腕時計編
いつも同じ。
同じ日の繰り返し。
朝起きて、朝食を食べ、学校へいく。
帰って、寝て、起きる。
そんな繰り返しにも、いろいろなことが起きる。
学校に着く。下駄箱が六個ぐらい。それぐらい、人が少ない。
7年生、8年生ともに2クラスだけだ。
9年生は1クラスだけ。
夏休みも終わった。一週間もたったけどまだ夏休みモードの人は少なからずいる。
これって全国共通?(笑)
その日の三時間目、理科の授業だった。
その時、すべてが始まった。
「みんな、土日に俺んち来れん?」 李 猛哲が言う。太ってる韓国人だ。
「おれむりだわぁ」
「俺もー」
みんな口々に答える。
今しゃっべてるメンバーは陰キャ側の人間。
「おい、やぁめろって」
「はぁ?」
端っこでじゃれあってんのが、陽キャ側の人間。いや、問題児だ。
そして、ひとりぼっちで読書してるのが、悟だ。ザ・陰キャって感じで誰とも話さない。
ああいうやつはなんのために生きてるんだ。
このときは俺はどちらかといえば、陰キャ側だった。
だけど俺は輝きたかった。
トップに立ちたかった。
「はぁーーーい。授業するよーー。席ついてー。」
先生の呼びかけに、みんな席につく。
そのとき、トイレから出て、走ってくる二人の姿が見えた。
健太とカクトだ。 二人とも超問題児。
よくみると笑っている。いや、悪事を働いた後の顔だ。
小声で「やばい、やばい」と言ってる。
なにかやらかしたな。
その日の体育の時間に俺は違和感を感じた。
ちょっと嫌いな体育教師の ”腕時計” いや、スマートウォッチがなかった。
その日の下校中、健太とカクトと一緒に帰った。
「いやぁ、やばくない?」
「ほんとだよ。やっちまったよ」
何の話をしてるかさっぱりだ。
「なに? またなんかやったの?」
「いや、なんも。」
「やってないよ。」
すぐに分かった。嘘だ。
「もしかして今日の理科の時間のとき、トイレでなんかやったの?そうでしょ?」
「なんもやってないって。」
この二人。いや、この学年の問題児たちは何かをやらかした。
イタズラか? それで済めばいいが。
翌日、問題児側の友達たちに聞きまくった。
しかし、何一つ教えてくれなかった。
ある日、2組の武田に声をかけられた。
「健太とカクトがなんかやったの?」
「いや、俺はなんも知らん。」
武田は陽キャ側の人間だ。
そんな武田も知らないとは。
しかし、知らないのは俺らだけだった。
情報は出回っていた。
俺がそのことを聞いたのは、あの日から一週間後。
先輩からだった。
同じクラスの海鳳がグラウンドにスマートウォッチが落ちてるのを見つけたらしい。
それは体育教師のものだった。
拾って、問題児側の人たちで、どうする?と悩んだらしい。
そして結局、トイレに持ち込んで、破壊したらしい。
何やってんだ。
9年生の間では、結構噂になってるらしい。
チクられるのも時間の問題だな。
真実を知った放課後、忘れ物をとりに来ると、机の上に何かが載っていた。
バキバキに壊れたスマートウォッチだ。
なんでこんなとこに?
誰かが俺の机に?
もしやあいつらが置いたのか?
このまま先生が来たらまずい。
俺を嵌めようとしやがった。
身代わりにしようとしやがった。
いや。待てよ。 これを利用してやる。
俺はこの学校の帝王になる。
俺はそっと、悟の机に置いた。
翌日。放課後に悟は呼び出された。
ははははは。きっと濡れ衣を着せられたとは思ってもないだろう。
このことをカクトと健太に話した。
その日から俺の立場は変わった。
次の日。悟が学校から消えていた。
退学かな?
誰とも喋らないやつだったので気にしてる奴はいない。
当然だ。




