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第九話

「ティアラさ~ん!薬草集め終わった?」

「はい!こちらは集め終わりました!ユキ様の方はいかがですか?」

「こっちも集め終わったよ。んじゃ、帰りますか。」

「はい!」

こっちに来てからもうすぐ一ヶ月ぐらい経ちます。只今ティアラさんとアリーナ様に頼まれた薬草を取りに来ました。

この一ヶ月の間、私は、この世界にしばらく身を置くための基本知識と魔法を教えて貰っていました。ぶっちゃけ基本知識の方は四日ほどで詰め終わったので、暇になってしまい、暇な間とりあえず適当に拾った枝で素振りをしていたら、「魔法出来るかやってみる?」と言うことで試しにやったら出来たので、「じゃあ、ティアラと一緒に勉強しましょう♪」とアリーナ様に言われ、現在に至ります。

そうそう、ティアラさんは魔女ではなく魔族の方だそうです。

アリーナ様に魔法を教えてもらっていて、弟子兼お手伝いのような感じらしいです。あと、ちゃんとティアラさんに私が男じゃないことを説明したら、突然膝から崩れ落ちて、一時間ぐらい放心状態だったが最終的に「それでも私はユキ様のことを尊敬し続けます!」ということになった。


「待ってくださ~い!」

あっ、しまった。うっかりティアラさんを置いてってしまっていた。

「ごめんなさい、大丈夫ですか?」

「ハァ・・・ハァ・・・、ユキ、様は本当に・・・この、一ヶ月しか魔法・・・やっていなかったん、ですよね?」

「そうなんですけどね。」

驚いたことに私は全体的に魔法の力、魔力が強いらしく、この一ヶ月で強い魔女や魔法使いレベルに上がった。

種族ごとに魔力や得意な魔法などが異なっていて、全体的にすべての魔法が得意で魔力が高めなのが『魔女・魔法使い』と教えてもらった。

「狡いです!ユキ様は軽々といろいろやってのけてしまって、わたくしが苦手な箒にだって立ち乗りしてもはやく行けますし・・・。」

「ごめん、ごめん、もう少しスピード落とすから。」

実は今、私達は箒に乗って帰っている。

誰だってやっぱり、魔法といえば箒を連想しますよね?






「いらっしゃ~い!今日は十目魚が安いよ!」

「特売!特売!今ならリンゴが三個250!250だよ~!」

「はい!奥さん、鹿肉二百グラムお待ち!」


ここはティクレスの中心部の町の市場。

ティクレスの城に帰るにはここかその真逆の森からしか入れない。目立つのが嫌で目立たないようにいつもは森から入っていたのだが、この間うっかり森に入ってしまって野生の獣に襲われかけていた子供を助けて有名になってしまった。

今では、『ティクレスの騎士様』と呼ばれるようになった。そしてそれを聞いたアリーナ様が「面白いわね♪ちょうどいいし、あなたはこの国の騎士になりなさいよ♪」と言い、反論もなかったので私は騎士になった。

あと、…女だったとバレなかった。どうせいつもそうだけどさ…。

別に男に見られていても何の支障もないけど、いや、別に言われすぎてどうでもよくなった訳じゃないデスヨ?




「今日リンゴが安いね。お茶のときのデザートにアップルパイ作ろうと思うんだけどどうかな?」

「アップルパイ!賛成です!アリーナ様もお喜びになりますわ。」

この世界のお菓子は種類が圧倒的に少ない。あるにはあるが、そんなに種類がないのだ。

実は私は甘いお菓子が大好きだ。しかも何故だか知らないが、太らないので元の世界ではおもう存分食べていた。なのでこっちの世界でお菓子類がそんなにないと知ったときは唖然とした。けど、それで我慢出来るほど私は大人ではないので、自力で元の世界のお菓子を作り上げた。基本的に材料はあるので簡単に作れた。(勿論、変な食材も存在した。)

お茶の時間に出してみたら、アリーナ様とティアラさんは食べた瞬間大喜びしてくれたのと料理が出来ることに驚かれた。

見ため男でも料理は出来るんだ!その他掃除とかは壊滅的だけど…。

ということでそれからお茶のデザート係は私になった。






「おじさん、リンゴ三つ頂戴。」

「おや?騎士様!どうも!森からの帰りですか?」

「はい、今アリーナ様に頼まれた薬草を摘んできたので。」

「えぇ、そうなんです。それでこれからユキ様が茶菓子を作ってくださるんです!」

「へぇ!騎士様の作るお菓子は上手いからな~、いつでも食えるアリーナ様とティアラちゃんが羨ましいぜ!」

「今度また作ったら持ってきますよ。」

「本当ですか?じゃあよろしく頼みますね!ほい、リンゴ三個とこれオマケの口先バナナね!」

「いつもすいません。ありがとうごさいます。」

「気にしないでくだせぇよ。」

「それでは、失礼します。」

「また来ますわね。」

「また来てくださいね~!」




「いつも悪いな、こんなオマケしてもらってたら・・・。」

「そんなことないですよ!これもユキ様のご活躍のお陰ですし、それに皆ユキ様のお菓子を楽しみにしているのもありますから。」

「後者だけの気がするのは気のせいかな?」

「さあ?どうでしょう?」

いつも通りの楽しい会話。…でもやっぱりそれだけじゃ終わらないもので。

「騎士様!」

「ん?パン屋の奥さん?どうしたんですか?」

「た、大変なんです!今、北通りに騎士がっ!う、うちのフレアに!」

「とりあえず落ち着いてください。どこの国の騎士ですか?」

前にアリーナ様が言っていたが、ティクレスには今、私以外に騎士はいない。ということは、他国から騎士が来たことになる。

「えっと・・・セ、セレナイトの騎士と名のっていたわ。」

聞いた瞬間私とティアラさんは顔をあわせ、北通りに向かって走った。

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