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剣の手入れ

ヘリスの紹介を受けて、私達は中級街のある工房に来ていた。

「いらしゃい。」

中には、沢山の武器防具が飾られていて、質素なものから、豪華な物まであった。

「これ、ヘリスからの紹介状なんだけど。」

「侯爵様から?師匠ー!侯爵様から紹介状来てたのかー?」

しかし、返事がない。

耳をすませば、金属を打ち付ける様な音がする。

「すまんな、今多分剣か何か作ってる。」

「職人の邪魔は出来ないわ。また後で来る。」

私が、振り返って帰ろうとしたとき、

「待ちな。」

ジジイの声が聞こえた。

「お前さん、随分と剣を酷使してるんだって?それも手入れもなしに。剣をかせ、見てやる。」

随分と強気だ。

にしても背が低い、ドワーフか…

鍛冶師のイメージと言ったらドワーフだよね。

私は、剣を取り出して見せる。

「いい剣だ、杜撰な管理のせいで、凹みが多くなければ。」

「鍛冶の知識なんて無いし。それに、その剣を人に見せるのが嫌だったし…」

ドワーフは、「フン!」と鼻を鳴らすと、

「精霊剣の事か?確かに欲しがる奴は、山ほど居るだろうな。」

分かってるなら、そんなにデカイ声で言わないで欲しい。

「それに、お前さん剣下手くそだろ?どんな使い方したらこうなるんだ?」

「剣術なんて習ったこと無いよ。力任せに剣を振り回してただけ。」

剣を見ただけで、私が剣が下手だって事に気付いた、流石職人ね。

「そう言えば、貴方名前は?」

「ガベンだ、ルビーノとサフィーアだろ?ヘリスの遣いから聞いてある。」

「そう、話が早くて助かるわ。」

ガベンね、ドワーフの鍛冶師って、『ガ』とか『カ』から始まってるイメージというか、偏見がある。

実際、このドワーフもガベンだし。

ドワーフの間では『ガ』とか『カ』で始まる名前を付ける風習でもあるんだろうか?

「付いてこい。職人の技を見せてやる。」

「はいはい。」

私達は、ガベンに連れられて、工房の奥に入った。









びっくりするほど暇だった。

サフィーは、興味深そうに見ていたけど、私には、何がいいのかまったく分からなかった。

作業中の職人に声を掛けるなんてことは出来ない。

そもそも、論外だ。

かと言って、サフィーと話すだけでも邪魔になる。

結局、私は置物になってぼ~っとしていた。

「おい、終わったぞ。」

「あ、そう。」

「お前さん、本当に興味なさそうだな。」

うん、まったく無い。

「私は職人でもないし、なりたいとも思わないし、そもそも、興味が無い。だから、何言っても無駄だ痛っ!?」

サフィーが急に腕をつねって来た。

「何するの!?」

「お姉様、失礼極まりないですよ?せっかくやってもらってるのに。」

「だって、興味ないんだもん…」

私は、怒られて拗ねた子供みたいな声を出す。

サフィーの額に青筋が増えた気がした。

「サフィーちゃんは、真面目なんだな。」

「いえいえ、私なんてお姉様の影に隠れてやり過ごす、臆病者ですよ。」

「そうかよ、そこの馬鹿が暴走しないように、しっかり手綱握っとけよ?」

「分かってます、お姉様は頭が弱いので、私がいないと駄目なんですよ。」

なんか、さっきからディスられてる気がする…

それと、サフィーへのお仕置きを、そろそろ考えておかないと。

「サフィーちゃんは、武器を持ってないのか?」

「私は、スタッフしか使わないので。」

「そうかよ、ナイフくらい持っておいた方がいいぜ?魔法が使えない時の最低限の、武器として。」

確かに、私が目を離したすきに〜、なんて事があるかもしれない。

そういう時の為に、サフィーにナイフとか、短刀とかを持たせておきたい。

「ちょっと待ってろ、いいのを見せてやる。」

そう言って、ガベンは倉庫らしき部屋に、入って行った。

それから、数分後。

サフィーとイチャイチャしていると、ガベンが帰ってきた。

「あったぜ、この中から好きなのを選んでくれ。」

そう言って、ガベンはいくつものナイフや短刀を机に置いた。

サフィーは、一つずつよく見て、振って考えている。

「これとかは?」

私がサフィーに見せたのは、あまり装飾されていない、質素なナイフだ。

しかし、他に比べて軽く、サフィーでも持ちやすい形をしている。

「確かに、いいかもしれません。けど、もう少し重たくても、持てますよ?」

「いや、サフィーはそこまで筋力がないでしょ?なら、重いナイフは扱いづらい。そもそも、頻繁に使う物でも無いし、緊急用のナイフだから、無理して重い物を使わなくてもいいわ。」

それくらいなら、わざわざ深く考える必要はない。

わざわざ刺激して、何されるか分からないよりかは、何もせず、私を待てばいい。

「そうですね、じゃあこれにします。」

サフィーは、私がおすすめしたナイフにすることにした。

「値段だが…」

「ヘリスに請求しておいて。」

「は?」

どうやら、ジジイは難聴で聴こえなかったらしい。

「ヘリスに請求しておいて。」

「…侯爵にか?」

「ええ、そのヘリスよ。」

ジジイは、また訳が分からないという顔をしだした。

「お前、侯爵に請求しろって…」

「この紹介自体あいつの恩返しだから。こういう物は、いけるうちに、がっつり色々しておかないと。」

「だからって、侯爵を破産させる様な事をするなよ?」

マンイータービーという、人外のは魔物とはいえ、私も鬼畜じゃない。

流石にそこまでしない。

「お姉様、お説教が必要ですか?」

「サフィー、私も貴女にお説教したいところだったの。」

「それは、ただの喧嘩ですよ?昨日したばかりのはずですが?」

なんだかんだ仲直りするとはいえ、最近喧嘩する事が増えた。

もう少し、真面目にしたほうがいいのかしら?

結局、喧嘩にはならなかった。

でも、サフィーは夜の喧嘩を仕掛けて来る気がする。

サフィーが本気じゃないという事を昨日知った。

本気を出したら一体どんな恐ろしい事が起こるのか…

サフィーをあまり怒らせないようにしよう。

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