姉妹喧嘩
ちょっぴり笑える話になっています。
私は、姉の手を無理矢理振り払うと、姉の腹を蹴って後ろへ飛ばす。
「あの子を、妹を“あれ”なんて呼び方をするな!」
「お前は、私にどうして欲しい?“あれ”の呼び方を変えてほしいのか?私が嫌だといえばお前はどうする。」
「言わないとわからないの?馬鹿だとは思っていたけれどここまで馬鹿だとは思わなかったわ。」
“まだ”手は出さない。このバカが手を出してくるまでは、
「私がお前を殴ったら、お前は嬉々として私を殴りに来るんだろ?そうしたらお母様に見つかっても私を悪者に出来るからな。」
「馬鹿は馬鹿でも、学習の出来る馬鹿だったのね。よかったわねただの馬鹿じゃなくて。」
「お前みたいな性悪女を相手するなら学習くらい出来ないと上手く使われるだけだからな、次はどうするんだ?性悪女。」
「さすが馬鹿姉、そこで私が何をするのか考えない辺り、やっぱり頭の中が筋肉で出来てるじゃないの?馬鹿姉。」
相手が先に手を出すようにとお互い罵り合う不毛な戦い、早く相手を殴りたい衝動をお互い必死に抑え、有る事無い事いろいろなことで罵り合う。
「これはどういう状況かしら?」
私達は気付かなかったが、いつの間にかお母様と妹が来ていた。
「お母様に見られたとき、相手を悪者に出来るように、罵ることで相手に手を出させようとしている不毛な争いです。」
「どうしてこんなくだらない事に?」
「最初は、お母様が危惧していた自体でしたが、途中からお姉様にその子の事を“あれ”呼ばわりしたことが気に入らなかったらしく、そこから罵り合いが始まりました。」
お母様は、状況を理解するのに数秒かかった後、
「今は全然関係ない話しで罵り合っているようだけど…」
「相手を殴る口実、“先に手を出してきた”がほしいだけです。だから、有る事無い事罵り合っています。」
「ハァ…もうすぐ最後の別れだというのに、この子達は何をしてるのかしら?」
お母様は、完全に呆れている。
「お母様、この馬鹿二人を叱ってやってください。」
「ハァ…わかったわ。」
お母様は呆れながら前に出ると、
「ふたりとも、いい加減にしなさい!」
「「うっさいババァ…あっ」」
「「「あっ」」」
空気が凍りつく。
お母様から、目に見えそうな程の黒いオーラが溢れ出す。
顔を真っ青にしたふたりが抱き合って震えている。
残りの三人はそっと距離を取る。
「誰がババァですって?」
「「ひっ」」
お母様の笑顔は少しずつ般若へと変わる。
「誰がババァじゃこの馬鹿共がぁーーー!!」
「「ぎゃあああ!」」
何があったかはご想像にお任せします。
ただ、残された三人が抱き合って震えている姿や、
誰かが女王と接触したのかと思うほどの轟音、返り血で真っ赤に染まった女王の姿があったとだけ言っておく。
皆さんも、お母さんを怒らせないように気お付けましょう!。




