第二話 初めての空戦
着任から一週間後、わたしと坂井先輩、羽藤二飛曹は、一個小隊三機でラバウル上空の哨戒任務についていた。
坂井先輩の訓練はすごく厳しかった。まず、「昼間の星を見る」訓練。
え?こんなの無理じゃないかって?ところが、坂井先輩はそれができるらしい。先輩の左目の視力は0.3。中国戦線のころの被弾の後遺症だ。でも、右目の視力は軽く2.0を超える。
わたしはまだ、そこまではいってないけど、視力は1.5だ。目下訓練中。
ガーーーー・・・・・・・・
無線機から音が聞こえた。
《こちら飛行指令、こちら飛行指令。ラバウル方向に向かう敵機発見。総員対空準備せよ》
続いて、坂井先輩の声。
《お前ら、目ぇみひらいてしっかり敵を探せ!見つけたら直ちに戦闘に入る!》
「了解!」
無線機に向かって叫んだ。その瞬間だった。
青い空の片隅で、何かがキラッと光ったような気がした。
「ん?」
よーく見ると、それは飛行機の形をしている。紺色の丸に白い星。敵機だ。
「隊長!敵機発見!一時の方向!戦闘機六機に艦爆四機です!」
無線を出すと、すぐに返事が来た。
《よし!増槽を落とせ!戦闘態勢に入るぞ!後ろ下方から攻撃だ!艦爆を狙え!》
『了解!』
わたしと羽藤二飛曹の声が重なった。
手元のコックを閉じて増槽を落とし、急旋回で戦爆連合の敵機の群れの背後に回り込んだ。無線から聞こえる先輩の声。
《よし、上昇して攻撃をかけるぞ!狙うは艦爆!爆撃を防げ!》
八百メートル、五百メートル、三百メートル・・・・・・じりじりと上昇しながら敵機との距離を詰めていく。距離が二百メートルを切った時、坂井先輩の声が響いた。
《今だ!撃てぇ―!》
わたしは、OPLに映された緑色の円の中に、一機の敵機をとらえた。スロットルレバーについている機銃の引き金を引く。
ドドドッ!
わたしの放った弾が敵機の翼の付け根に吸い込まれていった。
ボン!
敵機が火を噴く。右の主翼を失った敵機は、錐もみ状に回転しながら海に落下した。
(次の敵は、どこだ・・・・・・・・?)
ドドドドッ!ボンッ!
周りを見渡した瞬間、後ろから機銃の発射音と爆発音が聞こえた。
《後ろがお留守だよ。山ノ井二飛曹》
無線機から聞こえてきた羽藤二飛曹の声。
振り向くと、わたしを狙っていた敵機が火だるまになって墜落していくところだった。その上を、羽藤機が飛んでいる。
「あ、ありがとうございます!」
被撃墜の危機を脱したわたしは、あらためて周りを見回した。見ると、敵機が坂井先輩の後ろについている!
「危ない!」
スロットル全開でそちらに向かうが、到底間に合いそうにない。
(だめだ!やられる!)
その瞬間だった。突然、坂井先輩の機体のプロペラの動きが遅くなった。そのまま、落下していく。
(撃墜された・・・・・・・・)
わたしがそう思った時、突如として坂井機のプロペラが猛然と回り始めた。一気に敵機の後ろにつく。形勢逆転!両翼の二十ミリ機銃が火を噴いた。
見事に敵機撃墜。でも、信じられない。
「なんなんだ・・・・あの技は?」
わたしはいつのまにか、つぶやいていた。
そして、一から空戦技術を学びなおそうと心に決めた。
保信「保信とぉ!」
春音「春音とぉ!」
みやび「みやびのぉ!」
三人『次回予告外伝番外編~~~!』
―♪さらばラバウルよ また来るまでは しばし別れの涙がにじむ・・・・
みやび「さて、今回も始まりました次回予告。それにしても、ハルさんのおばあさんすごいですね。初陣で敵機を落とすなんて。」
春音「当時でも珍しかったらしいよ。」
保信「あと、彩音さんは終戦まで同じ機体に乗り続けたんでしょ。これも珍しいよね。」
春音「なんか、おばあちゃんが乗ったときはかなりのスペックを発揮するのに、それ以外の人はエンジン始動すらできなかったらしいね。やっぱり相性とかあるのかな?わたしは普通にサクラに乗れるけど。」
みやび「あの坂井一飛曹や西澤一飛曹、笹井中尉が乗ってもですか?」
春音「うん。周りの人たちは『山ノ井が乗ると喜ぶ』って言ってたみたいだけど。」
保信「さて、今回はこの辺で次回予告しちゃいましょう。」
みやび「次回は、台南航空隊のエースたちが登場。」
春音「それでは皆さん」
三人『お楽しみに~!』




