秀だって話だし、あいつらかな~?】ってな感じに話しして、結果的にあいつらが貴族に探されてるパーティだって話になってる。あの女達も調子良いからな・・・・。どうにか貴族の興味を引くくらいやってのけてくれるだろう。」

と、印象操作をしてきたらしい。

流石です。

これでしばらくは逃げられるでしょう。

さて、今日はこのまま眠って、明日から海へ目指してGO!!



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