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振られまくって、30代。僕が幸せな訳〜失恋クリニック〜  作者: 蘇 陶華


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9/9

理性と背徳の罠に翻弄されたい

カウンセリングルーム。


思わせぶりな女医。


診察室で、十分だろう。


僕は、そう思う。


中央には、リラックスするであろうソファ。


オットマンも、用意してあって。


僕が、呼ばれて入るとすぐ、女医が現れた。


徳大寺 美雨。


街のあちこちに見る大きな広告。


写真で、見る限り、かなりの美人。


白衣の中に、これ見よがしのレースのタンクトップが、チラ見えして、


これで、落ちる男も多いんだろうな・・・なんて、漠然と思う。


厚ぼったい唇は、魅力的だし、


耳にかけた髪からは、何とも言えない、いい香りが漂ってくる。


同じ空間にいるだけで、息が詰まる。


多分・・・。血圧は、高くなっているはず。


変な汗をかいて、


最初は、医師 徳大寺が、何を言っているのか、わからなかった。


逆効果では?


僕は、思う。


ここのクリニックに、来る度に、


次は、他に変えようと、決心して帰る。


だけど、


仕事が忙しすぎて、別のクリニックを探す暇がなく、


結局、ここに来てしまう。


一体、何回目だろう。


薬を出して欲しいのに、


次の予約を、させられる。


これでいいのか?


悩みながら眠る。


何故か、


来た日は、よく眠れる。


徳大寺のカウンセリングの最後に出るハーブ茶が効くのか


暗示にかかるのか


次の予約日、近くまでは、眠れるのだ。


だが、少し、すると、また、眠れなくなる。


徳大寺の魅力に、


抗いながら、


僕は、上の空でいた。


早く、帰りたい。


その時、ドアが開いたんだ。


僕の記憶では、そう。


僕が、ドアを開けて、入ってしまったのか、


彼女が、後から、現れたのか。


とにかく、


彼女とダブルブッキングするのが、多かった。


そして、必ず徳大寺は、言う。


「あら?受付のミスかしら?ごめんなさいね。今度、グループでのカウンセリングしてみる?」


とんでもない。


徳大寺と2人で、いるだけでも、息が詰まるのに、


初めて逢う女性と一緒に、同じ部屋にいるなんて、


息が詰まる。


「何も知らないから、いいのよ」


徳大寺が、ハーブ茶を出しながら言った。


何となく、もう1人、現れた彼女の瞳が揺れた気がした。


「ね!櫻井さん」


徳大寺は、そう言った。

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