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ミュージックオブスパーダ  作者: 桜崎あかり
ランカー激戦編
25/114

第25話:ニューランカーの出現(前篇)

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 5月29日午前12時、山口飛龍やまぐちひりゅうのプレイに乱入してきたファントムと名乗る人物が姿を見せた。


「山口飛龍……聞き覚えがあると思ったら、あのコンテストに入賞した作曲家か」


 ファントムは山口の事を作曲家として見ている。その上で、彼はミュージックオブスパーダで決着をつけようと考えた。


 そして、山口はクラシックアレンジのジャンルから革命を選曲、ハンマーガジェットを操るファントムと激突する事になったのである。



 今回のプレイ動画に関しては、ファントムに偽名疑惑が浮上する程の動作、本当に同ランクバトルだったのか……という疑問が存在する。


【この動きは常識を超えている。あのスピードはスピードレースのアスリートでも出せるかどうか分からない】


【お互いに外部ツールの使用は認められない。だからこそ、動画が公開されている……違うか?】


【ブースト系のスキル自体は他のARゲームに存在はしているが、音楽ゲームにあるかと言われると思い当たるものがない】


【一体、どうやったらあのスピードを出せるのか?】


【動画を見ても、早送りなどの編集がされた部分もない、外部ツールの使用疑惑もない、ガジェットも正常に動いている……何処にトリックがあるのか】


【トリックに関しては、以前にもあったようだが……全てが駆逐されたように思えるが】


【わずか数日でチートが全て排除出来るとは思えない】


【しかし、チートの広まり方は日進月歩と言うか……もぐた叩きを思わせる】


【何とかしてエンドレスを防ぐ方法はないのか】


 ファントムの俊敏な動きにため息を漏らす一方、動画のコメントには様々な思いが書かれているようだ。


 つぶやきサイト上でも話題となっており、ファントムの正体に関して色々な説が浮上する程。


【DJイナズマがファントムかもしれない】


【あの体格だと、実は女性だったりして】


【確かに、あのプレイヤーはプレイ中は一貫して顔を隠していた。おそらく……】


【複数アカウントは禁止されているのに、DJイナズマや大和杏を引き合いに出すのは……】


【本当に素人プレイヤーなのか? アスリートがARゲームをトライしても思うような成績が出せなかったというジンクスがあると言うのに?】


 ファントムの正体に関しては、まとめサイトによると複数アカウントを持っていないプレイヤーである事は分かったのだが、それ以外は不鮮明すぎる。


 結局は謎の人物と言う事で結論は出ていたが、運営スタッフであるという可能性も否定できない。


【実際、ゲームのバランス調整や不正ツールの検出を目的として運営スタッフがダミープレイヤーで参戦している話もあるが】


【確かにダミープレイヤーであれば、偽名でも納得出来るが……】


【それでも色々な部分で無理が生じる。山口の機動力を踏まえると、なおさらだ】


【結局、あのファントムはチートを使用していないリアルチートのプレイヤーと言う事になるのか】


 さまざまな意見が交錯していく内に、ネット上では大淀おおよどはるかに続くランカー候補のプレイヤーが衝撃デビューを果たしていた。



 同日午後2時、身長167センチと言う平均的身長の女性、信濃しなのリンがミュージックオブスパーダに衝撃デビューを果たした。


 最初の数度に関しては他の音楽ゲームとシステムが違う為か目が追いつかないという部分もあったかもしれない。


 それに加え、パワードスーツを思わせる重装甲系ガジェット、音楽ゲームをプレイするような服装とはかけ離れたインナースーツにARギア、ガトリングガジェット……他にも多数ある。


「複数のノーツへ対応する為にガトリングを選んだのが逆効果だったのか……」


 信濃はガトリングを構えるのだが、照準が定まらないという展開が何度も続いた。ガトリング自体は重装甲ガジェットと相性は良いのだが、使いこなすにはかなりのスキルが必要となる。


 中には、初心者用のガジェットであるハンドガンで二丁拳銃を披露したり、アクションゲームの主人公を思わせるアクロバットを披露するような人物もいるが、大怪我を招くようなプレイに関しては基本的には禁止となっていた。


 しかし、それでも暴走したプレイヤーは他人より目立ちたいという理由だけで、オーバーアクションを披露し、一部のゲームでは実際に入院と言うプレイヤーまで出てしまった。


 怪我人が出たのはARゲームではないのだが、システムとしてはARゲームと類似した物を使っている。その為、ARゲームではないのにARゲームの方が叩かれると言う有名税のような展開が続いているのが現状だ。


 こうした状況を重く見たARゲームメーカーは、安全性に特化したセーフティーを初めとした各種システムを開発、それをARゲームに組み込む事で安全である事をアピールした。


 それが、ゲームをプレイするのには不釣り合いなインナースーツ、ARガジェット、バイザー類である。まるで、SFアニメに出てくるようなパワードスーツを思わせ、下手をすれば軍事転用や戦争に投入される事もありえる……と発表当時は批判の方が多かったらしい。


「しかし、それを乗り越えてこそ……ゲームの楽しみが見えてくるはず」


 信濃の目つきは、今回のプレイを捨てゲーにするような雰囲気ではなく、エンジョイ勢の様にゲームを純粋に楽しんでいるような物だった。

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