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とある兵士と謎の男

 第20話です。


 遅れてしまいました。



 朝、月英に頬を引っ張られて起きたジェフは、大変機嫌が悪かった。

 と言っても、月英が頬を引っ張った事や、ジェフに何故か自ら寄ってきて右膝にくっ付いて、自分と同じモノを見ているからではないし、徐晃が何時もの1.5倍程の元気さを振りかざしながら左肩にしがみついている事でもない。

 今ジェフの目の前にある昨日使用し役目を果たした得物、スナイパーライフル『L1_8A』とハンドガン『U_P.45』が無くなり、サブマシンガン『Vec_or K10』とハンドガン『Fi_e se_eN』が鎮座していたのだ。


(マジでさぁ、唐突に武器を変えるの止めてくれよ。しかもサブマシンガンって、サプレッサーとリフレックス(光学サイトの事)になってるがよぉ、スナイパーライフルより遠距離は微妙だろうが…)


 狙えないわけではないが、それでも近中距離戦仕様の銃で狩りはキツいだろうと、ジェフは得物を睨みつける表情とは裏腹に、内心で涙していた。

 そんなジェフの心境を余所に、ジェフの持つ道具に興味深々な月英と、昨夜の件で確実に仲が悪くなったと思った徐晃に、纏わりつかれたジェフだったが、月英が居るために振り払うことも出来ずに、内心の憤りを募らせていくのだった。


 太陽が頭上にさしかかった頃、ジェフと少女達一行は、ゆっくりと準備してから野営地を出発した。

 理由としては、奴隷から解放されたばかりの少女達が半数を占めるため、急ぎではあったが、無理もさせられなかったからである。

 疲労が少女達を襲う…と思っていたのだが、思っていた以上に賑やかな事が、ジェフにとっては救いだったが、同時に唯一の男性であるジェフにとって肩身が狭いものでもあった。


(女にゃ色々あるからなぁ、年頃の奴らが3人だけだったのは、マジで助かった)


 その徐栄、李儒、沙摩柯の3人は、沙摩柯が若干悪ふざけをするが年頃の少女と言う事も多少はあったが、かなり協力的な為、ジェフの負担がかなり減っているのは事実ではあった。

 もし、1人で後ろのお嬢ちゃん達の面倒を見ていたらと思うと、背筋が寒くなるジェフであった。


 〇


 そして、ジェフと少女達一行が歩く事5日、まだ離れた場所ではあったが、離れていても分かるほどに大きな城壁が、ジェフや少女達の目に飛び込んできた。

「徐栄、あれが洛陽で良いのかねぇ?」

 地図を見て確認した後、徐栄に尋ねると徐栄はとても良い笑顔でジェフを見て頷く。

 すると、少女達は一斉に喜びだした。

 ある者は涙ぐみ、ある者は隣に居る者と両手を合わせて飛び上がったり、思い思いの喜びを見せていた。

 そんな中、ジェフは違う思いを抱いていた。


(はあぁ…やっとmission終了かよ。長かったぜ。つっても、俺は漸くスタート地点だかなぁ)


 頭を掻きながら、ジェフはそんな事を考えている横で、ジッと徐晃はジェフを見つめていた。


(ど、どうしよ。洛陽に着いちゃうよ…オジさんがもうすぐ居なくなっちゃうよ)


 あの晩以降、ジェフの役に立とうとしたり、ジェフに構って貰おうとした徐晃だったが、全て空振りに終わってしまっていた。

 残り時間は、もう殆ど無いと判断した徐晃は、更なる攻勢をかけようとしたその時、ジェフが徐晃を含めた全員に止まれと鋭い声で指示を出す。

 すると、ジェフの目線の先に黒を基調とした着物に、薄い黄色のズボンの様なモノを履き、白い布の前掛けをした男が立っていた。


「かなり失礼な説明だが…まあ、今は良いだろう。貴様がジェフ・トルーマンか?」


 見たこともない男の出現に少女達は戸惑い、しかも殺気を放ちながら男は話をしている為、徐栄は商人達の持ち物だった槍を、沙摩柯は直剣を抜き放って構えるが、ジェフが左腕で待てのジェスチャーをする。


「ジェフ・トルーマン? 誰だそりゃ? 態度のデカい奴だな、名前ぐらい先にてめぇが名乗れよ、ダボが」


 悪態をつかれた男だったが、平然としておりジェフの言葉を無視した男の腕が一瞬揺らいだ。

 ジェフは相手の腕が揺らいだ時に一番の殺気を感じた為、顔を右に逸らすと、ジェフの左頬を何かが掠めていった。

 ほぼ相手から目線を切らなかった筈なのだが、目の前に居たはずの男は既に存在していなかった。

 ほんの一瞬目線がナイフに行ってしまった瞬間に逃げられた様だったので、ジェフは、どうしようもない相手だと認識してしまう。


「ちっ、一体なんなんだ? ありゃあよ」


 苛つきを覚えるジェフだったが、警戒を怠らないようにしていると、徐栄が話し掛けてきた。


「トルーマン殿、ご無事ですか?」


 徐栄の言葉に男の居た方向を向いた状態で頷いて答えると、徐栄は神妙な声で話す。


「トルーマン殿、あの男が小刀にこんな物を…」


 ジェフは顔の位置を変えずに徐栄からそれを受け取ると、手渡された物を確認する。


「なんだこりゃ、手紙? 男からの投げナイフにラブレターとは、吐き気がするぜ」


 吐き捨てるかのように、言いつつジェフが中身を確認すると、途端にジェフの顔色が変わる。


『洛陽内にある「漢女天国」にお前の知りたい情報がある』


 そう小さな手紙に記されていたのだ。

 徐栄達も、手紙を覗き込もうとすると、手紙は一瞬で燃え去ってしまう。


(けっ、人1人呼び出すのに大層なこった。そんなに来て欲しいなら行ってやる。だからよぉ、首ぃ洗って待ってろや!!)


 そう思ったジェフが、洛陽の城壁を睨みつけると、徐栄がおずおずとジェフに質問してきた。


「と、トルーマン殿、手紙には一体何と?」


 ジェフは、そのままの目つきで徐栄を見てしまったが、やっちまったと思い瞬時に目つきを戻すと答えた。


「うん? ああ、ずっと前から好きでしたとさ。とんでもねぇ愛の告白もあったもんだぜ。俺は普通だっつうのによぉ、お前らはあんな男に引っかかるなよぉ?」


 ジェフはそう言っておどけると、少女達は顔を見合わせた後、ジェフが冗談を言っているのだと思い、は~い、と返事をするのだった。



 若干調子が悪いため、短くなってしまいました。


 一気に冷え込んできましたね。


 この物語を見てくださっている方々も、お体にお気をつけ下さい。



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