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青年  作者: Nikyaty
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クラス発表

高校二年のクラス発表の日、俺は中澤宏斗と高校の玄関から少し離れたところにいた。

「怖くなってきたな」

宏斗が俺に言う。

俺と宏斗は、いわゆる親友である。だが、お互いを親友だと確認しあったことなど、一度もない。

高校の玄関に、人だかりができていくのを見た俺は、

「なんか集まってきたぞ」と言う。

口では冷静なふりをしているが、本当は地に足がつかない思いだ。腕も、組んでいないとどこかに行ってしまいそうだから、組んでいる。クラスメイトが一年間に与える影響の大きさを、俺は身に染みて知っている。高校一年の時は、合わない男子しかおらず、とにかく退屈であったのだ。

「そろそろだな」と宏斗。

もう発表五分前である。ついに人だかりが多くなってくる。何故かわざわざ私服で来た女子などが、グループになり、騒いでいる。

「うるせぇな」と俺。

「なに私服で来とんじゃ」と宏斗。

俺達は遠くからコソコソと女子を攻撃する。

俺は、一軍の女子が嫌いだ。この「一軍」という表現も反吐が出るほど嫌いである。ただ喚き散らしているだけの集団が、なぜ「二軍」や「三軍」などと呼ばれている集団より上と定義されるのか、全く分からない。

先生がやってきて、ついにクラス分けが書かれている紙が貼られた。男子が雄叫びを上げ、女子は叫んでいる。全体に、興奮の雰囲気が急に広がる。俺は、この皆が理性を失い、野性的になっている空間が嫌いだ。そしてその空間に自分がいることも恥ずかしくなってくる。

「おい貼られたぞ」

と俺に呼びかけながら宏斗は走っていった。俺は歩いて後を追う。でもやっぱり、クラス替えは気になる。少し早歩きになりながら紙の貼られているところに向かう。人の間を縫うようにして、紙を見る。俺は自分の苗字よりも先に「中澤」を探した。

「お前3組やったぞ」

いつの間にか近くにいたらしい宏斗が言ってきた。宏斗は2組だった。俺と宏斗はまた同じクラスになれなかった。まだ騒がしい玄関前をあとにして、俺たちは自転車に乗り帰路につく。もう何回通ったか分からない川沿いを走っていく。ふと宏斗が喋りだした。

「いやー、川上って名前あったから、一瞬優希かと思ったんに。違うやつやった。」

俺の名前は川上優希である。俺は少し驚いた。宏斗がこんなことを言うのは珍しいのだ。俺達は親友であるが、互いを親友だと思っていることを伝えるのは恥ずかしくて仕方がないのだ。そもそも、そんな必要もないと考えている。クラス替えというのは人を正直にさせるのかもしれない。小っ恥ずかしい俺は、

「俺はサッカー部のやつがおるからいいけど、お前はやべぇんじゃねぇか?」と煽る。

俺と宏斗はサッカー部である。俺たちのような人間は、文化部の方が性に合っているかもしれないが。

「ガチで終わったかもなぁ。まぁとりあえず昼休みはお前んとこで飯食うわ。」

と宏斗が気持ちを切り替えるように言った。二人は自転車を漕ぐ力を強めた。川沿いの桜は、二人の進級を祝うかのように咲き乱れていた。


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