リベンジを誓います
デジャヴだ。
目を覚ましたら、陰気な石造りの天井が見えた。体がだるくて顔だけ横を向けば、椅子に腕と脚を組んだシルヴァが座っていた。黄金の瞳には白銀の炎が揺らめいている。
「お前は馬鹿なのか」
あ、これはシルヴァを通してアルギュロスが喋っているのだなと思った。最初に会った時より声が刺々しい。
「私も反省しております。もう少し保つと思ったのですが」
「城は森より障気が濃い。気をつけるんだな」
ふっ、とシルヴァが目を閉じた。次瞼が持ち上がった時には、瞳の奥に白銀の炎はなかった。組んでいた腕と脚もちょこんと直す。
「大丈夫ですか、アレクシア様」
これはもうシルヴァの言葉だ。なぜあのアルギュロスから生成されたのにこんなにいい子ができるのでしょう。
「私は大丈夫。アレキサンドライトは?」
ほわ、と一瞬緑の光が明滅する。姿を現せないくらい弱ってしまったらしい。
「ああ、ごめんなさい。無理をさせたわね……」
「アレクシア様がお休みになることがアレキサンドライトにとってもいいように思います」
「そうよね……ちょっと寝る……」
元々疲れていたので、目を閉じたらすとんと眠りに落ちてしまった。
なんだか変な夢を見た。
私はふわんふわんと宙に漂って、部屋の中を移動していた。視界に入ったのは、書類の山と格闘するアルギュロス。けれど私に気づくと、手を止めて目を柔らかく細めた。
『なんだ、お前か。また来たのか』
差し出された手に誘われるように近づいただけで、アルギュロスの白皙の頬が薔薇色に染め上がる。アルギュロスは逆の手で壊れ物を扱うようにそっと私を撫でた。ゆら、ゆら、と瞳の奥の炎が揺れる。
『済まないな。今は構ってやれないんだ。また今度来てくれ』
私はアルギュロスから離れてまた宙を漂う。アルギュロスは厳しい顔に戻って書類と睨めっこを始めた。
ああ、わたしでは駄目だ。
なぜかわからない。ただそう強く思った。駄目だ。駄目だ。駄目だ――。
そして目が覚めた。流れていた涙を拭い、しばらくぼんやりしてから顔を覆った。
なんて夢を見たんだ!?
「うわぁぁあ」と唸ってベッドの上をゴロゴロ転がる。は? なに? 願望? ないわー。自分で自分に引くわー。
ひとしきりゴロゴロして落ち着いてから、夢の内容を吟味する。いや、願望で合ってる。あれを目標にしよう。忙しそうではあったけれど、怠惰な今よりずっと生き生きしている。そう納得して、夢のことを処理した。
「私も頑張って休むから、アレキサンドライトも頑張ろうねっ」
緑の光が一瞬弾けた。




