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ミュージックオブスパーダ  作者: 桜崎あかり
リズムゲーム編

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第64話:純粋なリズムゲームとしての側面(その5)

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 8月4日午後2時、山口飛龍やまぐちひりゅうたちのいるゲーセン、そこでは予想外の人物が姿を見せたのである。


「山口飛龍、君に話がある」


 そう切り出したのは、私服とは違ったチョッキを着たDJイナズマである。腰にはDJのターンテーブルを思わせるデザインの銃型ガジェットがマウントされていた。



 ARゲームコーナーから少し離れ、フードコート近辺。そこでイナズマは山口にタブレット端末を見せる。


「これは……本当の事なのか?」


 山口も開口一番は驚きの声である。イナズマが見せた記事、それは別所でも話題になっている音楽番組の記事。


 内容は、2次元アイドルが音楽番組に出演すると言う物――明石春あかしはるがビスマルクに見せた記事と全く同じである。


 唯一違うのは、イナズマが開いたサイトと明石が開いたサイトでは記事の扱い方に違いがあった位だろう。


「これが虚偽の記事や釣り系列、ましてや嘘ニュースの類を偽装した物ではないのは確認している。テレビ局の放送予定にも書かれている以上、確定と見ていい」


「しかし、これを、どうして?」


「この記事はお前にとっても無関係とは言い難い記事だ。出演アーティスト、そこに答えがある」


「まさか――!?」


 山口とも無関係とは言えない理由、それは超有名アイドルユニットが出演する事だった。しかも、例のコンテスト絡みである。


 過去に山口は、このコンテストで表彰された事もあった。これがきっかけとなり、超有名アイドル信者が敵対、更には襲撃と言う展開を呼ぶ。


 その後は――ランカー事変を起こすきっかけとなった事件だけに、ネット上では賛否両論。反超有名アイドル勢力は脅迫状と言う古典的な手段を使ってても、報復をしている位だ。


 このような事をすれば、日本のコンテンツレベルが疑われる。それだけは避けなくては――という事で一種の信者による暴走などを止める為に組織されたのが、アキバガーディアンである。


 そのアキバガーディアンも、作られたきっかけとしては別の理由であり、信者の暴走に歯止めをかける事に関しては二の次だが。


「その、まさかとしたら……どう動く?」


 イナズマが今回の記事を山口に見せようと考えたのは、別の理由もある。彼がミュージックオブスパーダへ復帰してもらわないと困る事態になっていたからだ。


「超有名アイドル信者及びアイドル投資家、それに政治家が裏で手を組んで超有名アイドルコンテンツによる全世界掌握を考えていたとしたら――」


 山口が簡単な発言で流される事がない――というのは、既に何度かの事例で分かっている。その上で、イナズマは無理を承知で彼に復帰を求めたのである。


「超有名アイドルが起こしたアイドルバブル。見せかけだけの経済効果――あれが全て出来レースだとしたら、どうする?」


 出来レースと言う言葉を聞いた山口は少しだけ表情を変化させる。しかし、それでも今の答えは変わらない。


 南雲蒼龍なぐもそうりゅうと直接対決出来るチャンスは、これから先に巡ってくる可能性は――彼の近況を考えると非常に難しいだろう。


「今の自分では参加出来ない。おそらく、向こうも対策をしている以上は」


 山口の言う対策に関しては詳しく聞けなかったが、現状では復帰出来ないという回答なのは間違いない。



 もう一方で、同じような話をしていた人物がいた。明石と鉄血のビスマルクである。


「――今までの超有名アイドル絡みの経済効果、それが全て信者や一部投資家が作った筋書き通り――出来レースだったとしたら?」


 明石の話を聞き、さすがのビスマルクも落ち着いてはいられない。これが真実だとして、今まで黙殺されて来た理由が分からないからだ。


「出来レースだと? それこそ反超有名アイドル等の戯言――狂言ではないのか」


 ビスマルクは猛反発する。これに関しては明石の方も想定はしていた。


「黙殺されて来た事に関しては否定しない。こちらも向こうを黙らせる事が可能な証拠を掴めてなかったから」


 明石の方は反論に対しての開き直りではなく、正直に力不足だと認めた。


「証拠? アカシックレコードが証拠にはならないの?」


 ビスマルクの言う事も一理ある。アカシックレコード、先人たちの記録ならば証拠になりうるのでは……と。


 しかし、これに関しては明石の方が疑問を持っていた。


「アカシックレコードは、証拠にはなりえない。それを利用した脅迫等が出来ないように、特別な細工がされている以上は」


 明石の口から出た一言、それはビスマルクにとっては衝撃の一言と言っても過言ではなかった。


「特別な細工――?」


 ビスマルクは何かを思い出したかのように、周囲に何かないかタブレット端末で探り始め、撮影不可とされるエリアをマップで発見する。


「ビスマルク、あなたは何に気付いたというの?」


 その質問にビスマルクが答えることはなく、そのまま席を外す。まだ残っているチョコ焼きはそのままテイクアウトするようだ。


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