表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生した俺は精霊に愛されすぎて、静かに村を育てます  作者: 月灯り庵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

151/168

交わる小さな灯り

森と王都、初の共同観察会回です。


拡張ではなく、交差。


小さな灯りが生まれました。

王都教育院と精霊の森。


両者の名が並ぶ書簡が、初めて発行された。


『共同観察会 ― 水と作物の記録』


規模は小さい。


参加者はわずか十名。


期間は三日。


拡張ではない。


実験でもない。


ただの記録会。


森の入口。


王都の生徒たちが、少し緊張して立っている。


リオンが先頭にいる。


「急がない」


彼が小声で言う。


自分に言い聞かせるように。


ハルが迎える。


「記録なら、見ていけ」


命令も歓迎もない。


ただ事実。


水路を見せる。


畑を見せる。


失敗も見せる。


王都の生徒が水の流れを測ろうとする。


直線で図ろうとする。


だが、ミナが言う。


「曲がってるから保ってる」


生徒は戸惑う。


だが書き留める。


正解はない。


評価もない。


午後。


王都の若い教師が、森の子どもに問う。


「なぜ広げないの?」


バルドが答える。


「守りたいから」


単純。


だが揺れない。


夜。


小さな灯りを囲む。


王都の子どもが、森の子どもに言う。


「王都は、速い」


カイが言う。


「森は、遅い」


リオンが笑う。


「どっちも、いる」


それが今回の記録。


三日後。


王都側の報告書には、こう書かれた。


『森は拡張を拒否するのではない』


『壊れない範囲を選択している』


批評ではない。


観察。


王城。


王女リシェリアはその報告を読む。


小さく息を吐く。


「交わった」


囲っていない。


奪っていない。


だが繋がった。


森。


丘の上でハルが空を見る。


ソラが笑う。


精霊が柔らかく揺れる。


交差は小さい。


だが灯りは消えていない。


森は広がらない。


王都も止まらない。


だが小さな灯りが、二つの間に置かれた。


それは火ではない。


争いでもない。


ただの灯り。


だが、十分だった。

強く結びつかなくていい。


ただ、壊れない形で交わる。


森と王都は、同じ夜を見ました。


―― 月灯り庵

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ