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いらっしゃいませ

乙女ゲームっぽくないので乙女ゲーム感を出すことにしました。

が、私は学園が舞台の乙女ゲームやったことありません(爆笑) 今度勉強の為に探してみます。私好みのトラウマになりそうなやつを見つけられるといいのですが。








「アレクシア」


「なんですか」


「人間界に行きたい」


 ぱち、と私は目を瞬かせた。


「なんでまた?」


「魔界にはもう食料がないのだ」


 もぐもぐ、と肉を頬張る私の向かいで、アルギュロスは形式だけでも水の入ったグラスを傾けている。私の観察を趣味にすると宣言した通り、もう窓の外を見るのはやめたようで私をずっと見ている。ストーカーのように。


「確かに、食料はなくなってしまいましたね」


 シルヴァは給仕という行為を最近覚えたらしく、やりたいと言って聞かない。割と上手い。私がきょとんとしていると、アルギュロスが口を開いた。


「食材がなくなると魔界は供給ができない。食料庫は障気も少なく保存してあった食料は平気だったが、肉となる獲物も、野菜となる草木も、蒸発してなくなっている」


「アレクシア様のことですから、森の木を食べると仰るかもしれませんが、あれは彫刻のようなものです。食べられません」


「シルヴァ? 流石に私は木を食べようとはしないよ?」


 全く私をなんだと思っているんだ。もきゅ、とパンを頬張る。硬い黒パンだが、歯ごたえがあって私は割と好きだ。


「ですが、アルギュロス様は食べなくても平気なのでは」


「君が食べているところを観察できないだろう」


「あらまあ」


「それに、魔界の障気は私に無害という訳ではない」


 先に言った理由のせいでなにかが台無しな気がする。まあそれは置いておいて、私の観察という趣味はいい方向に働いているようだ。心境としては微妙だが。聞いていたシルヴァがすっと近づいてきた。


「アレクシア様、アルギュロス様だけではなく私も連れていってくださいね」


「当たり前でしょう。シルヴァを置いてなんて行くものですか」


 という訳で、二人を人間界に連れて行くことにした。もっと早くアレキサンドライトの空間跳躍が使えていたら、他の魔族だって救えたかもしれない。そう考えるのは傲慢かもしれないけれど。


「では、お手を失礼」


 アルギュロスとシルヴァの、ひんやりした手と手を繋ぐ。暗緑色の髪がまた薔薇色に変わって。

 ふわ、と魔界を飛び立った。

 私が着地地点に選んだのは、私の部屋だった。無事に到着したものの、なんだかそわそわする。男の人が私の部屋に~というような可愛いものではない。空気が騒がしいというか。

 アルギュロスがすっと目を細めた。


「……ああ、懐かしい気配だ」


 そ、それだ! そういうことだ! 魔王四天王なんて超お偉いさんの来訪を感じ取って、秘術で人間界に繋がれている魔族が歓声を上げている。そんな感じ。


 ドシーン!


 屋敷に文字通りの激震が走った。なんだと窓を開けてぎょっとする。蒼海を思わせる瞳が目の前にあった。ピウ、と銀色の巨体に合わない可愛い鳴き声。これはもしや国王陛下の守護獣、セシルではないか。


「セシルか。久しいな」


 やっぱりそうだったー! アルギュロスは鼻先を撫でてやっていて、あらまあ絵になるわと見とれた後はっと我に返る。というかセシルだけではない。中庭には守護獣達が大集合していた。これだけいるとゴミのようだ。


「はーっはっはっは」


 せっかくなのでモノマネしてみるが、唯一通じるであろうミラはこの場におらず、二人と数多の守護獣に生暖かい視線を送られた。軽い気持ちで連れてきてしまったけれど、これはちょっとまずいのではなかろうか。冷や汗がつうっと流れた。




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