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048 二度あることは……

 俺の視界に闇が広がる。

 俺はその闇のなかに漂っている。そこは、上か下かもわからない場所だった。

 さて、ここは一体何なのだろうか?確か俺は死に戻りしたはずだから、今は神託所にいるはずだが。

 うーん、考えられる可能性としては、二つ。

 一つは、運営が用意したトラップ。まあでもこれはないと思う。このゲームの運営なら、もっと鬼畜なのを用意するはずだし。

 もう一つは、自爆したときの専用のペナルティだ。でも《赤色巨星》は正確には自爆技じゃないと思うんだがな。それとも《超新星爆発》の方か?

 そんなことを考えてる間に闇に漂うだけの時間は終え、俺の視界に光りが差し込む。



――――――――――――



 「神の使わせし戦士よ、おまえはまだ逝くべきではない。再び舞い降り、戦いたまえ!」


 目を開けると、そこは神託所で、神父さんのいつもの声が聞こえてきた。

 とりあえずここに用は無いし、外に出るか。

 外に出てあたりを見てみると、すぐそばにカリストとインテグラルとモノポールの三人がいた。地下にいる間にだいぶ時間が経っていたようで、既にあたりは夕暮れだ。はて、俺の方が先に死んだはずなのに、何故この三人がここにいるんだ?

 疑問に思いつつも、とりあえず声をかけてみる。


 「よお。」


 「よお、じゃないわよ!」


 声をかけると、カリストの怒鳴り声が聞こえてきた。


 「……何を怒ってるんだ?」


 「あんたねえ、なに《赤色巨星》なんて使ってるのよ!」


 「何かまずかったか?」


 「あんたがあの時《超新星爆発》を起こしてあの機械野郎を倒したまでは良かったわ。でもそのあとあんたは《ブラックホール》になって、それに巻き込まれて私たちは死に戻りよ!」


 事情は理解した。


 「……何というか、済まなかった。」


 「その辺にしといてあげなよ。元はといえば、彼にすべてを託した僕たちに原因があるんだしさ。」


 「むぅ……」 俺とカリストの間にインテグラルが割って入り、カリストはそう諭されて不満気ながらも引く。


 「本当に済まなかったな。こんなことになってしまって。」


 「べつに気にしなくていいよ。君がああしなかったら、僕たちは機械将軍の素材を得られなかっただろうしさ。正直、あれだけやって何の見入りも無い君が気の毒だよ。」


 インテグラルはそのあとに良かったら少し譲ろうかと続けてくるが、俺はそれを丁重にお断りする。結果がすべての世の中だ。なるべくしてこうなったのだから仕方が無い。


 「ところで、おまえはこのあとどうするんだ?」


 不意にモノポールがそう聞いてくる。うーん、そうだな、とりあえず防具の耐久度がかなり減っているから、まずはエレナのところに行くべきか。


 「とりあえずは防具の耐久度がかなり減っているから、知り合いの防具職人クラスのプレイヤーのところに行くよ。」


 「そうか、ならここでお別れだな。」


 俺はエレナにフレンドメッセージを飛ばしながらそういうと、モノポールがそう返してきた。


 「おまえらはこのあとどうするんだ?」


 「適当にその辺の店で打ち上げでもやるよ。」


 それは楽しそうでいいな。

 そのあと俺達は適当に談笑した後、別れた。ちなみに別れるときそれぞれこんなことを言ってた。


 「またな、次会ったときもよろしくな!」


 「あんたが死ぬのは勝手だけど、死んだ後も迷惑をかけるのはやめなさいね。」


 「断言する。僕たちがまた会う確率は100%であると。」


 言うまでもないだろうが、上からモノポール、カリスト、インテグラルである。

 彼等と別れた後、フレンドメッセージでエレナがサイドルにいることが分かったので、風の調べでサイドルに向かうことにした。



――――――――――――



 サイドルについた俺は、神託所へと向かう。待ち合わせは、いつもの如く神託所前の広場だ。

 広場につくと、そこには既にエレナがいた。


 「よお。とりあえず防具の修理と後できれば強化も頼む。」


 俺はとりあえずそう声をかける。


 「やあ、そういうことなら、とりあえず防具と素材を見せて。」


 エレナがそういうので、とりあえず防具を外し、素材もすべて見せる。


 「また随分と耐久度を減らしたね。あんた、もう少しこまめに直そうとは思わないの?」


 「いやそういわれても、俺は回避主体だから、あまり耐久度は減らないんだよ。」


 「それでもつねに万全を期しておきなさいよ。いっそ毎日来ればいいじゃない。」


 「毎日はさすがに迷惑だろ。」


 「……私はべつに迷惑だとは思わないわよ。」


 ん?こいつ最後に何て言った?


 「今何て言った?」


 「なんでもないわ。それより、素材の方はなかなかすごいのが揃ってるね。」


 俺は聞くが、エレナはそれに答えず、素材を熱心に見はじめる。あれは何だったんだろうか?

 俺は素材を見るエレナを見ながら物思いに耽る。

 そうしてると、ふと大事なことを思いだし、それをエレナへと告げる。


 「おっと、そういえば一つ大事なことを忘れてた。俺今無一文だから、支払いは素材で頼むわ。」


 そう、これも自爆技を使ったペナルティなのか、俺の今の所持金は0なのだ。


 「……また荒い金の使い方をしたのね。」


 エレナが呆れたようにそういう。


 「いろいろあったんだよ。察しろ。」


 「それじゃ、あんた今日は野宿?」


 「そうなるかな。まあ、野宿にもだいぶなれてきたし、平気だよ。」


 俺がそういうと、エレナが不意にこんなことを言い出した。


 「そういうことならさ、今日は私のところに泊まらない?」


 ……確かインテグラルの《総和》はもう解けていて、必然的に《言語学》スキルで得られる特殊スキルの《二度あることは三度ある》はもう無いわけであって、いやそもそもこんなスキルなかったか。


 「……いいのか?俺は今無一文だぞ。それとも泊めてやるから素材を全部寄越せとかいうのか?」


 俺はかなり混乱しながらこういう。


 「べつに構わないわよ。それに今回はただでいいわ。」

 「……どういう風の吹き回しだ?」


 「ただの気まぐれよ。それともなに、あんた、女の誘いを断るつもり?」


 こう言われると、男は弱い。

 その日、俺はエレナが作業をする隣で夜を明かすこととなるのであった。

こゆい学者達とは、しばしのお別れです。

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