頭痛
「お姉様〜、もう終わりですか〜?」
「何馬鹿なこと言ってるの?まだまだこれからよ〜」
私もサフィーも、完全に泥酔していた。
机には、大量の空のボトルが散乱しており、店内が酒臭くなっていた。
「何してるんですか?」
ハーなんちゃらがやってきた。
「サフィーが喧嘩売ってきたから、買ってやった~」
「私が悪いみたいじゃないですか~、お姉様が短気なだけです〜」
ハーウェイは、二人の様子を見て呆れていた。
「取り敢えず、侯爵様の所に迎えを読んできましょうか?」
「よろしく〜」
そして、ハーウェイが呼びに行った後すぐに、私達は眠ってしまった。
「ほんとに酔い潰れてるな…」
やってきたのは、侯爵の迎えではなく、ガッスだった。
「ガッスさん、取り敢えず二人を馬車に入れて下さい。」
「おう。」
ローケンも来ていた。
まさか、この二人がお酒を飲んでいたとは…ハーウェイさんに出会えて良かった。
ローケンは、下級街のローカー商会の支店へ向かっている最中、ハーウェイと出会ったのだ。
「ん?ローケンさんじゃないですか!」
「ハーウェイ殿!お久しぶりです!」
たまたま、ハーウェイと出会ったローケンは、少し談笑したあと、
「そう言えば、急いでいるようですが、ハーウェイ殿はどちらへ?」
「ああ、そうだった。侯爵の知人の女性二人が酔い潰れていてな、迎えを呼びに行こうと思っていたんだ。」
侯爵の知人?
ローケンは、侯爵の知人の“女性”という所に引っかかるところがあり、ハーウェイに質問してみた。
「その女性は姉妹で、姉の名前は『ルビーノ』と言ったりしませんか?」
「知っているのか?」
やっぱりお二人ですか…
「お二人をこの街に連れてきたのは、私なんです。…ああ、二人の正体も知っていますよ?」
「…黄金の蜜が目的か?」
おや、当てられてしまいましたか…
「そうですよ、ビーノ様は巣の蜂蜜やロイヤルゼリーを大量に持ってますから。」
商人からすれば、大金を持った無知な女性が歩いてる様な物のです。
私が保護していなければ、どうなっていた事か…
散々利用され、売られるでしょうね。
そうなれば、怒り狂って街の1つや2つ、滅ぼすかもしれませんね。
「なら、ローケンが二人を回収してくれないか?」
「構いませんよ。私がお二人を回収して、宿にでも連れて行っておきましょう。」
こうして、私達はお二人の居るバーに向かった。
「ったく、どんだけ飲んだんだよこの二人。」
支払いは、私がしておきましたが、まさかお二人がこんなに飲むとは…
「ブレンさん、お二人に一体何が…」
ブレンさんは、このバーの店主の事です。
「喧嘩して、我慢比べを始めたんだよ。」
この二人が喧嘩するとは…お酒だけではなさそうですね。
「何か言ってませんでした?」
「少し前に別れた姉が奴隷にされてたらしい。」
姉…他の女王候補の方ですか。
それなら、相当頭にきていたはず、お酒の勢いも相まって、喧嘩になったのでしょう。
「スタンピードが来るらしいな?」
「そのようですね。」
ブレンさんは、少し笑って、
「なら、今かなり儲かってるんじゃないか?」
スタンピードが来るということは、冒険者や街の兵士達がポーションや、予備の武器、バリケードの材料など、様々な物を買いに来ます。
大きな争いが起こるときは、大きな金が動いているのです。
戦争ともなれば、金の動きは凄まじいものです。
戦争は、金で殴り合っている様なものです。
不謹慎かも知れませんが、戦争は商人にとっては、絶好の商売時なのです。
「また今度、大人数で来ますよ。」
「おう、待ってる。」
取り敢えず、一旦宿に戻って、二人をベットに寝かせましょう。
そして、私達はお二人を宿に連れて帰る事にしました。
「ん、ん〜」
私は、誰かに運ばれている様な感覚がして、目が覚めた。
辺りを見渡すと、ローケンの宿にいて、誰かが私を背負っていることが分かった。
「おう、起きたか?」
声で、私を背負っているのが誰か分かった。
「ガッス?」
「ああ、ローカー商会専属の傭兵のガッスだぜ?」
ローケン達が迎えに来てくれたのか…
サフィーは、後ろで私のように背負って運ばれていた。
「自分で歩くか?」
「ええ、それくらいするわ。」
私は、自分で歩こうとした。
しかし、
「いった〜!?」
うまく立てず、転んでしまった。
その音で、サフィーが目を覚ました。
「大丈夫ですか?お姉様。」
私は、壁に手を当てながら、よろよろと立ち上がり、
「大丈夫…ではないね。ガッス、ちょっと手伝ってくれない?」
「言うと思ったよ。」
結局、ガッスに支えられて、部屋に戻った。
部屋に入るなり、私はベットに飛び込んだ。
「お姉様、私の勝ちでいいですか?」
サフィーは、挑発的に聞いてきた。
「いいわよ。サフィーの勝ちよ。」
サフィーは、口をポカンと開けて、驚いていた。
今は、アルコール頭痛がヤバすぎて、喧嘩を買う気力も無い。
「お姉様、大丈夫ですか?」
「大丈夫、これくらいすぐに良くなるから。」
流石にサフィーも心配になってきたらしい。
私が寝転んでいるベットに潜り込んできて、頭を撫でてくれた。




