表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/31

第17話◇待って、レジーナにバッチリ、抱っこされているところを見られちゃってるんだけれど!?

レジーナとの会話は尽きることなく続いた。

完全に盛り上がっていたわたくしたちは全く気が付いていなかったのだけれど、いつの間にか数時間が経過していたようだった。


気が付くと、窓から入ってくる光が、先ほどよりもオレンジがかって見え始めている。

すると、ノック音と共にアンがやってきて、わたくしに申し訳なさそうに切り出してきた。


「アメリア様。お迎えが……その、ゾクラフ公爵家令息・ウィリアム様、ご本人が、いらしてます」

「えっ!?」


本当に来て下さったことに、びっくりしてしまった。


確かに、ベルナルド様は「身の安全のために息子を番犬として使うといい」と、ウィル様も「街へとお出かけの際は必ずお呼び下さい」とおっしゃっていたから、今回のライランズ伯爵家行きについては、ゾグラフ家に事前に連絡していた。


ただ、ウィル様にも近衛騎士という大切なお仕事があるため、どうしても都合がつかない場合もある。

その場合はゾグラフ家から護衛つきの馬車が来る、ということになっていた。


実際、行きはゾグラフ家の馬車に女性の護衛の方がついてきて下さっていたので、帰りもだと、完全に思い込んでいた。


「やっぱりアメリア、愛されてるのね!!さっきは信じられないなんて口走ったけれど、我が家にまで単騎で乗り込んでくるなんて!!これは信じるしかないわ!!」


早速レジーナがからかってきて、わたくしは熱くなってきた頬を隠すように両手で覆って、呻き声を上げてしまう。


「うぅ……何だかすごく過保護で、慣れないわ……」


そういう、しっかりと身柄を守って下さるような扱いを男性にして頂くのも、初めてのことだった。

だって、ずっとルーカスには「可愛くない、守りがいがない、お前なんて女じゃない」と扱われてきたのだから……。


ウィル様はあの顔合わせの日からずっと「令嬢扱い」を軽く超えて「大切な婚約者扱い」としてエスコートして下さる。


ちっとも慣れない。

むずむずしちゃう。

でも、心の底からどんどん嬉しさが沸いてきちゃって……。


「うふふ、その顔。すっかり恋しちゃったのね、アメリア?」


レジーナに指摘された途端に、顔どころか全身が熱っぽくなってしまって、わたくしも「ああ、きっとそうなのね」と自覚するしかなくなってしまった。


――わたくし、ウィル様に恋、しちゃったんだわ。


「恋愛なんて他人事だと思っていたのよ。だけど、わたくしも、人に恋することができたのね」


思わずそんな呟きをしてしまうわたくしに、レジーナは今日最高の満面の笑顔を向けてきた。


「さて、アメリア。そんな自覚をした直後に、馬車の中で意中の殿方と二人っきりになるわね?大丈夫なのかしら?」

「えっ?」


最初、わたくしにはこの指摘の意味が全く分からなかった。


けれども、レジーナに見送られて屋敷の玄関から出て、馬車の前で待って下さっていたウィル様の姿を実際に見つけた瞬間、ようやくその事実に気が付いてしまって、わたくしは小さく悲鳴を漏らす。


ふ、ふたりっきり……!!

こんな馬車という狭い密室で三十分以上こもっている状態なんて、一体、何を話せばいいの!?


助けを求めるようにレジーナを見るけれど、にっこりと笑われ、「また色々とお話しましょうね、アメリア」と流される。


その表情は「これから起こることも、どう報告してくれるのか、次のお茶会が楽しみよ?」と語っていた。


「それでは、ウィリアム・フォン・ゾクラフ卿。私の大親友をお預けしますわ。どうか責任をもってマクファーソン家まで……いいえ。末永く守って頂けるよう、よろしくお願いしますわね?」


レジーナはこの背中を押すようにして、わたくしをウィル様の前に押し出す。


公爵令息に対して、彼女の身分的にその言い回しは、少しまずいのではないかしら、と一瞬思った。

もしお怒りになったなら、レジーナが氷漬けにされてしまうかも、とも。


けれど、ウィル様がレジーナに怒りを表明することも、威嚇の冷気に包まれることも、全くなく。


「ライランズ伯爵家・レジーナ嬢。その願い、確かに承った」


ただ、まるで当然のようにそう応えたかとおもったら、ウィル様はサッとわたくしを抱え上げる。


「ふあっ!?ウ、ウィル様っ!?」


急に足元から地面の感触が消えて声を上げて慌ててしまったけれど、もうその一瞬後には、わたくしは馬車の座席にトンと座らされていて。

そしてそのままウィル様も、隣に乗り込んできてしまう。


瞬間、馬車のドアの向こう、ウィル様の肩越しにレジーナと目が合った。

「あらまぁ、とても愉快なものを見させて頂いたわ!!」と言いたげなその顔のまま、ヒラヒラとこちらに手を振っていた。


「は、はわ……っ」


わたくしは自然とウィル様に抱き着いた状態のまま、レジーナに手を振り返すことになってしまった。


待って、レジーナにバッチリ、抱っこされているところを見られちゃってるんだけれど!?

恥ずかし過ぎるわ……!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ