17話 幹部の正体
エッセイ書き始めました。創作論を書きたかったんですけど、そんな高尚なことは今の自分にはできないので色々な作品の感想を自分なりの視点で書いていきます。
かなり気楽に数分で読めると思いますので、ぜひ読んでみてください!
――図書館潜入隊からの情報はこの世界の歴史についてだった。魔女セレスタから聞いた歴史の補足説明のような内容だ。
この図書館に入ることが許されているのは貴族、王族、勇者のみ。
そのため一般的には知られていない魔法とスキルの話だった。
この情報が戦いで役に立つかは、これからの展開次第だろう。
その情報というのは魔力とスキルという力の源が世界の管理者だということだ。
魔王ルシヴェルが管理者から力を奪ったとき、奪えたのは力の一部だった。
管理者は力の一部を奪われたことで、内に秘めていた膨大なエネルギーを抑え込むことができなくなり、エネルギーは解き放たれた。
行き場をなくしたエネルギーは生物の中に入り、魔力という形で安定した。
しかし、強すぎるエネルギーは生物の形、能力を変え、人間を新たなステージへと開花させた。
それによって文明は滅んでいるので、開花と言っていいのかは分からないが……
魔王ルシヴェルに奪われた力は彼の中で最適化され、スキルという形に変化した。
そして、管理者は残された力を、まだ魔力が入っていない人間に与えた。
その力が現在まで続く、勇者のスキルとなった。
――つまり、この世界でスキルを使えるのは、魔王と勇者だけというわけだ。
魔王幹部は魔王が作り出し、力を与えているのでスキルを使えるということだが。
そういう意味でも幹部たちは特殊な存在といえる。
あと、これは個人的な予想だが。
前回の勇者が力を奪い、その力が俺をこの世界に召喚させたのだろう。
セレスタもそんなことを言っていた。もちろん召喚魔法の仕組みなど、俺は知らないので本当のところは分からない。
これが図書館隊から送られてきた情報の全容である。
――重要なのはもう一個のほうの情報で、魔王幹部がこの国に侵入しているという情報である。
図書館には今までの勇者が記した敵の情報も保管されている。
そのなかには魔王軍幹部ヴァリディアの情報もある。
そもそも魔王幹部とは魔王によって作り出され、力を与えられた存在であるため魔王が生きている限り何度でも復活し、人間の領地に侵略してくる。
理由はわかっていないが、魔王が自ら攻めてきたという記録はない。
なぜ、ヴァリディアが侵入していることが判明したかというと、記されていた情報と魔王領、国境付近の村々で広がっている噂を照らし合わせたからということだ。
本当にうちの忍びたちは優秀である。
ヴィリディアの能力の一つは殺した人間の姿かたちを奪うというものである。
そしてここ数日、国境付近の村々から村の人間が神隠しにあっている、いなくなったはずの人間を見た、死んだはずの人をみたという噂が広がっているらしい。
そしてその噂をたどっていくと冒険者の街クレイザ付近にたどり着くとのことだ。
この情報が正しいとすると、ヴァリディアはクレイザに潜伏している可能性が高い、ここまでが報告された情報である。
俺はここまでの情報を聞いて、あの違和感に納得がいく。
どう考えても、この前話しかけてきた子供が怪しい。
そもそも冒険者と冒険者相手に商売している人間しかいない街なんだ、子供なんてめったに見ないし、いたとしてもかならず親と一緒にいる。
まずいな、もう姿は変えてるだろう。被害者も増えているかもしれない。
あのときの違和感にしたがって、エルナたちに報告して監視してもらっていれば……
でも、なぜ手を出してこない? ミトハはクレイザに来てからも目立っていたんだ。
王都のようにお祭り騒ぎにはならなかったが、勇者がきたという噂は街中に広がっていた。
――まあ、勇者が活躍することによって冒険者は仕事が減るので、いい噂ではないのだが。
そして、わざわざ俺に接触してきた。
バルグの行進祭に合わせて、魔物と一緒に攻めてきたら最悪だ。
魔人は魔物を従えることができるらしい。
また、考えることが増えた。もう、頭がパンクしそうなんだがな……
「――もし、ヴァリディアが行進祭と共に現れたら、俺とクロナミ隊で対処する」
この場合、行進祭はミトハとユフィナに託すことになる。あの二人のレベルアップにかかってるな。
「はい、しかし一つ問題があります。ヴァリディアの能力に関してです」
「姿を奪うだけじゃないんだな?」
「はい、姿を奪うのはおまけみたいなものです」
ヴァリディアが魔王から与えられたスキルは『オクルス・スぺクラリス』、意味は鏡写の瞳。
能力はあらゆる魔法、スキルを同じ技で相殺するというものだ。
コピーとは少し違い、相手の攻撃を奪うことはできない。
つまり、ヴァリディア本人の意思で魔法やスキルを撃つことはできない。
例えば、ミトハが光焔衝をヴァリディアに撃ったとすると、ヴァリディアも同じタイミングで光焔衝を撃ってくる。そして、光焔衝は相殺される。
――ここで厄介なのが、魔王軍幹部の特殊性である。
彼らは魔王によってスキルを与えられているのだが、同時に魔力も持っている。
どうやって魔力もちの魔物にスキルを与えているのか、その方法は定かではない。
ヴァリディアはスキルの反転に自分の魔力を乗せることができる。
さっきの例だと、ミトハの光焔衝と同等威力の光焔衝に自分の魔力を乗せ、さらに威力を上げてくる。
これが厄介な点でエルナが問題があると言った最大の理由だ。
一応、これまでの勇者がどう倒したのかも記されていたようだ。
――前回勇者は光刃と身体神化で押し切ったようだ。
ヴァリディアは自分に向けられたスキルしか反転できないので、身体神化のように自身の肉体を強化するスキルは自分のものにできない。
その特性を生かして、ヴァリディアが反応できなくなるまで、ひたすら光刃を打ち込んだらしい。化物だな。
さすがにミトハにこれを期待するのは酷だろう。
――もう一つ面白かったのが王国魔術団による、魔法攻撃。
とにかく、数を撃ちヴァリディアのスキルの反応速度を上回るというものだ。
しかし、問題は魔王や勇者、そして魔王軍幹部もだが、スキルもちは魔法の耐性を持っていることだ。
つまり魔法による攻撃が効きずらい。
実際この王国魔術団はヴァリディアをしとめ損ねているようだ。
まあ、国境警備なので追い返せれば十分な戦果だろうが。
しかし、これがこの世界に勇者が必要な理由である。
勇者でなければスキル持ちには勝てないのだ。
――ここまでがエルナに聞いたヴァリディアの情報だ。
かなりの強敵だが俺との相性は悪くない。おそらくヴァリディアは俺のスキルを反転することができない。
しかし、それだけでは勝てない。
ただ、作戦は思いついている。
ミトハやユフィナに頼らなくても勝てる作戦を、そのためには――
「エルナ準備してほしいものがある――」
――俺がエルナに作戦を伝え終わる頃には、夜が明けていた。
アルミラの森、二日目の幕開けだ。
完全な説明回になってしまいました。ごめんなさい……
でも、これでやっと物語を動かすのに必要な情報が出そろいました!
もう当分、説明回はありません!
魔王領編まで突っ走ります!!




