05話 勝利とスキル
今回、ソウマのスキルの説明があるんですが、複雑になりすぎました……
なんでこんなスキルにしたんだと、自分で書きながら思ってしまいました。一応、性格に合わせたスキルという理由はあるのですが……
物質の形を変えられる、移動している物体の速度を速くできる、生物は味方のみ速くできる。
こんな感じになっています。詳しく知りたい方は後半に説明されてますので、ぜひ読んでください。
衝撃と共に光が拡散。そして消えていく。
――グラディスは上半身の半分を吹き飛ばされていた。
魔人にも赤い血が流れていたようだ。
「……しくじったな、これじゃあイグニス様の遊び相手ができねぇ」
グラディスは仰向けに倒れる。
――なんとか、倒したようだ。
俺はミトハに駆け寄る。
彼女も限界のようでその場に倒れこんでいた。
「……勝てたみたいね。あとは任せるわ、もう立てない」
重症だが、死ぬことはなさそうだ。
スキルの力だろうか、血も止まっている。
――俺はグラディスの剣を拾い、とどめを刺しにいく。
「――最後の攻撃はよかったぜ。あの拘束と勇者のスピードはお前のスキルだな? どうやった?」
「……教えるはずないだろう」
通信できる魔法や魔道具が存在する可能性もある。
その可能性がなければ、最後に教えてやってもよかったんだが……
そう思えるほどの強敵だった。
「――フン、用心深いな。オレとは違うわけだ」
「そういう性格なんでな」
グラディスは顔を上に向け空をみる。
彼の顔はうっすら笑っていた……
「――オレのボスは幹部のイグニス・フューリアだ。お前らボスと戦えよ」
「そのボスとやらに殺されろってことか?」
「そうじゃねえ、あの人の怒りのはけ口をオレがやってたんだが、お前らのせいで――もうできねぇ、だから代わりにやれ」
……絶対にイヤなんだが。
「だから……最後にいいこと教えてやる」
「俺たち魔王軍と、この国は何百年と領地争いをしてきた――」
グラディスは感情のこもらない声で話し続ける。
「俺たちが何百年と、この国を落とせなかったのはなんでだと思う?」
「――なんでって、勇者がいたからだろ?」
「ハ!たしかにな、それが最大の理由だな。だがそれだけじゃない。この国には影に潜む暗殺部隊が存在してんだ、ずっと昔からな」
暗殺か。いい予感はしないな。
「その暗殺者が俺たちを殺しにくるのか?」
「かもな。俺を倒したんだ、王に殺されるなど、つまらない終わり方はするなよ」
彼はそう付け加えた。
俺はとどめを刺そうと剣を振り上げる――
「とどめの必要はない、イグニス様の相手頼んだ……」
グラディスはそういうと、目を閉じる――
――俺がミトハを担ぎ正門までの道を歩いていると、彼女は目を覚ます。
「あ、あの。運んでくれてるのはありがたいんだけど、もうちょっと丁寧にというか……」
仕方がないので、俺は彼女をおんぶした。
「そういえばあんた、いつの間にかタメ口になってるな」
――戦闘中から思っていたが。
「……たしかに! 戦いでテンション上がちゃって、素に戻ってた」
「でもお互い命張って戦ったのに敬語なんて変じゃない?」
それもそうだな――
「まあ、あんた敬語が似合わなかったしな、素のままでいいんじゃないか?」
「敬語が似合うってなによ? あと、それもよ!?」
「それ?」
俺は彼女が何を言いたいのかわからない。
「あんたってやつ! これから仲間としてやっていくんだから名前で呼んで!」
……ミトハ。なにミトハだっけ?
覚えてない。
忘れたから教えてとは言えん。
「――分かったよ、ミトハ。これからよろしく」
「ええ、よろしくね! ソウマ!」
ミトハは満足そうな笑顔だった。
「それよりソウマ、さっきの何だったの? 気付いたら魔人に斬撃を放った後だったわ! しかも、私がイメージした通りに動いた、スピードは桁違いだったけど」
「えっとな――」
――俺は説明する――
俺のスキルは見たものを映像として切り取り、物の形を変えたりすることができる。
しかし、その編集時間は切り取った時間と同じ時間しかない。
そして、切り取ることができる時間は最大十秒。
つまり、十秒の映像を編集できる時間は十秒。
五秒だったら五秒となる。
だから、あまり複雑なことができない。
――例えば、今から十秒前を映像として切り取ったとする。
そして、五秒経ったところで停止し、地面を伸ばして壁を作る。
もちろん、映像を停止しても十秒たつと戻ってしまうので、十秒以内に編集する必要がある――
(映像は倍速にしたり、速さを変えることができる。しかし、巻き戻しすることができないので、編集したいシーンを過ぎると取り返しがつかないことになる。一度切り取った映像はもう切り取れない。だから、スキルに慣れるまではする気はない)
――編集を終え(終えなくても)、十秒経つと世界は十秒前に戻る。
そして、五秒後に地面から壁が生える。
何も編集しなくても、俺は十秒前の過去に戻ることができる。
それだけでかなり便利な能力だ。
これが俺が今までやっていた地面から色々生やしていた力の仕組みだ。
――そして、最後のミトハのスピードアップに使ったのは、倍速機能である。
この編集スキルは直接、生物に干渉することはできない。
また、編集したものを生物に当てることもできない。
映像上で生物を動かすことができないため、地面をトゲ状にして生物に向けても手前で止まる映像しか作れない。
だから、俺は相手が突っ込んでくる目の前に壁を設置するという回りくどいことをするしかなかった。
――ただ、編集で生物の速度を変えることはできる。
切り取った映像を二つにし、片方を倍速にする。
そして、その一部をもう一個の映像に貼り付ける。
今回はミトハを切り取り、もとの映像に張り付けた。
本来ミトハがグラディスのところまで行くのに三秒ほどだった。
その時間を数倍速(大体十倍)にして、短縮した。
本人からすると、これからしようと思っていたことが、気づいたら終わっているという感じらしい。
――ただ、この倍速を生物に使った場合。
その生物に、このスキルにゆだねる意思がないと効果は再生した瞬間に切れてしまう。
ゆだねる意思のない生物に倍速をかけても、本人が自分の意志で動いた瞬間、効力は消えてしまう。
本人からすれば、一瞬、違和感を覚えるくらいだろう。
だから、0.5倍速にして相手の行動を遅らせたりはできない。
俺はスキルを使う前、ミトハに心をゆだねて、これから先の行動をイメージしろと伝えた。
ミトハが素直にゆだねてくれたから、なんとか倒せたのだった。
「――て、ゆうのがなさっきの攻撃の仕組みだったんだ。分かったか?」
「分からないわ!」
だよな……
――同刻、王城――
白装束の集団の前に、仮面をつけた女の騎士が立つ。
「ドラス王より任務だ! ナンバー02、03、04、49、50の5人は今晩のうちに勇者ともう一人の男を暗殺しろ」
「はっ!」
命令を受けた五人が返事をすると、そこにいる全員が一斉に飛び去った。




