表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミュージックオブスパーダ  作者: 桜崎あかり
ランカー再始動編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
96/114

第66話:再生のカウントダウン(その2)

###


 8月5日午前12時45分、谷塚にある大規模ショップに姿を見せたのは山口飛龍やまぐちひりゅうである。


【外部チートやツールで作られた虚偽の記録よりも、トップランカーとしての記録が上であることを証明する】


 このメッセージはメールマガジンを通じて拡散されたメッセージなのだが、本当に山口が書いた物なのか疑わしいというネット住民もいた。


 その証拠として、この件を利用して他コンテンツをありもしないようなアイドル投資家話を加える、超有名アイドルとのコラボと言う嘘記事をネット上で拡散、なりすましで超有名アイドル信者を増やす――。


 単純な手段ではありアカシックレコードでもテンプレとして説明されている物だが、その効果に関しては計り知れない。


 カードゲームで「このカードが出た瞬間、モンスターはすべて破壊される」位に単純明快である。しかし、だからこそ対策を組まれやすいとも言える。


「ARガーディアンだ!」


「貴様にはネット詐欺罪の疑惑がかけられている」


「奏歌市において、超有名アイドルの話題はマフィアや違法ドラッグ等と同義――」


 大規模ショップに到着する前の通りで起こった捕り物の一部始終だが、ガーディアンに警察以上の権限があるとは思えない。


 付け加えれば、超有名アイドルの話題が東京以上に危険な物と認識され、それらの取引が違法と言う様な見解まで出てしまっている。


 アカシックレコードの拡散による物と考えるには矛盾する箇所もあり、何かが引っ掛かるようなやり取りだったのは間違いない。



 5分後、山口はショップの方へ入店しようとしていた。到着してからすぐに入ろうとも考えたが、トイレへ行っていた事もあり、少し出遅れたとも言える。


「アカシックレコードのやり取り自体は犯罪ではない。あの情報は大半がフィクションであり、現実に具現化出来るような物ではないはず――」


「それは過去の話。アカシックレコードの技術は、莫大な富を生み出すとして権利独占を考えようとする企業が出る位――」


 山口の隣に現れたのは、島村ファッションで着こなしている信濃しなのリンだった。本来であれば、彼女は別の場所へ向かうはずだったのだが、事情が変わったらしい。


「やっぱり、あの時の嫌な予感とは――」


 山口はゲームセンターでARゲームが増えつつある事に対し、増え方に少しおかしな箇所を発見していた。


「あるジャンルに人気が出れば、そこに集中して利益を得ようとするのは良くある事。アカシックレコードでも、アキバガーディアンでも――」


「ちょっと待ってください。アキバガーディアンって、もしかして?」


「そのアキバガーディアンで間違いない」


「もしかして、あなたもアキバガーディアンの……」


「放す必要性がなかったから、喋らなかっただけだ」


 さらりと信濃の口からアキバガーディアンと言う単語が出た事に対し、山口が疑問を投げかける。そして、その結果はビンゴだった。


「私は、元々バウンティハンターと同じように悪質プレイヤー狩りをしていた。それを隠す形でARゲームが盛り上がっている草加市へ潜り込んだが……」


「悪質プレイヤー狩り――もしかして、チュウプレイヤーやチートプレイヤーを?」


「その辺りはバウンティハンターと被るが、大体そんな所だ。しかし、こちらは密かに行うつもりが――思わぬ所で不可能になる事態が起きた」


 信濃が悪質プレイヤーを買っているのは賞金目当て等ではなく、アキバガーディアンと似たような物だった。


 そして、密かに動けなくなった理由、信濃はタブレット端末に表示された動画を山口に見せる。



「これは――ビスマルク?」


「その通りよ。ビスマルクと言っても同名プレイヤーは数多い。私は、識別的な意味でも『鉄血のビスマルク』と言っているけど、ネット上でも同じ認識見たいね」


 動画には、鉄血のビスマルクが次々と悪質プレイヤーを無差別で攻撃している様子が分かる。それに加え、悪質プレイヤーとビスマルクには何か因縁もあるようだが、爆音等で言葉が聞き取りにくい。


「運営サイドでも悪質プレイヤーの存在はキャッチしていた。しかし、彼らはチートを越えるようなリアルチートで蹂躙すると言う策に――」


「リアルチート? その方法って、ARパルクールの方で使用されていた手段では!?」


 信濃の口から出たリアルチートと言う単語に、山口は少し前にネット上で見かけたARパルクールのランカー勢で外部ツール勢のスコアを塗り替えると言う方法を思い出した。


「その通りよ。私は、そのやり方に関して最大の弱点を知っていたからこそ、何としても止めようと思った。しかし、現実は違っていた」


「現実? それは、どういう事ですか?」


 信濃は運営が密かにさまざまな策を計画していた事を知っていたのだが、こうした策を彼らが使う事はなかったと言う。


 山口も一部で行きすぎと言われそうな策を運営が使っているのは知っているが、リアルチート勢のような具体的な策は使用していない。それが意味する物とは――。


「あえて強硬策を使わない理由、それは運営サイドが強引な方法を好まないから、と言われている」


「他のARゲームでは、悪質なプレイヤーに対し、ライセンスはく奪や警察へ突き出すという手段も使うのに?」


「最低でも、南雲蒼龍なぐもそうりゅうは大きくニュースとして報道される事に対してのマイナスイメージ――それを嫌っている」


「マイナスイメージ? ARゲームには稼働前から色々なマイナスイメージや風評被害もあったのに?」


「だからこそ、南雲はこれ以上のマイナスイメージが一般市民に定着しないようにしている。ARゲームで町おこしをする為にも」


 信濃は自分の知っている限りの情報を山口へ伝える。あえて南雲の目的を伏せるようなことはしていないが、これは単純に真の目的を知らないらしい。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ