侵略と対策会議
ついに侵略が始まりました。でも主人公と人間が戦うのはもう少し先です。
「よし!全員いるな。」
ギルマスの声が響き渡る。
「今から巣に突入する!注意すべき事は1つ!絶対に一人になるな!もし一人になったら周囲を警戒しながら、他の集団を探せ。もう一度言う、絶対に一人になるな!」
ギルマスは必ず集団で行動するようにと促す。巣という蜂の領域で一人になるなど自殺行為。
だが、欲に駆られた馬鹿という者は一定数存在する。
ギルマスはそれをわかっている。だから警告した。
それでも、一人で行動するなら自己責任。ギルマスは止めたりしない。
「巣の中で手に入れた蜜、お宝は好きに持って帰るといい。そこについてはこちらからは何も言わない。」
そういう依頼内容だからだ。何よりこのことは、ギルマスが提案した。冒険者を一人でも多く集めるための、文字通り甘い蜜なのだ。
その後も、いくつかの説明があり、
「こちらからは以上だ、もう始めてもいいんだぞ?早く行かないと美味しいところを取られてしまうぞ?いいのか?」
ギルマスが冒険者達を煽る。すると我先にと冒険者達が走り出す。
「アルス、お前は行かないのか?」
一人だけ巣へ向かっていない冒険者が居た。アルスだ
「俺は女王と戦いに備えて後方で構えておく。女王は強力だ、力は温存しておくべきだろう。」
「正論だな。」
「相手はAランクの怪物、準備は万全だがもしもに備えて、最大限のパフォーマンスを発揮出来るようにしておきたい。」
ギルマスは苦笑しながら、
「相変わらず慎重だな。」
「慎重なくらいがちょうどいいんだ。」
そう言ってアルスも巣へ向かって歩きだした。
女王の部屋
「お母様、これからどうすれば良いでしょう?」
長女が質問する。
「…」
しかし、女王は黙ったままだ。
「お母様私達も戦います!ご命令さえ頂ければすぐにでも「だめよ」なっ!?」
しかし女王の否定によって長女は言葉をさえぎられる。
「何故ですか!?私達は人間に負けるほど弱くありません!」
「わかっているわ。」
「ならなぜ!?」
女王は何も言わない。
「万が一私達が深い傷を負えば、女王戦までに傷が治らない可能性があるから、ですよね?お母様。」
私が答えを言う。
「正解よ。」
やっぱり合っていた。
続けて私は質問する。
「では私達はどうすれば良いでしょう?たとえ人間にお母様を倒しうる力を持つ者が居ても、全員でかかれば問題なく倒せるはずです。」
「…」
しかしお母様は何も答えない。
だから私は、事実を話す。お母様が何か答えてくれると信じて。
「お母様、はっきり言います。敵にはお母様を殺せる力を持つ者がいます。」
そこで、長女が声を荒げる
「お前、何を不敬なことを!人間如きにお母様が殺されるだと?馬鹿なことを言うな!!」
「ではなぜ人間達が攻めてきているのですか?勝てないとわかっているのに。」
私が反論すると、長女は立ち上がり私を睨みつけ、
「どうせ少し強い者が調子に乗っているだけだ!それに付いてきた。馬鹿達の群れだろう!」
「馬鹿は貴女ですね、お姉様。少し考えればわかることも分からないとは。もう少し頭を使ったらどうですかっ!?」
顔を真っ赤にした長女が殴りかかってきた。
私は話すことに集中していた為に避けることができず、長女の拳が私の頬に突き刺さる。
「お前は何が言いたいんだ!?私と喧嘩したいなら後にしろ!いくらでも買ってやる!」
「そういう所です!貴女は何でも力で解決しようとする!だからお母様から期待されないのですよ!お姉様!」
「貴様ッ!いいだろう今この場で殺して「いい加減にしなさい!!」っ!?」
お母様の怒声が飛ぶ。
「貴女はいい加減すぐに手を出す性格を何とかしなさい!」
「も、申し訳ありません!」
お母様は長女を叱った後、こっちを向いて
「貴女もどうして煽るような言い方をするのです!それでは喧嘩になるだけでしょう!」
「申し訳ありません、お母様。」
私は、冷静に答える。
「わかっているのならなぜ、あのような言い方するしたのです。」
私は、目を泳がせる。
「まさか、本当に喧嘩を売っていたのですか?。」
「いえ、違います!先に喧嘩を売ってきたのは、お姉様の方です。」
「何だと!」
「黙りなさい!!」
長女が怒声を上げる。しかし、それ以上のお母様の怒声によって、長女は黙る。
「つまり、貴女は売られた喧嘩を買っただけ、そう言いたいのね?。」
「はい、そうです。悪いのはお姉様です!」
「貴女も同罪よ!」
叱られた。
「ハァ…取り敢えず貴女の思ったことを説明してみなさい。」
「はい。」
私は長女を見て、
「フッ」
鼻で笑った。
「なっ!?」
お、!怒りで震えてる。ハハ、ザマァ。
「ハァ…」
おっとお母様が怒ってる。
「簡単に言うと、人間には、お母様や私達を殺せる力を持つ者がいて、そいつがいることで人間側に勝機ができ、その勝機に賭けて攻めてきたという感じです。わかりましたか?お姉様。」
「お母様、もう一度こいつを殴ってもいいですか?」
「ハァ…もう好きにしなさい、ただ、部屋の外でするのよ。」
「ありがとうございます。さぁ、表に出なさい。」
長女はいい笑顔で部屋の外を指差す。
「わかりました。ただ後にして下さい、私はお母様と話したい事があるので。」
「わかったわ、覚えてなさい。」
この姉妹喧嘩は激しくなりそうだ。
今回は久しぶりに長くなった気がします。




