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002 降り立った世界

 足が大地を踏み締める感触がしたので、閉じていた目を開ける。

 最初は眩しくて目が眩んだが、次第に慣れ、周りを見渡す。



 そこは、平和な農村といった感じの場所だった。

 中央に教会のようなものがあり、その周りに広場が広がり、さらにその周りにたくさんの家が建っている。ちなみに家は全て木造だ。

 魔王に滅ぼされかけてる割には平和だなと思うが、直後にWikiで得た情報を思い出す。



 それによると、魔王には七人の幹部がいて、それぞれ七つの大罪を司り、その七人が世界を七つに分けて支配しているそうだ。

 プレイヤーが最初にいるエリアは、比較的平和な怠惰のエリア。 怠惰だから何もしていないというのがプレイヤーの見解だ。多分当たってるだろう。

 教会のような建物は、神託所というらしく、スキルを追加したり、クラスを変えたりするのに利用するらしい。



 神託所の周りの広場にはプレイヤーがたくさん集まっている。まあMMOの初日というのは概ねこんなものだ。

 ゲームにログインしたら友人と会うことになっているが、こんな人込みでは会うことなんてできないので、あらかじめ決めていた合流場所の村の東の井戸に移動する。



――――――――――――



 東の井戸に行くと、身長180あまりはあるだろうという金髪の巨漢プレイヤーがいた。合流するために事前に教え合った容姿のとおりだ。


 「ちょっとそこの大きなあんちゃん、ここであんちゃんみたいな人と待ち合わせしてるんだが、一緒にいいか?」


 俺はおどけた調子で、友人にいう。


 「俺も待ち合わせしてるんだ。ちょうどおまえみたいな人とな。名前を教えてくれ。」


 「俺の名前は海月だ。あんたは?」


 「イルカだ。容姿が似ることはあっても、名前まで同じはないから、どうやら俺の友人のようだな。」


 友人改めイルカがそういう。どうやら無事合流できたようだ。


 「随分と混雑してるようだが、まあMMOの初日なんてこんなものだよな。」


 「まあそうだな。それにしてもおまえは、相変わらず女みたいな顔だな……」


 いきなり失礼な奴だ。

 俺の顔は、中性的な感じの所謂女顔だ。耳が隠れる程度に伸ばした髪と165程度しかない身長もそれに拍車をかけている。頼むから放っといてほしい。


 「それにしてもおまえ、随分とマイナーな武器を選んだな。」


 俺のそんな気持ちを察したかどうかは知らないが、イルカが俺が手に持っているチャクラムを見てそういいだした。


 「うるさいほっとけ。俺の特技を活かせると思ったから、これにしたんだよ。」


 「おまえ、ゲームであれやるつもりか……確かにチャクラムならできるだろうが、でも相当PSが高くないと難しいと思うぞ。」


 俺の反論に、イルカが呆れたようにそういった。


 「その辺はまあ、《軽業》取ってるし、どうにかなるだろ。」


 俺がそういうと、イルカが少し引き攣った顔をした。何か変なこといったかな?


 「チャクラムを使うということは、《格闘》を取ってるから、それの補助で《軽業》を取ったんだよな?そうだよな?」


 「そういうのも考えてたけど、向こうが主目的だな。」


 「ちょっとおまえのスキル構成見せろ。」


 イルカがそういってきたので、ステータスウィンドウを可視状態にして、スキル構成をイルカに見せる。

 ステータスウィンドウは普段は自分以外には不可視だが、設定を変えることによって可視状態にすることもできる。

 それと言い忘れたが、プレイヤーの視界の左下には四段のゲージがあり、上から順にLife Gauge通称LG、Stamina Gauge通称SG、peculiar Gauge通称PG、一番下がFull Gauge通称満腹度となっている。

 Life Gaugeが所謂体力で、零になると死ぬ。Stamina Gaugeが各種の行動やスキルを使うのに消費、peculiar Gaugeがクラスを変えることによって出現する固有スキルを使うのに消費、クラスというのは今は関係ないから、後で説明しよう。Full Gaugeはプレイヤーがどれくらい満腹かを表すゲージだ。


 「おまえは俺が忍者に憧れているのを知ってるだろ。それになるんだよ。」


 そう、俺は昔から忍者に憧れていた。最初はRPだけにしようと思っていたが、そういうクラスがあると聞いて、渡りに船とばかりにそれになることにしたのだ。

 俺がそういうと、イルカがどこか諦めたような表情をした。なぜだ。


 「まあ何になるかはおまえの自由だし、好きにしろ。とりあえず狩りに行くか。草原はもう飽和状態だろうから、森に行こうぜ。森は少し難しいらしいが、俺達のPSならいけるだろ。」

 イルカが溜め息を吐きながらこんなことを言い出した。狩りに行くのは賛成だが、何故溜め息を吐く。

 いろいろと腑に落ちないところはあるが、そうして俺達の最初の狩りの場所が決まった。

LGが体力、SGがスタミナ、PGがスキル、満腹度はそのままです。


作者自身もちょっと分かりにくいと思いますが、覚えていてもらえるとありがたいです。


RP:ロールプレイングのこと。特に意味はないけど、気分でやる類のもの。

PS:プレイヤースキルのこと。プレイヤーの技量を表す。


一応説明しておきます。

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