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ミュージックオブスパーダ  作者: 桜崎あかり
ランカー激戦編

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第26話:ニューランカーの出現(中篇)

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 5月29日午前12時30分、山口飛龍やまぐちひりゅうとのマッチング終了後、ファントムはある一言をつぶやいた。


「この先の世界、下手に足を踏み込めば後戻りはできなくなる」


 この一言は、山口にとっては何度も聞き飽きている。最低でも、バウンティハンター、大和杏やまとあんずには言及された。


「それは、ミュージックオブスパーダか、それとも……」


「コンテンツ業界全体を揺るがせるような存在……まとめサイトやつぶやきサイトのわずかな情報で、全ては水の泡になる事もある」


「まとめサイトは申請制度が適用されつつあると言うが、つぶやきサイトも規制の動きがあるのか?」


「そこまではないだろう。しかし、日本人口全てにつぶやきサイトのアカウント所持と言う事が法案化されたら……どうなるか分かるな」


「超有名アイドル投資家等が情報誘導を行う可能性もある?」


「その通りだ。これも仮設でしかないのに加え、アカシックレコードの受け売りだ」


 ファントムの方は正体を見せることなく姿を消したが、スタッフ腕章らしきものは確認できたので運営の一人なのかもしれない。



 同日午後3時、動画サイトにアップされたミュージックオブスパーダのプレイ動画が話題になっていた。


 投稿者は上位プレイヤーなのだが、そのマッチング相手には衝撃を受けるユーザーが多かった。


【まさか、運営総本山が動くのか】


【コンテンツ業界を変えようと言う動きは本物だったのか】


【ARゲームのイースポーツ化をすれば、それこそ金目当ての傭兵崩れ等が生まれるのは明らかだ】


【どう考えても、あの能力は技術だけでフォローできる物ではないぞ】


【もしかして、あれが噂のリアルチートでもいうのか】


 動画のコメントには、様々な反応が書かれている。半数はマッチングプレイヤーに対しての反応だった。


【南雲蒼龍……あの南雲だと言うのか?】


【音ゲーの間で南雲と言えば、あの人物が思い浮かぶ】


【その南雲とは別人なのは間違いないだろう。関連性も薄いのに加え、あれだけの運動技術があるとは思えない】


【運動技術ではなく、ガジェットの能力も考えられないか?】


【あれだけの運動性能をフォローできるようなプログラムが確立されているかと言われると……断言はできない】


【ARロボットも技術革新があり、それこそ災害救助用や警察に配備されるようなロボットに転用できる技術も確立されたが……】


【ARゲームに他のAR技術からの類似例があってもおかしくは――】


 さまざまなつぶやきも流れる中、注目が行くのは南雲蒼龍なぐもそうりゅうという人物だろう。



 同日午後4時、自宅に一時的帰宅をした大和杏やまとあんずは、タブレット端末で南雲のプレイ動画を見ていた。


「ゲームのシステムさえも知りつくすと言われている南雲蒼龍、彼でさえもスコアは総合3位――」


 プレイ動画をチェック後は、ARガジェットでミュージックオブスパーダの総合スコアランキングを確認する。


「南雲が3位、2位は大淀。この辺りは少し前と変化はないが……!?」


 大和が驚いたのは1位になっていたプレイヤーが突如として入れ替わっていた事である。


 それは、少し前に4位となっていた長門未来ながとみらいが、気が付くとトップランカーになっていたのだ。


 こうなったのは理由があり、少し前に1位となったプレイヤーは外部ツールによる不正プレイが発覚してのスコア全損のペナルティを受けている。


 以前にもツールによる不正プレイは指摘され、その度に外部ツール対策をしてきたのだが……巧妙化するマクロやBOT、身代わりプレイ等もチート規制に拍車をかけていた。


「長門の1位は予想出来ていた。しかし、スコアラッシュと言えば山口飛龍も該当するが、どういう事だ?」


 ミュージックオブスパーダのスコアランキングは強制参加である。個別の公開データでスコア非表示のオプションは選択できる一方、総合スコアランキングは全員参加である。


 山口飛龍に関しては100位以内で名前を確認出来たのだが、あの実力で釣り合わない順位と言うのが逆に大和が疑問を持つきっかけとなっていた。


「むやみに目立てば、それだけ超有名アイドルファン等に叩かれる可能性はあるが……」


 超有名アイドルファンやアイドル投資家、政治関係者等は既に警察にも大漁に逮捕され、こちら側へ仕掛けてくる事は非常に少ない。


 逆に警戒すべきは、フジョシ勢や夢小説と言った勢力、まとめサイト等の炎上勢力である。それに加えて、大和は別の存在も懸念していた。


「ARゲーム否定派……彼らが下手に発言力を強くすれば、コンテンツ業界は再び超有名アイドルの独占市場に逆戻りする」


 別の呼び方も存在するARゲーム否定派、彼らが超有名アイドル側に肩入れすれば……歴史が繰り返されるのはアカシックレコードでも警告している事だ。


「どうすれば、連中を黙らせられる? 力づくでは、やっている事は超有名アイドル勢と同じだ」


 考えていても仕方がないので、大和は夕食の準備を始める。カップ麺等ではなく、ちゃんとした料理を作ろうと考えるのだが……。


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