№3 出現!覇道暗黒宮
いでよ!
「流石でございました」
慇懃な態度で男は、王に言う。
「フン、だからどうしたのだ」
バーンはぶっきらぼうに答える。
「これより若き王、アーサーを倒し王が再びバーン領を手中に治めることにより、あなた様の覇道が再び動き出します」
王は静かに目を伏せる。
「それも、これもあやつ次第よ」
王の返答に男は不満そうな顔を見せる。
「それより、シスよ」
「はっ、これに!」
シスと呼ばれた男は、両手を高々と頭上にかざすと、祈りを捧げる。
地が揺れ地中より闇の宮殿が姿を現した。
「おおっ!」
円卓の騎士達は驚き叫んだ。
「ふむ」
王は頷いた。
「王よ。お気に召しましたか」
「悪くない・・・円卓の騎士達よ」
バーンの口元が緩み、騎士達に号令をかける。
「これより、いずれやってくるであろう我が息子アーサーを全力で阻止せよ・・・己が命をかけてだ。生死は問わぬ」
「御意っ!」
騎士達は平伏した。
あれから3日が経った。
バーン城には以前の活気などなく、陰鬱とした表情のアーサーが城の階段に座り佇んでいる。
「アーサー」
アリエルは彼に声をかける。
「・・・・・」
彼は動くことが出来なかった、父に弓を向けることなど考えられないのだ。
「どうするの?」
アリエルは何度も彼にそう問いかけた。
匙はすでに投げられているのだ。
「・・・・・・」
アーサーはまた押し黙る。
そして夜がまた来る。
アリエルは彼の隣に寄り添い、数時間が経ち彼女はうとうととしだす。
アーサーはあれ以来一睡も出来ず、憔悴が激しい。
夜風が吹き、大窓のカーテンがふわりと揺れる。
「すーすー」
アリエルが寝息をたてている。
「アーサーよ」
「・・・・・父上」
彼が見あげると父がいた。
「何故、戦わない」
「・・・私は・・・」
「己はどうしたいのだ?」
「・・・私は」
「正しき道を信じているのだろう」
懐かしい厳しくも優しい父の面影とその言葉に、彼は俯くしかなかった。
「・・・私は!」
彼がまた父を見ると、眼前にその眼差しがあった。
「ワシは再び、生を得た・・・邪悪なる力によって」
「!」
「みなまで言わぬぞ。お前は何をするべきか」
父の寂しそうな眼差しに、彼はすべてを知って肚は据わり拳を固める。
「戦います!父を越えます!」
偽りのない眼差しを父に向ける。
「よい」
王は優しい微笑みを浮かべる。
「すべての力を以て、かかってまいれ!」
「はい!」
夜明けが訪れた。チチチ小鳥のさえずりでアーサーは目覚めた。
決意に満ちた目でそっと立ち上がる。
アリエルは寝ぼけ眼で彼を見あげる。
彼はそっと彼女に手を差し出す。
「さぁ、いこう」
覇道暗黒宮。