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リラックス

「…あれ?」

私は、お姉様が居ないことに気付いて、目が覚めました。

外を見てみましたが、まだ真っ暗で、確実に朝ではありません。

「お姉様…」

私は、お姉様を探して部屋の外に出ました。



しばらく探してみましたが、お姉様はどこにもいませんでした。

「もしかして、外にいるのでしょうか?」

私が外に出てみると、女性の声が聞こえました。

お姉様の声です。

私は、声のする方に走りました。

すると、お姉様は中庭で剣を振っていました。

「お姉様?」

私が声をかけると、剣を振るのをやめて、走ってきました。

「どうしたのサフィー?何かあった?」

「お姉様がいなかったので、探しに来たんです。」

「そう…ごめんなさい、起こしちゃって。」

そうじゃないです。

「どうして、こんな時間までこんなことを…」

「ん?」

お姉様は、顎に手を当てて少し考えたあと、

「強くなりたいから、かな?」

予想出来た答えが、返ってきました。

だから、私もとっておいた質問を投げ掛けます。

「どうして、そこまで強さを求めるのですか?」

私が質問すると、お姉様は笑って、

「サフィーを守るためよ。」

これも、私の想定内でした。

しかし、お姉様の言葉は続きます。

「何かを守れるのは、それだけの力を持ってる奴だけよ。」

確かに、その通りです。

「弱者は、常に奪われると?」

「ええ、守れなかった。サフィーも体験したはずよ?」

私も体験?

「…お母様のことですか?」

「ええ」

お姉様、夜空を見上げて、

「もし、私が神如き力を持っていれば、誰も死なずに済んだんじゃ無いか?って、時々思うの。」

確かに、あの状況で全員を救えるのは、神くらいでしょう。

お姉様が、そんなことを考えていたなんて…

「どうすれば、これ以上奪われないか?それは、誰も勝てないくらい強くなること。弱者が、強者から何かを奪う事は出来ないからね。」

お姉様は、どこか遠くを眺めながら、そう言いました。

「それが駄目なら、大切なものを奪われない為に、必死にしがみつける力が必要なんだよ。」

つまり、どの道奪われない為には、力が必要ということですか…

「あの魔族は、私より強い。」

それは知っています。

「アイツから、サフィーを守るために力が必要なの。だから、こうやって素振りをしてるの。」

私のために…お姉様は、いつもそう言っています。

それで身を削りすぎて、お姉様が倒れてしまわないか心配で仕方ありません。

「お姉様…」

私は、休んでほしいと言いたかったのですが、それ以上の言葉が出てきませんでした。

すると、お姉様は困った顔をして、

「サフィー、言いたいことがあるなら、遠慮なく言ってくれていいのよ?」

私は、いつもお姉様の優しさに甘えてばかりです。

自分では、何もできていません。

「休んでほしい、です。」

とても、小さな声でしたが、お姉様にはしっかり届いたようです。

お姉様は、にっこり笑って、

「そうね、しっかり休むことも大切だものね。分かったわ、今日はゆっくり寝ましょう。」

お姉様は、休むことを約束してくれました。

けど、今夜ぐっすり眠ったくらいで、疲れが取れるでしょうか?

私は、そんな心配をしながらお姉様についていきました。










「う〜ん…」

目が覚めて、窓の外を見ると明るくなっていた。

「もう朝か…」

横を見ると、サフィーが気持ち良さそうに眠っていた。

私は、サフィーを起こさないように、ゆっくりベットを離れて、中庭に素振りに向かった。

三十分ほど素振りをした後、

「お姉様、朝から何してるんですか?」

まだ眠そうなサフィーが、やってきた。

「朝の素振りよ。お風呂に入る前に、一汗かいておこうと思ってね。」

昨日の夜の素振りでかいた、汗はまだ流していない。

だから、先に汗をかいてから、お風呂に入ろうと思っている。

「私も一緒に入りたいです。」

サフィーなら、言ってくるだろうと思った。

「じゃあ、一緒に入りましょうか。」

私は、サフィーを連れてお風呂に向かった。



「あ〜」

私は、肩までお湯に浸かって、リラックスしていた。

サフィーは、私の腕に胸を押し当てて、ピッタリくっついている。

今更気にならない私は、そのままリラックスしていた。

「この後、どうされるのですか?」

サフィーが、心配そうに聞いてきた。

きっと、まだ休んでほしいんだろう。

私は、サフィーの頭を撫でながら、

「朝ごはんを食べたら、もう少しだけ寝ようかな?」

私がそう言うと、サフィーの顔は明るくなった。

サフィーは、隠してるつもりかも知れないけど、凄く分かりやすい。

表情が素直だからね。

そろそろあがらないと、のぼせちゃうわね。

私は、サフィーを連れてお風呂を出た。

…当然身体は入る前に、洗ってあるよ?

ただ、サフィーのスキンシップが酷くて、説明出来なかっただけで…

取り敢えず、ちゃんと身体は洗ってあるからね?








「それじゃあ、お休みなさい。」

「ゆっくり休んで下さい、お姉様。」

お姉様は、あっという間に寝てしまいました。

私は、まだ痛い頭をさすりながら、お姉様の寝顔を観察します。

さっき、お風呂でお姉様の身体を触りすぎて、殴られてしまいました。

本気じゃないとはいえ、お姉様は怪力なので、普通に痛いです。

「私も、少し休みましょうか…」

心配のしすぎで、精神的に疲れてしまいました。

私は、久しぶりに自分のベットで寝ることにしまいました。

お姉様の睡眠を邪魔するわけには、いきませんしね。


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