推しと舞踏会 その1
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「おとうさま~!」
花を持った幼い少女が父に駆け寄る。あれは幼い頃の私だ。
「…なんだ。」
「あのね!あのね!…おとうさまにプレゼントなの!」
そう言って私は父に花を差し出す。その顔は笑顔だが声は震えている。
「…くだらん。」
そうして父は花を握りつぶす。私はあまりの事に理解が追い付いていない。
「…二度と俺に近付くなよ」
「はい…お…とうさ…ま…」
そしてその場には、目には大粒の涙を貯め悲しそうにうつむく私だけが残された。
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「お…とう…さま…」
「姫様…!姫様!モルドレッタ様!着きましたよ!起きてください!」
「…!ありがとうメリュジーヌ!」
あれからあっという間に半月が経ち、私は父主催の舞踏会に参加するために『新月館』とやらに来ている。だけれど表立って入る訳も無く、裏口からこっそり入る事になっている。
「お待ちしておりました姫様。さぁこちらへ」
「ありがとうジェームズ」
「こちらが姫様の控え室となっております。では私はこれで失礼いたします。」
「さぁ姫様!おもいっきりおめかししましょうね!」
「お…お手柔らかにね…アーシャ…」
…ふぅ、やっと終わった…。
真っ赤なドレスに黒いヴェール、髪は私らしくをテーマにこの前父と一緒にお屋敷に行った時の表現しづらい髪型だ。ヴェールは発表前に顔を見られないようにする為である。
「姫様、失礼いたします。」
「ジェームズ!」
「舞踏会が一望出来る特別席がございます、そこへ案内しろと王が。」
「…わかったわ。」
「…うわぁ!凄い!」
人々が集い、きらびやかなドレスや装飾品でキラキラ光っている。うーん表現しづらい位キレイ。
「…姫様!お静かに!」
「あっ、そうよね。」
「周りの方々がここを見ないように照明をあえて当てないようにしています。ですからここではヴェールを外していただいても結構ですよ」
「あら、そうなのジェームズ?」
お言葉に甘えてヴェールを外す
「これなら見やすいわね!…ん?」
あれは!
「ラギ…!?」
前髪を後ろに流し、この場にふさわしい服を着ているラギを見つけた。いつもはフードで隠したメカクレで顔のほとんどが見えないとしても私にはわかる、あれはラギだ。
「かっ…かっこ可愛い~!」
そう、初めて顔を見たが普段のギャップもありとてもかっこいいし可愛いラギがそこに居た。童顔気味ではあるが整った顔をしているしカッコいいじゃないかラギ!メカクレも良いけどこっちもめっちゃ良い…!
「…姫様、ものすごい笑顔ですね」
「え?…そうかしら?」
「誤魔化しても無駄ですよ~何を見ていたんです?」
「…秘密よ秘密!」
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あの微笑みは
「ネヴィア…?」
「ほら、あの微笑みがネヴィア様にそっくりだろう。私の言った通りじゃないか」
いや、お前その言い方はまさか前にもう既に見に行ってたんじゃないか?
ここは特別席。俺はランスと共に、別の特別席に座っているアイツを見ている。
「何故親であるアーサーより他人である私の方がわかるんだろうか…」
「…ランス」
「おっと言い過ぎました。すみません。」
「…まぁ良い」
「…それにしても本当に笑顔がネヴィア様にそっくりですよね。ネヴィア様がかつて貴方に微笑んだようなあの微笑み」
「…それでも普段のアイツはモルガナにそっくりだ。」
「それは本当の笑顔を見たことがなかったからじゃないですか?」
「…何?」
「その証拠に今の姫様の笑顔を見たのは初めてでしょう?…ネヴィア様にそっくりのあの笑顔に免じて、今日この日に姫として正式に発表したらどうです?」
「…考えておく」
「素直じゃないですね」
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ラギを見つめていたらその周りに女の子達が寄ってきている。ラギは困った様子でたじたじだ。あぁ、そりゃモテるだろうな。何せ王の友人の息子でイケメンだもん。…でも
「普段のラギの事を知らないくせに…」
「…姫様?」
「どうかされましたか?」
「…あぁ何メリュジーヌ、アーシャ。」
「いえ、突然顔が曇ったのでどうしたのかと。」
「何でもないわよ!…何でも」
「姫様…」
「姫様、王がお呼びです。」
「…え?お父様が?」
何かとてつもなく嫌な予感がするのは気のせいだろうか…そう思いながらも、ヴェールをかぶり直し席を立った。
舞踏会回です。頑張れモルドレッタちゃん。




