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とある兵士と少女達の別れ1

 第21話です。



 ジェフが謎の男に襲われた後、全員で洛陽内に入ることは危険と判断したジェフと徐栄達は、少女達を連れて近くの森へ移動した。


「厄介事は、重なっちまうもんだな」


 ボソッと独り言を言うジェフに、右肩飛びついていた徐晃は首を傾げ、左脚にくっ付いている月英は心配そうに見上げていた。

 そんな2人の頭を少し撫でた後、若干ぐずる徐晃と月英を食事に行かせると、ジェフは徐栄と李儒、そして沙摩柯を呼び出した。


「…何でしょうか?」


 徐栄の表情は若干暗い、と言うより悲しみの色が見えている。

 ジェフが呼び出した理由が、そう言うモノだと思った様だった。


「安心しなってのも可笑しいが、今直ぐにサヨナラって訳じゃねぇよ」


 ジェフがそう言うと、徐栄と李儒は驚きの表情の後で笑顔になり、沙摩柯は唇を少し上げて笑みを浮かべた。


「そ、そうですか。では、どの様な話ですか?」


 嬉しそうな表情が一転、真剣な表情に変わり、隣に居る李儒も同じく真剣な表情になり、喉を小さく鳴らしていた。

 沙摩柯はうっすらと笑みを浮かべたままで、話を聞くつもりのようだった。


「まあ、洛陽に着いたら、俺とお前らは解散って事になるんだが、ちっとつまらん話を聞いた以上、慎重に行動した方がお互いの為な可能性が出てきちまった」


 ジェフの言葉に徐栄と沙摩柯は?マークを頭の上に浮かべていたが、李儒はしきりに頷いており、ジェフの言いたいことを完全に理解しているようだった。


「そうですね、私達はともかく、トルーマン様は桂花ちゃんを助けてしまっていますから、もし賊徒が居なくなった事がバレたら、私達やトルーマン様に危険が及ぶかも知れません」


 李儒の言葉にジェフは一度だけ顔を縦に振ると、李儒に質問した。


「でだ、李儒はこれからどうしようと思ってる? 俺的な予想から言って、どっか遠くの地へ異動して貰うように荀コウ、だっけか? 荀イクの親父に頼むって感じか?」


 その言葉に、李儒は一瞬目をむいて驚くが、目を瞑って動揺を押さえていたのか、数秒後に答える。


「トルーマン様は、藍ちゃんの言葉じゃないですけど、意地悪さんですね。心臓に悪いので、もう少しボカして欲しかったです」


 困った顔をしている李儒に、わりぃなと悪びれた様子の無い謝り方をするジェフに、苦笑する李儒であった。

 そんな中、小首を傾げていた沙摩柯が、ジェフに質問する。


「…それでトルーマンは、何をしようと思ったの?」


 そう沙摩柯に言われてしまい、一瞬つまるジェフ。

 そんなジェフを笑みを浮かべたまま見つめる沙摩柯に、彼女も感覚的に理解していると思い、とある提案をしてみる。


「実はな…」



 〇


 暗い森の中で、焚き火をしながら、徐晃達のグループと、何平達のグループが一緒になって食事をしていた。

 年長者を見ると、沙摩柯のみが残っており、自身の警戒網を疲れない様に使用し、少女達を見守っている。


(…まあ、この状態は考えられた。…トルーマンと徐栄以外にヤレるのは、私と徐晃と何平位)


 その徐晃と何平も人を斬った回数など余りないだろうと、沙摩柯は考えていた。


(…この場でヤレるのは実質、私だけ)


 彼女は彼女で異民族ではあるが、暫く少女達と行動していると、何の気後れもなく普通に接してきた為、沙摩柯にとっても居心地が良く、ならば護ってやらねばと、庇護欲の様なモノが湧いているのだった。


(…不思議。この子達は漢民族なのに、私を受け入れている。…そういえばトルーマンも異民族、か。それで?)


 そんな事を考えながら沙摩柯は警戒を怠らず、周りを気にしているのだった。


 〇


 そして残っている徐晃は、本気で泣いていた。

 理由としては、ジェフから全員に対して、別れの挨拶をされたからだ。

 結局、徐晃は満寵に知恵(と言っても出来ることは、しつこくする事くらいだと言われていた)を借りたが、結局ジェフに真名を預けることが出来ず、ジェフが離れてしばらくすると堰を切ったかのように泣き出したのだ。

 流石に見たことの無い有り様だった為、戸惑った何平が側にいる満寵に問い質した。


「お、おい、満寵。こいつ、大丈夫かよ? 何とかした方が良いんじゃねぇか?」


 そう問われた満寵だったが、涼しい顔をして何平に答えた。


「まあ、泣きたいときに泣いておく方が良いですよ。それに、ほら」


 そう言って、満寵は徐晃を指さすと、目が充血してはいるが徐晃は、ん~、などと言いながら伸びをしていた。


「おい、徐晃。お前、さっきまで大泣きしてたのに、暢気だな」


 若干困惑気味の何平が、徐晃に対して聞いてきたが、当の本人は右手の人差し指を顎に当てながら、ケロッとした表情で答えた。


「ん~、悲しかったけど、一気に泣いたらスッキリしちゃったよ。やっぱり悲しいことがあったら、大泣きするのが一番だね」


 あっけらかんと答える徐晃に、半ば呆れ顔の何平が言う。


「お前なぁ、さっき泣いてたのが嘘みたいに、切り替えるなよ。こっちが戸惑うわ」


「あはは~ごめんね~。でも、さ。悲しいのは無くなったけど、やっぱり寂しいよ」


 そう言って、寂しそうに笑う徐晃を見た満寵が、黙って徐晃の肩を抱いていたが、何平が何を思ったのか、徐晃の脳天目掛けて手刀を繰り出した。


「いったー!! 何平、何するのさ!!」


 額を抑えながら涙目で言う徐晃に、何平はフイッと顔を背けて答えた。


「べ、別によ、あいつと二度と会えないって訳じゃないじゃねぇか、生きてりゃ何とかなる」


 そっぽを向いたままそう言う何平は、言い終わると頬を赤くした為、それを見た徐晃と満寵はクスリと笑うのだった。


「な、何笑ってんだよ!? 俺はなぁ!!」


「ごめんごめん、何平も優しいもんね」


 そう言われた何平は、一瞬口を開けたまま呆然としたが、直ぐに顔を横に振って、んなわけねぇだろ、と言うとまた徐晃と満寵はクスクスと笑い、何平が笑うなと騒いでいたのだが、ふと、徐晃が口にした言葉で、満寵も何平も黙ってしまった。


「なんかさ。オジさんと、もう二度と会えない様な気がしたんだよね。なんでだろ、寂しいって思った時に、すっごく怖くなっちゃってさ。おかしいなぁって思ったんだけど、この感じ、前にも感じた事があるんだよね」


「…何時のことなんだよ?」


 何平が、少し暗い顔をしながら聞くと、徐晃も同じ顔で答える。


「…男の人達に村が襲われてお父さんがその人達に立ち向かった時、だよ」


 そう徐晃が言うと、辺りは静かになり暗い森の中で、鳥の鳴き声だけが響いていた。



 むぅ、話は出来てるんですが、とある重要なファクターがまだ決まらず大変困ってたりします。

 一応初期プロットでは、決まっていたのですが、何度か見直すとどうも今の話にフィットしないんですよねぇ…



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