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魔王様は今日も暴走スパハニ幼女に|溺愛《お世話》されます。〜俺はそんなもの頼んでいない! もうほっといてくれ!〜  作者: 塵芥


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後日談3:エミリア乗っ取り!? 愛を囁く。


(ふふっ今日も魔王様は可愛いですね♪)


 そう内心で呟きながら、ベッドでスヤスヤ寝息を立てるノクティスを見つめながら、エミリアは小さく微笑んだ。


 思えば、父親であるガストン(ガトーショコラ)から、ノクティスの世話係を任せてからそんなに時間は経っていない。にもかかわらず、10年以上一緒にいるような気がするのは――どうしてだろうか?


 そんなことを考えながら、エミリアは魔王城へ来た初日のことを思い出す。


 ◇


 魔王城にやってきた日――


「うーん魔王城って結界が張り巡らされてるんですね〜。魔力量は私なんかよりも強いので、正攻法では壊せない……と」


 決壊に触れながらそうぶつぶつ呟きながらも攻略法はすぐに見つけたのだろう。これくらいなら朝飯前と言うようににこりと微笑む。


(この結界は強力なですけど、欠陥がありますね。よかったです♪)


 内心で呟くと、エミリアはそこら辺からそこそこ大きめな石を拾ってくると、エイッ! と結界に投げつける。


 すると、パリンッと音を立て――


「ふふん! この結界は、魔法攻撃特化型なので、物理耐性が0! なんでこんなに大きな欠陥を放置してるんでしょう?」


 一瞬、キョトンとするも、この世に悪意など存在していないと本気で思っている彼女。


 もしかすると罠かもしれない! という考えなど至らず……。平然とした顔で、魔王城に侵入してしまう。


 しかし、魔王城に侵入できたとしても、そんな簡単には魔王の部屋には辿り着けない。


 重厚な雰囲気で、どこかのホラーハウスのような広々とした城内。あちこちに白骨したナニカが転がっていたり、天井から赤黒い液体が滴り所かしこも不気味そのもの。


 可愛い! などどこにもない。普通ならばそんなそれだけで逃げ出したくなりそうな場所にもかかわらず、エミリアはケロッとした表情でウロウロ城内を放浪する。


 そんな彼女の内心はかなり楽観的。


(こんなところに住んでいれば、皆さん精神病にかかっちゃいますね。早めに改善しなければ!)


 どこかやる気を漲らせにこりと微笑むと、近くにいたスケルトンのような魔族に声をかける。


「あの〜魔王様に会いたいんですけど!」


「ん? アポは?」


「アポ? あっ! アポーですね! はい、これでいいですか?」


 そう言ってエミリアはポシェットバッグから、艶やかなリンゴを取り出し差し出した。


 ちなみに、彼女が持つポシェットバッグは小さいのだが、中身はブラックボックスと化しており、何でも入っている。


「……リンゴ?」


「はい! アポーですよね? なので!」


「……」


 スケルトンのような魔族は、一瞬唖然とするも、きっと賄賂だと思ったのだろう。


「リンゴ一つだけなら教えてやれないな!」


「あーそうですか……」


 エミリアは、しゅんっとしながらもポシェットの中をまさぐる。


 そんな彼女を見たスケルトンのような魔族は、きっとリンゴは一つだけしかもっていないと思ったのだろう。


「仕方ない代替案でル――」


 そう言って、ルーナを要求しようとした。しかし、その言葉をつむぎ終える前に、エミリアがポシェットを逆さにして、問いかける。


「どれくらいあればいいですか?」


 そんなポシェットからは、ボトボトとリンゴが落ちていく。


「は!? なんだその鞄は! って、ちょ、それは多すぎないか!?」


 その量は凄まじく、10や20では収まりきらない。エミリアは、魔族がもういいと言うまで出す予定だったからか、次第に魔族の体が埋もれていく。


 そして、リンゴの圧に耐えきれなくなったのか――魔族の骨が関節から崩れ落ち、生き埋め状態に。


「お、おい! 助けてくれ!」


「え? これくらいで満足できますか?」


「は?」


「リンゴ欲しいんですよね? 足りなかったら言ってくださいね? まだまだあるので!」


 誇らしげに言うエミリア。流石の魔族もそのズレた彼女の感性には恐怖を感じたのだろう。


「も、もう十分だ! 助けてくれ!」


 そう言って、人間風情に助けを求めてしまう。


「分かりました!」


 エミリアは素直にリンゴを除けてやると、魔王の部屋を聞き出した。


「じゃあ魔王様のお部屋を教えてください!」


「……そうだな。魔王様は地下50階の部屋にいる!」


「ありがとうございます!」


 そう言って、スケルトンのような魔族の元を後にする。


 しかし、どうやら騙されたらしい。そこにいたのは凶悪そうな3つの顔を持つ犬……。


 しかし、エミリアは動じることなくそんな凶悪そうな雰囲気を持つ犬と遊んでやると、再び魔王の部屋を聞き出した。


 そんなことを数百回繰り返し――最終的には自力で魔王の部屋を特定した彼女。


 魔王城の結界同様、物理で結界を壊し中に入ってみると――黒一色の陰湿な空間が眼前に広がる。


「ふむ……こんなお部屋じゃ魔王様も安眠できませんね!」


 そう言いながらも、まずは魔王との顔合わせが先。エミリアは、えいや! と布団をひっぺがす。


 すると、部屋同様に闇色のローブに身を包んだ男の姿が現れた。


(おお〜! これが魔王様なんですね! 想像以上にお世話しがいがありそうですね!)


 内心でそう呟くが、どうにも闇色のローブが気に入らない。


「魔王様ってば、こんな真っ黒な寝間着で眠っているんですかぁ? これじゃあ良い夢なんて見られませんよ?」


 エミリアは、無防備に熟睡するノクティスを見下ろしながら、小さく問いかけた。


 しかし、彼は一度寝れば目を覚まさないタイプなのだろう。頬をつついたり、ポシェットからミスリル製のハンマーを取り出し殴ってみても起きやしない。


「仕方ないですね!」


 彼女ははにこりと微笑むと、ポシェットから何着かの寝間着を取りだし――一瞬どれにするか熟考する。


 しかし、すぐどれにするか決めたのだろう。フリルが沢山あしらわれた、桃色のうさぎさんナイトウェアを手に取ると、小さく呟く。


「魔王様には、こういう可愛いナイトウェアが似合うと思うんですよねぇ~♪」


 躊躇なくノクティスに触れ、その重厚な闇色のローブを脱がせ始めた。


「おお〜! 魔王様って意外と筋肉質なんですね? 引きこもりの割に逞しいじゃないですか♪」


 彼女は興奮気味に感想を言うと、手早くローブを脱がし、すぐさま桃色の寝間着に着替えさせ始めた。


「う~ん、やっぱり可愛いですね~! 魔王様は黒よりも絶対ピンの方がが似合いますよ!」


 満足げに何度もうんうんと頷きながら、桃色のナイトウェアのフリルを綺麗に整え、仕上げにウサギの耳がついたフードを頭に被せてやる。


「ふふっ。魔王様、可愛いですよ~? 喜んでくれるといいなぁ~♪」


 そう言って、魔王の寝間着事情に納得すると、魔族との戯れのおかげか――それとも、安心感からか、眠気がどっと押し寄せてくる。


「ふわぁ〜。もう深夜ですし……魔王様との顔合わせも済みましたし――私も寝ますかね?」


 エミリアが小さく呟くと、


「……くちゅん」


 ノクティスが可愛らしいくしゃみをしながら寒そうに身を縮こませる。


 瞬間、母性というのだろうか? エミリアはぱあっと目を輝かせ、彼に布団を被せてやる。


「魔王様、寒いんですか? 仕方ないですね〜!」


 そして、そのまま潜り込むとぽつり。


「魔王様、おやすみなさい」


 ◇


(最初はちょっとだけ湯たんぽ代わりになろうと思っていたのが、いつの間にか寝ちゃってたんですよね〜。で、翌日から魔王様の溺愛(お世話)係になって――色んな魔王様を知るうちに、あ〜この人、私がいないと生きてけないタイプだなって思うと愛しくなっちゃって……いつの間にか好きになってたんですよね〜)


 そう内心で呟きながらも、猫になった姿や、すぐに魔力暴走したり、突然現れた犬にビビり散らして魔法をぶっぱなしたりしていた彼を思い出し、エミリアは小さく笑みを浮かべ囁いた。


「好きですよ、魔王様。絶対、逃がしませんから」


 瞬間、スヤスヤ寝息を立てている彼が小さく身震いする。


 しかし、彼女はそんなノクティスの反応など気にも留めず、優しく髪を撫でてやるのだった。

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