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003 初めての狩り

 俺達は村を出ると、南に向かって森に入った。

 入ったはいいんだが……


 「本当に何もしてないみたいだな。普通過ぎるぞ。」


 そう、怠惰というだけあって、何もして無いようである。モンスターも弱そうなのが数匹いる程度だ。


 「まあ『侵略怠ける怠惰の森』だしな。俺達には好都合だろ。適当に刈ろうぜ。別行動でも問題無いよな?」


 俺のぼやきに、イルカがそう返した。



 『侵略怠ける怠惰の森』というのは、この森の俗称だ。

 このエリアを支配してるであろう怠惰さんがあまりにも何もして無いようなので、エリア全体を『侵略怠ける怠惰のエリア』と揶揄されており、最後のエリアの部分には地形の名前が入る。例えば草原なら『侵略怠ける怠惰の草原』だ。



 「多分大丈夫だと思う。とりあえず適当にやってみるよ。」


 俺はイルカの返答にそう返したあと、俺達は別れた。さて、やれるだけやってみようかね。



――――――――――――


 「まずは、そうだな、あいつあたりを狙ってみるか。」


 俺は上空3m程度を飛ぶ人の顔くらいのサイズがある蜂を《索敵》スキルで見つけると、そういった。ちなみに今は《隠蔽》スキル発動中である。

 それと、このゲームでは、ボスは別だが初見の敵の名前は基本分からない。

 知るためには、一度倒してドロップアイテムで知るしかない。



 言うが早いか俺は右手に握ったチャクラムを構えて、狙いをつけ、そして放った。

 《投擲》スキルの補正もあり、チャクラムは狙い通り蜂に向かって飛んでいき、そして当たった。

 だがどうやら一発で仕留めることはできなかったようで、蜂が怒ったような反応をし、こちらに向かって来る。ちなみにチャクラムは投げると戻って来る仕様であり、既に俺の右手に収まっている。


 こちらに蜂が向かってきたので、今度はチャクラムを投げずに構える。 蜂が俺に体当たりをしてきたが、俺はそれをすれすれで避けて、チャクラムを持ったまま右手で殴る。 チャクラムは持ってる状態だとリーチがほぼ無いので、格闘武器として扱われるようなので、《格闘》スキルの恩恵が得られる。

 殴ったら蜂が吹き飛んでいったので、チャクラムを投げる。

 だがそれでも倒しきれなかったようで、再び突進して来たので、今度は地面に左手をついて横向きの状態で蜂に正面から蹴りを食らわせる。《軽業》スキルがあるからできることだ。

 それで漸く倒せたようで、蜂の姿が消え、変わりにアイテムポーチにドロップアイテムが入る。アイテムポーチは腰に下げてあるポーチのことだ。重量制限があるが、だいたいのアイテムはここに入る。

 ドロップ品がこれだ。



――――――――――――

ビックビーの針

重量:1 レア度:1

ビックビーの尻についている針。毒液が少し滴っている。

――――――――――――



 あの蜂はどうやらビックビーというらしい。そのままである。というか毒液が滴っているって、これどう考えても毒攻撃持ちだったよな。使われなかったのはラッキーだったな。


 「にしても、チャクラムはやっぱり火力が低いな。早いところ数を揃えねば。」


 俺はそうぼやいた。実際チャクラムの攻撃力はすべての武器で最低らしい。これは早くあれをできるようにしないとな。

 そんなことを考えながら、俺は次の獲物を探しに行った。



――――――――――――



 「何だこれは?」


 獲物を探して落ちてる枝を拾ったり、葉っぱをむしり取ったりしながらしばらく森の中をさ迷っていたら、中央に石像がある広場のような場所に出た。

 ちなみにこれは余談であるが、せっかくだと思い、地面ではなく木の上を跳ぶように移動してみた。《軽業》スキルと《平行感覚》スキルのおかげでこんな芸当ができるらしい。忍者になる前でこれだから、なった後が楽しみである。



 石像の形はさっき倒したビックビーのような大きな蜂だった。

 そして石像がある台座には、クレイジービーと書いてある。

 Wikiの情報によると、この石像はボスの石像で、おそらくこの広場が戦闘エリアだろう。

 このゲームのボスには四種類いて、各エリアに通じる場所を守るエリアボス、各フィールドに条件を満たすと出現するフィールドボス、ダンジョンの最深部にいるダンジョンボス、各エリアを支配している七つの大罪の四種だ。

 フィールドボス以外は石像があるので、これは恐らくエリアボスだろう。



「見つけたはいいが、今の状態で挑むのは、自殺行為以外の何物でも無いよな。よし、これは放置しとこう。」


そういうと俺は踵を返して、また移動をはじめた。



――――――――――――



 「何だあれは?人面樹?」


 しばらく木の上を移動(忍者移動と呼ぶことにした)していたら、人のような顔を持った木の魔物を見つけた。

 俺が今いるところは、だいたい地上から2mくらいのところだから、上背は目算で1.5mくらいだろうか。それが平行距離で3mくらいの場所にいる。


 「まああれが何かは倒せば分かることだ。まずは先制攻撃っと。」


 そういうと俺は仮称人面樹にチャクラムを投げた。

 チャクラムは狙い違わず人面樹に当たった。その直後に人面樹は周囲を攻撃するが、俺のいるところまでは届かない。

 おまけに攻撃が終わっても、まるで根を張ったようにその場から動かない。いや、根を張ったようにではなく、実際に張ってるのだろう。


 「何というか、随分と遠隔武器優遇の敵だな。」


 まあ楽なのには違いない。このまま嬲らせてもらおう。


 そのあと何回かチャクラムを投げつけて、倒した。

 ドロップアイテムはこれだ。



――――――――――――

フェイスツリーの枝

重量:1 レア度:1

フェイスツリーの腕とも言える部分の枝。しなやかさがあり、衝撃を吸収する。

――――――――――――



 フェイスツリー、顔の木か。そのまんまを想像すると、なかなかキモいな。

 そんなことを考えながら、俺は探索を続けた。



――――――――――――



 一通り探索し終えたので、イルカとの合流場所である森の入口へと向かう。

 ちなみに探索してみた感想なのだが、どうやらこの森は俺のスキルレベル上げにうってつけの場所らしい。

 《隠蔽》スキルと《索敵》スキルは常時発動してれば上がるし、《掴み》スキルと《投擲》スキルはチャクラムを投げてれば上がる。これは他のところでもできるので、問題無い。

 問題は《軽業》スキルと《平行感覚》スキルだ。この森はこの二つのスキルを併用して行う忍者移動が使えるので、ガンガン上がる。

 それと、《格闘》スキルを上げるためにフェイスツリーと接近戦をしてみたんだが、率直に言うと、《格闘》スキルと《軽業》スキルの組み合わせはなかなか強力だった。だってカポエラみたいな動きが普通にできるんだもん。カポエラ使う忍者なんか聞いたことねーよと思ったが、そこは気にしないでおく。あと、ビックビーは案の定毒攻撃持ちだった。序盤だからそんなに強力なものでは無いだろうが、喰らうのもあれなので、全部避けさせてもらった。

 それともう一つ、ドロップアイテムについてだが、あのあとビックビーからは針の他に蜜と蜜蝋が、フェイスツリーからは枝の他に実を獲得することができた。ビックビーを7体、フェイスツリーを11体ほど倒したので、なかなかうまうまである。



 「どうだ、成果は。」


 森の入口まで戻ると、既にイルカがいた。


 「おう、なかなかうまうまだったぜ。主に素材とスキル的な意味で。」


 「それは良かったな。そろそろ村に戻ろうぜ。」


 イルカがそういったので、俺達は戻ることにした。

 ちなみに物凄く今更だが、村の名前はオーランである。



――――――――――――

名前:海月

クラス:無クラス

装備

武器:ベースチャクラム

頭:ベース兜

首:無し

胴:ベースアーマー

腕:無し

脚:ベースレガース

指輪:無し

スキル構成

《格闘Level 3》《投擲Level 5》《掴みLevel 5》《平行感覚Level 4》《軽業Level 6》《隠蔽Level 5》《索敵Level 5》

攻撃力:10

防御力:3

残SP:18

残金:159G

――――――――――――

装備品が出ました。さすが初期装備、数字がひどいです。

同じベース系の武器でも、攻撃力が剣は15、大剣や斧にいたっては20を超えます。いかにチャクラムの火力が低いか分かります。

ベース系の防具はださいです。ほとんど定番ですね。

最後の二つについては、次で明らかになります。今は気にしなくても大丈夫です。

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