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ミュージックオブスパーダ  作者: 桜崎あかり
ランカー再始動編

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第66話:再生のカウントダウン(その7)

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 8月5日午後1時35分、大和杏やまとあんずは谷塚の該当エリアへ向かう為、バイク型ガジェットを使う事になった。


 しかし、そのままでは警察に呼びとめられた際に複雑化するのは避けられない。そう言った事情もあり、パワードスーツモードに変形させた。


「まさか、あのアニメに出てきそうなパワードスーツ型ガジェットが存在するとは――」


 大和はアカシックレコードに記された技術を実現させた科学力に関心するが、今はそれどころではない。マップは既に記録済みの為、あとはそのまま向かうのみ。


 時速は30キロ、道路にプリントされている速度と同じだ。人型で時速30キロと言うと、身体に負担が発生するような予感さえする。


 実際、人型のパワードスーツが時速50キロクラスで駅伝のスピードレース版を展開したり、更にはARパルクールの様な変則競技もある位だ。


 そうしたARゲームがいくつも稼働している事が、最終的にはARガジェットの技術を向上させる事にも繋がり、最終的には日本のゲーム産業が健在である事を海外にアピールも出来る。


「早速お出ましか。ARガジェットを使っている以上、ジャンルによっては乱入もありえる」


 大和は周囲を見回し、何者かが妨害を仕掛けようとしていると考える。しかし、ゲームAに参加しているプレイヤーがゲームBの信仰を妨害する事は、一歩間違えると業務妨害として訴えられてしまう。


 しかし、妨害を仕掛けようとしている勢力にとっては、そんな事はお構いなしなのだろう。その極めつけとも言えるのは、自分達のコンテンツを広める為に他のコンテンツに対して妨害を仕掛けると言う物。


 こうした行為はARゲーム内でもタブーとされており、業務妨害で訴えられるだけではなく、怪我人が発生した際には傷害罪が適用される。最悪のケースでは……あまり考えたくはないが。


『ランカー勢を潰せば、我々の勝利は決定的!』


『超有名アイドルは偽善者であり、詐欺師でもある』


『それに代わって音楽業界の頂点に立つのは、ビジュアルバンド勢の我々――』


 どうやら、ビジュアルバンドファンらしいのだが――その装備は物騒と言えるような物ばかりである。


 さすがに核兵器等は装備していないが、ARガジェットの中ではトップクラスに近い破壊力の兵器を揃えているのも特徴。


 しかし、所持している兵器は外部ツールやチートの類ではないのは、具現化出来ている段階で確定だろう。


『超有名アイドルのような勢力よりも、我々の方が良心的。コンテンツ業界を虚無へ導こうとする連中など、駆逐してしまえばいい!』


 彼女達の様子や話し方を見る限りでは、ビジュアルバンドの夢小説やBL勢の亜種と考えられる。2次元の夢小説ではなく、最近でも色々と問題視された3次元の夢小説勢だ。


「お前達も、結局は超有名アイドルと同じ。唯一無二のコンテンツにする為に動いているだけなのか?」


 増援を含め、その数は20近くまで膨れ上がり、さすがの大和でも逃げ切れないと考えた。


「この状況では、ゴッドランカーを使うしかないのか」


 さすがの大和もゴッドランカーシステムを使わなければ脱出不可能と考える。しかし、このガジェットはゴッドランカーに耐えられるような装備がない。


 使えたとしても一度だけ。仮に突破できたとして、会場へ無事に到達できるかは、神のみぞ知る――という確立だ。



 同日午後1時37分、大和の方も万事休す――と思った矢先、コンビニを通過した辺りで風向きは変わった。


『貴様は、エクスシア!?』


『お前も超有名アイドルには否定的だったはず! なのに、我々へ敵対するのか?』


 相手側は状況が呑み込めていないまま、蒼のARアーマーを装着したエクスシアに撃破されていく。


 しかも、エクスシアの持っている武器、それは蒼いビームブレードを展開できるロングソード。


 これには見覚えがあったのだが、あえて大和はツッコミを入れない事にする。


「コンテンツ業界は切磋琢磨し、正常なコンテンツ流通を作っていくべき物。自分の妄想を押し付けてコンテンツの私物化を図る――お前達の様な連中と一緒にされては困る」


 エクスシアが次々とロングソードでビジュアルバンドファンのARガジェットを起動不能にしていく姿は、まるで大昔の戦国武将等を思わせるが――。


『アカシックレコードの決まり文句。それをお前が言える立場なのか――西雲颯人!』


 重武装の三国志辺りの武将を思わせるARアーマーの人物が、エクスシアに接近、手に持ったARナギナタでエクスシアのバイザーを真っ二つにする。


「金の力やチートの力を実力と勘違いし、アフィリエイト系まとめサイトに踊らされるだけの勢力に――」


 西雲颯人にしぐもはやと、そう呼ばれた事に対して反応したエクスシアは両肩にマウントされていたビームブレードでナギナタを弾き飛ばし、ARガジェットを無力化した。


「コンテンツ愛も持たないような、自分が目立ちたいだけの勢力に――アカシックレコードを語る資格はない!」


 ガジェットを無力化した後も彼は抵抗をした為、やむ得ずにロングソードを変形させたスタンガンで動きを止めた。


「西雲――?」


 大和は思わず足を止める。エクスシアの正体が、アカシックレコードでも記されている伝説の二人。

 

 その片方である西雲颯人だとしたら――今回の事件は想像を絶する黒幕がいる事になる。


「伝説の二人はこの世界にいるはずがない。自分はあくまでも、超有名アイドルの金で無双するような――それこそWeb小説のテンプレで見るような世界が現実化する事に、怯えているだけに過ぎない」


 エクスシアがバイザーを外すと、その顔を見て大和は思わず驚いた。アカシックレコードや動画で見た西雲提督ではなく、全くの別人だったからだ。



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