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異世界転生した俺は精霊に愛されすぎて、静かに村を育てます  作者: 月灯り庵


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光を怖がる子

“恐れ”を抱えた子の登場回です。


森は強い力だけを受け入れるわけではありません。


怖がる心も、ここでは居場所になります。

その子は、教室の外で立ち止まっていた。


入ろうとして、足が止まる。


精霊が、ふわりと漂う。


それだけで、肩がびくりと震えた。


「……来なくていい」


小さな声。


拒絶ではない。


怯えだ。


最初に気づいたのはエリシアだった。


「どうしましたか?」


優しい声。


だが近づきすぎない。


子どもは顔を伏せたまま言う。


「光が……苦手なんです」


森では珍しい言葉。


精霊を怖がる。


それはここでは“少数派”。


レイナが腕を組む。


「無理して入るな」


はっきり言う。


ルナは少し距離を取る。


「ここは、逃げ場でもあるわ」


逃げてもいい。


その空気が、少しだけ子どもの呼吸を整える。


名前はカイ。


王都の下層区出身。


「昔、魔力暴走を見た」


友が巻き込まれた。


光は、優しくなかった。


だから怖い。


森の光も、怖い。


そのとき。


揺り籠の中のソラが、小さく声を上げる。


光がふわりと舞う。


カイが目をぎゅっと閉じる。


だが――


光は近づかない。


一定の距離を保つ。


ミナが静かに立ち上がる。


息を整える。


空気が凪ぐ。


光が柔らかくなる。


「……消えない」


カイが震える声で言う。


「消さないよ」


ミナは静かに答える。


「怖いなら、遠くでいい」


均すのではなく、守る。


光が揺れる。


だが押し寄せない。


ハルは少し離れて見ている。


口は出さない。


森がどう応えるかを見る。


エリシアが問いかける。


「触れなくても、感じるだけでいいのです」


「森は奪いません」


「奪わない……?」


カイが目を開ける。


小さな精霊が、地面すれすれを漂う。


手を伸ばさなくても届かない距離。


安全な距離。


「ここは、強くなる場所じゃない」


レイナが言う。


「壊れないように覚える場所だ」


カイはゆっくり息を吐く。


怖い。


でも、逃げたいとは思わない。


それは初めての感覚だった。


ソラが小さく笑う。


光がふわりと広がる。


ミナが整える。


強すぎない。


消えない。


カイの足元で、やわらかく揺れる。


「……あったかい」


それが、はじまりだった。


授業が終わる。


カイは教室の中に、まだ入らない。


だが帰らない。


入口に座る。


それでいい。


森は急がない。


夕暮れ。


ハルが空を見上げる。


「増えたな」


ルナが頷く。


「強さ、凪、そして恐れ」


レイナが笑う。


「全部まとめて森か」


エリシアが静かに言う。


「恐れもまた、学びです」


精霊の森は甘い。


だが甘いだけではない。


恐れを拒まない。


それが、この森の強さだった。

強さも、凪も、そして恐れも。


すべてが揃って、森は深くなっていきます。


急がず、少しずつ。


次世代は確実に育っています。


―― 月灯り庵

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