表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/5

冬がきらいなベルばあさん

辺り一面が真っ白になるほど雪の積もる寒い夜ですが、冬の訪れを喜ぶ人々はみな楽しそうで、何だか暖かい空気が街を包んでいます。


そんな中、一人ポツンと背中を丸めて、白い息を吐きながら寒そうに歩く人がいます。


彼女の名前はベル。昔からこの街に住んでいる人ですが、歳をとって髪は白くなり、顔にはシワがたくさんできるほど、すっかりおばあさんになってしまいました。


ベルばあさんは、笑顔で街を歩く人々を見ては、自分の顔にシワを増やすばかり。そうやって小さな体を震わせ歩いていると、やがてベルばあさんは自分の家へと帰り着きました。


ベルばあさんは、重たい買い物袋を大きなテーブルの上に置き、買い物袋から取り出したミルクを沸かし始めました。そしてそのミルクでココアを作り、暖炉の前にあるイスに腰掛けました。ぶ厚くて大きな毛布に体を包みましたが、ベルばあさんは何だかまだ寒そうです。


ベルばあさんは、ぬるいココアを一口飲んで、ふうっとため息をついてから思いました。


あたしゃ冬がきらいだよ。

大好きな温かいココアが、すぐにぬるくなっちまう。


ベルばあさんは、膝の上に掛けていた毛布を肩の辺りまで持ち上げてから思いました。


あたしゃ冬がきらいだよ。

寒くて寒くて買い物一つするのも億劫になる。


ベルばあさんは、窓の外の白銀の景色をちらりと見て、すぐにカーテンを閉めて思いました。


あたしゃ冬がきらいだよ。

雪は雨より面倒だからね。冷たくて濡れるだけじゃあなくって、積もると大変さね。


ベルばあさんは、窓際にある一枚の写真立てを、細い目で見つめながら思いました。


あたしゃ冬がきらいだよ。

一人ぼっちのあたしには、ちと寒すぎる。


その写真立てには、二人の若い男女の写真が飾られていました。


テーブルの上には、まだたくさん中身の残ったココアのカップが、寂しそうに置かれています。

明日も18時に投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ