昼寝スポットだそうです
メンテ祭だったので、書いてしまいました(´・ω・`)
きらきらと、目の奥に光が揺蕩う。
ふっと目を開けると、優しく揺れる梢が見えた。隙間からは透明かと思うくらい済んだ青空が見えている。
「お前は本当によく倒れるな」
呆れた声が降ってきて目を向けると、木の幹にもたれてアルギュロスが座っていた。
「好きで倒れている訳ではないのですけれど」
半身を起こす為に寝台に手をつくと、ぐらぐらっと揺れた。これは、アントニオお手製のクモの巣ハンモックだ。昔私が足を取られて宙吊りになったやつ。
というかここはどこ?
キョロキョロと辺りを見回すと、一面の森だった。しかしパッと見ただけでも普通の森ではないことがわかる。ほわほわと光るシャボン玉のようなものが漂っているし、虫の気配はない。
「ここは学園の裏庭だ」
「嘘でしょう? こんな立派な森、敷地にあるわけが」
「アレクシアがなにかと私を邪険にするのでな。暇だから異空間を作って昼寝をしていた」
私はこめかみを押さえた。放っておいている間に他の人とも交流してくれれば~なんて考えは甘かった。
「とまあ、昼寝をしていたらキャンキャンと喚く羽虫共が来てな、そこにお前が飛んで来たかと思えば、気絶しただなんだと騒ぎ出してうるさかったのでやむなく収容した」
「それは……ご迷惑をおかけしました」
偶然とはいえ、お気に入りの昼寝スポットの側で随分騒いでしまった。機嫌を損ねてしまったか、と表情を窺えば、僅かに口角を上げていた。
「いや、なかなか面白かった」
もしかしてイルコットの双子に空間跳躍蹴りをお見舞いしたところも見ていたでしょうか。お気に召したならなにより。
というかアントニオとミラはどこでしょう。と訊こうとしたら「姉上ー!」という声が下の方から。ハンモックから身を乗り出して覗き込むと、木の根元のところに二人の姿が見えた。
「もしや、お目覚めですかー?」
それには手を振って答えて、目をやらずにアルギュロスに問う。
「……あの、ところでアルギュロス様、なぜ私はこんな高所で休んでいたのですか」
「あの者がアレクシアの寝顔をじろじろ見るからだ」
お前も他人のこと言えないけどな!?
まあアルギュロスの前でぱたぱた倒れている自覚はあるので、寝顔見るなとか今更だよなぁ、と思いつつ、下に飛ぼうと魔力を練った。けれど、飛ぶ前に体がふわりと抱え上げられた。「ひっ」と小さく悲鳴を漏らして近くのものにしがみつく。
「私の空間内であまり魔力を使うな」
ちちちちち近っ!?
というかしがみついてるこれはアルギュロスの首だ。しかし上半身を安定させるのに手を放す訳にはいかない。顔面直視だけは避けようと視線を逃がすと、ふわりと舞う薔薇色の髪の向こう、クモの巣ハンモックに光るシャボン玉が集っているのが見えた。
「魔力を食って空間を維持している。複雑な術式は込めていないから、アレクシアも集られるぞ」
とのことなので、お姫様抱っこは仕方ないことなのだと自分に言い聞かせる。地面に着くまでの辛抱だし。それにしても細い割によくもまあ私をひょいと持ち上げたものだ。蹴りをかましたイルコットの双子に『重いわよ!』とどさくさ紛れに罵られて、こっそりダメージを受けていたのだけれど。
こうしてとにかく別のことを考えていたら、地面に到着。立たせてもらって、心配そうなアントニオとなぜかニマニマしているミラと向き合う。
「気絶なんてしてごめんなさいね。もう大丈夫よ。………で、どうなったのか詳しく聞かせてくれるかしら」




