第1話〜日常からの脱輪〜
こんにちは!
新田洋次郎です!今回も楽しんでいただければ幸いです
ある日、傑雄大学の大講堂に30人の生徒が集めっていた
談笑するもの、弁当を食べているもの、1人で本を読んでいるもの
様々なことをしている者たちが何かを待っている
そして1人で机に突っ伏している男…畑田史郎に男が話しかける
「よう史郎!今日はありがとうな!」
「新次郎か…寝起きに声が響く…」
史郎は後ろから声をかけてきた短髪の男…新次郎の方を向く
彼は今日…「へ―ローースプログラム」という政府主導のプロジェクトへ参加するために大学に登校していた
本来なら2月で春休みを満喫しているはずだが、大学で行われた抽選で当選してしまった
史郎は辞退して他の誰かに譲ろうとしたが、史郎以外友達が当選していなかった「田中新次郎」の頼みで彼は大講堂に来ていた
「おう悪いな!でも極秘プロジェクトに参加ってロマンねぇか!?」
「無いよ…それに…嫌な奴がたくさんいるし」
「なんだい?この僕がいるのがそんなに不満なのかい?凡人の史郎が?」
ウゲッ…と史郎はまた寝たふりをしようとするが襟を掴まれて起き上がらせられる
「やめろよ坊…なんで毎回絡んでくるんだよ…」
「なんだって~?凡人の君がこの僕に逆らって良いのかな~?」
史郎の頭を腋に挟んで頭を締め付けているのは「彷徨坊」
紫色のくせっ毛を肩で切り揃え、吊り目は人を小ばかにするような表情に拍車をかけている
彼女は何故か史郎にことごとく絡んでは嫌味を言ってくる
「はぁ…はいはい凡人の俺は天才の坊様に話しかけられて幸せです~」
史郎が適当に返すとニヤニヤした坊はどこかへと歩いて行った
「お前も彷徨さんに気に入られてるよな~」
「いびられてんだろ。パシリにもされるし踏まれるし」
「贅沢なやつだな~あの足に踏まれるなんで数万円でも払えるだろ!?」
「お前の言うことは本当に意味わからないな…」
少し興奮したように語る新次郎を理解できない目で見る史郎
(てか…顔も見たくないメンツもそろってるんだよなぁ…)
周りから感じる湿った視線
彼女たちは他の人と話したり本を読みながらも史郎の方をチラチラと見ている
全員史郎は少なくとも友人以上の関わりはあったが、あまり史郎は関わりたくないと思っている
「てかいつ先生来んだろ」
「後5分で集合時間だ。まぁ、教員ならもう少し早く来ても良いと思うけど…」
本来なら教員は早めに来ているはずだが、今この大講堂には学生しかいない
「誰か先生呼びに行かな~い?」
「じゃあ俺行ってくる!」
前の席で話している大きな声で話していた集団の女子の1人がそう言うと同じ集団の男子が大講堂への扉に歩いていく
「は~い♪そこまでだよ~一旦ストップ~♪」
しかし、男子が扉に手をかける前に扉の前に急に白髪の女性が現れる
蛇の意匠が散りばめられているフリフリのドレスや靴は普通の社会ではコスプレに該当するだろうというほど浮世離れしている
「あ、あなたは?」
急に目の前に現れた女性に扉に手をかけようとしてた男子は彼女に問いかける
その問いを聞いた彼女はニヤリと笑う
「君たちの引率の先生だよ~ね?そうでしょ?」
その言葉を聞いた瞬間、史郎は何か足元が歪んだ感覚を感じる
クラッとして崩れ落ち欠けるが首を横に振る
「なぁ新次郎…なんか今こう…ぐわぁって変な感じしなかったか?」
「いや特には?それよりもほら早く行くぞ!」
「いやまだ先生来てないだろ…それにあのへんな奴もいるし」
史郎はそう言いながら周りを見る
しかし、周囲の生徒はみな出口の方へと歩いていた
「何寝ぼけてんだよ史郎~先生ならさっき来たろ?」
「はぁ?何言ってんだ…さっき来たのは白髪の女だけだろ」
「ほら来てんじゃん白坂先生!ほら荷物持てって!」
史郎は新次郎の言っていることを理解できないまま、荷物を持たされ、出口に連れていかれる
何度か史郎は新次郎に問いかけるが、新次郎は何もおかしいことは無いように答えていく
(何かがおかしいよな…あんな派手な先生知らないし忘れるわけないだろ…それに新次郎が先生って言ってるのも気になるな…)
「やっと来たか凡人~お前らが最後だぞ~」
少し歩いて大学の門を通ると道路にバスが1台止まっていた
そこでバスに乗りかけている坊はこちらに手を振っていた
「よし荷物乗っけて乗ろうぜ!」
「あ、ああ…」
賢い坊ですら何の違和感も感じていない
史郎気のせいだと思うようにし、荷物をバスに乗っけるとそのままバスに乗り込む
バスの残りの席は1席ずつしかなく、史郎と新次郎は別々の席に座ることになる
史郎が座った席の隣には見覚えのある女性が座っていた
「どうも先輩…」
そこに座っていたのは先ほどはいなかったはずの「彷徨美波」
苗字の通り彷徨坊の妹だ
しかし、姉妹のはずなのに外見や性格は真逆になっている
紫色でくせっ毛の坊とは違い、紺色の髪をロングにした垂れ目のおっとり美人
それが美波
「あれ?大講堂にいた?」
「いえ…ちょっと寝坊してしまいまして…先ほどバスで合流させてもらいました…良かったです先輩…知ってる人がいて…」
彼女は少し頬を緩める
どうやらかなり安心したようだ
「なぁ美波、あの白髪の先生ってずっといたか?」
史郎は前で座っている白髪の女性を指さす
美波はそれを見た後、頷く
「ええ。白坂先生ですよね。私たちの……学を担当してたじゃないですか」
「そうだったな…変なこと聞いて悪かったな」
「いえ…先輩の役に立ててよかったです…」
嬉しそうにはにかむ美波
「は〜い皆シートベルトしましたか〜?出発しますよ〜♪」
白坂(仮)が前の席で手を挙げるとそのままバスは出発する
バスは普通に道を進んでいく
(特に問題は無さそうだが…本当に俺が忘れるなんてあるか?)
美波は史郎の肩に頭を預けて寝ている
(まぁ…なるようになれだ…)
この頃、人生が嫌になっていた史郎は考えることを放棄し、目を閉じる
願わくばこのクソゲーな人生が終わっているようにと思いながら夢の世界へと旅立った
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「おい史郎!起きろ史郎!」
何やら焦げ臭い匂いが鼻を掠める中、新次郎の声が聞こえる
呑気な彼には似合わない剣呑な声に史郎は目を開ける
「なんだよ…これ…」
目を開けた時に飛び込んできたのは異様な光景だった
1番最初に目に飛び込んできたのは周囲を取り囲む黒い何かを着込んだ数十人の誰か
そして史郎達は全員縄で縛られていた
「新次郎…俺の目が可笑しいのか?寝て覚めたら捕獲されてんだけど」
「俺もそう思いてぇよ…でも現実らしいぜ…抓ったら痛かったし…」
史郎と新次郎はコソコソと話す
周囲で縄で縛られている彼らもザワザワとしている
「あ、あの!すみません!なんで僕たちは捕まってるんですか!?」
ある1人の男が声を上げる
その声と同時に「そうだそうだ」と複数人が声を上げる
「……………」
しかし、周囲を取り囲んでいる人達は一言も発しない
「なにか言えよ!オラッ!」
それに痺れを切らした1人の男が何とか立ち上がり一体を蹴る
そうするとそれは即座に動き、立ち上がっていた男の足をローキックで蹴る
彼は強い衝撃にすっ転んでしまう
「おいあれやばくねぇか?身長180cmがギャグ漫画みたいにすっ転んだぞ?」
「逆らわない方が良さそうか…てか、白坂先生は?」
「そういえば見てないな…パーキングエリアで降りてたのは見たんだけど…」
「てか、何があったんだ?」
新次郎は史郎が寝ていた間のことを話始めた
出発後、バスば順調に進み、高速道路を進んでいた
そして道中のパーキングエリアでトイレや小休憩を終わらせた後、またバスは発進
少し進んだ時、急に外から白い光が差したと思ったらバスは何かに激突、誰も怪我してなかったがバスはもう動けず、脱出しようとしたところを今周囲を囲んでいる奴らに捕縛されたらしい
最初に感じた焦げた匂いはバスの匂いだったらしい
新次郎が話し終えた時、何やら集団の奥からコツコツと音が聞こえてきた
史郎達を囲んでいる奴らが横に捌けると奥から1人の女性が現れた
「うっわ美人…」
横で新次郎が声を漏らす
それも無理はないだろう
灰色の髪に陶磁器のような白い肌と水色の瞳
顔立ちは整っており、体も出るとこは出て締まるべきところは締まっている
目測で175cm以上の彼女は軍服のような服装をしており、男装の麗人に見える
「………君たちが…」
彼女は史郎達をじっくりと眺めると顎に手を当てながら考えた素振りを見せると周りに待機している奴らにハンドサインを出す
そのハンドサインを見た奴らは同じような動きで彼女の背後へと消えていった
「……さて、手荒な真似をしてすまない。だが、こうする他無かったのだ」
「そう言うなら早く縄解けよ!」
先程転ばされた男子が再度声をあげる
次は誰も声をあげない
先程のように攻撃されると困るからだ
「それは出来ない。君達には今からある場所で身柄を保護させて頂く。そこで君たちの素性を調べた上で…君達には軍に所属してもらう」
「は?」
「さぁ、早速行こうか。立ち上がってくれ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ…」
次は史郎が声をあげる
流石に言っていることが分からなかった
「どうかしたか?」
「素性も何も俺らは傑雄大学の在校生だ。生徒手帳もあるし…東京の本校に連絡すれば確認できるだろ?それに軍ってなんだよ…自衛隊しかないはずだろ?」
史郎はそう言いながらポケットに入れていた財布を放り出す
そこにはマイナンバーカードや学生証が入っており、それを見れば素性なんてすぐに分かる
彼女は史郎の財布を拾うと中から学生証を取り出してじっくり見る
しかし、首を傾げる
「傑雄大学?…君、学生割を使いたいからって偽物を持つのは良くない」
「え?いや…それは本物…ですけど…」
「そんなはずない。東京には傑雄大学なんて無いぞ?」
どよめきが広がる
無理もないだろう
自分たちの通っている大学が無いなんて言われて混乱するなと言う方が難しい
「あ、あの…すみません…ここは…どこですか?」
史郎は震える声を何とか抑えながら彼女に問いかける
彼女は学生証から目を離すと答える
「ここは第7防衛軍所轄中央都市「江戸」だ。あ〜君たちがタイムトラベラーなら西暦も言った方が良いかな?今は2025年だ」
読んで頂きありがとうございます
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では、また次のお話で!




