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ミュージックオブスパーダ  作者: 桜崎あかり
ランカー再始動編
94/114

第65.7話:もうひとつのゲリラロケテ

>更新履歴

・午前2時39分付

誤植修正:高架した→高架下

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 8月5日午前12時40分、南雲蒼龍なぐもそうりゅう西雲提督にしぐもていとくと思わしき人物と遭遇していた頃――。


「ボード自体はARゲーム以外でもあったが、道路サーファーでも生み出すつもりか?」


 谷塚駅と草加駅の間の高架下道路、そこで行われようと言うロケテストはARサーフィンとも言うべき物だった。


「あれは道路サーフィンではない。昔のSF映画にあったフライングボード、あれを現実化させたと言ってもいい」


 ギャラリーの一人にツッコミを入れたのは、私服のセンスがないに等しい為か判別しにくいが――明石春あかしはるだった。


 今回はゲリラロケテのチェックがメインの為か、何時ものインナースーツは着ていない。私服の下はインナースーツとは異なる下着である。


「フライングボード? 落ちたら怪我だけでは済まないのではないか!?」


 ARゲームが安全性を重視している点を知っている為か、驚き方は一般人の反応よりも大きい。


「その為のARギア、ARアーマーと言ったアーマー類が役に立つ。アクション以外のジャンルでは、忘れ去られがちのシステムだが」


 明石の方も音ゲーや脱出ゲーム系のARゲームに触れている影響もあって、その辺りは忘れがちである。


 しかし、一歩間違えれば大事故につながるARゲームは審査の段階で不採用になると言う話もネット上で語られる事もあった。


 特に、ホラーやグロテスクと言った演出のゲームは、18歳以上の年齢制限を付けても不採用とされてしまう。


 そして、エロゲーは審査するまでもなく論外、犯罪を助長するような物は開発者が奏歌市から事情聴取を受けるほどだ。


「1980年代ではあり得ないようなフィクション上の技術が、このようにして現実化する事は悪くない。しかし、過度な権利争いや悪乗りでのネット炎上は見ていて不愉快だ」


 明石はアカシックレコードで語られるような技術も、いずれは現実化するのではないか……と予測している。


 その一方で、大企業等に夜権利独占を巡るような争い、自分が目立ちたいだけでネット上に偽の情報を拡散、ネット上を炎上させるような人物を――明石は最も嫌っていた。


「それは、いずれ起こるであろう夢小説勢の大規模作戦に対する皮肉として受け取っておこう」


 このモブ観客と思っていた人物が、実はメビウス提督だった事を知ったのは、DJイナズマのライブが始まってからである。


「結局、アカシックレコードは扱う物によっては正義にも悪にも変化する。そして、その後に起こった出来事は見なかった事に――と言う事か」


 明石もアカシックレコードが正義と悪のどちらか――と言われると、答えを出せない所がある。


 しかし、暴力に訴えようとする炎上勢力に関しては、正義と言えない事だけは分かっていた。


 この世界には正義と悪、この2つを無理にでも固定させ、戦わせようとする傾向があるのかもしれない。


「純粋にゲームを楽しみ、その光景に観客が熱狂するという思考は古い物なのだろうか」


 スポーツでも、政治的な駆け引き等が存在し、それがコンテンツ業界にも展開される未来は目に見えて現実になろうとしている。


 明石が思うのは、純粋に勝ち負けだけを楽しむという単純な構造が消えつつあるのか――と言う事だった。



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