13話 最高vs最強
改稿の結果、第一話がほとんど消滅しました……
そのため追加エピソードとして、今回の話を書きました!
おそらく、この世界の最高レベルの戦闘です。
――さかのぼること一週間と数日前の王都上空――
「――あれは、なんでバレたんだ?」
この王都は一週間に一回、『剣聖』グレシアによる魔力探知が行われている。
そのせいでわたしは昼間、急いで帰るしかなかった。
だからこうして二回も侵入したんだ。
そして今回の侵入中、魔力探知は行われていない。
だが、わたしの目の前には仮面の女が待ち構えている。
「――なぜわかった? グレシア」
「私も常に進化している、今の私の魔力探知は魔力の残穢も感じ取る」
相変わらずの化物ぶりだ。
ほんとうに魔王とどちらが強いのやら。
「昼間に懐かしい魔力を感じたのでな、ずっと上空からこの都市を見ていたんだ」
「そうか、次から気を付けるとしよう」
「次? 私から逃げられるのか? お前は選択を間違えたんだ、私と共に王に仕えるべきだった――」
「それにお前のせいで暗殺も失敗したようだしな」
グレシアがそういうと王都の壁上から上空に結界がはられる。
陽属性の光結界か。騎士団だな。
「逃げられないってゆうのは結界のことか?」
「私と戦いながらこの結界を壊すことなんてできないだろ? いや、そもそも私から逃げきれないか?」
たしかに天地がひっくり返っても勝てないだろう。
だが、こいつは王都をでることができない。
逃げるだけなら、手数の多い魔法使いの方が有利だ。
「――いくぞ」
グレシアはそういうと一気に加速した。
飛行魔法であんな速度、いくら魔力が膨大だからといっても魔力不足になる――いや、足元の空気に魔力をながして足場にしているのか。
なんて雑で馬鹿げた魔法だ。美しくないな。
だが、問題はこれから。そもそも彼女は剣士だ。
――グレシアが剣を抜き、わたしに向けて突き刺す。
「昔からよくこの手に引っかかってたか? おまえは必ず初手は全力の突き攻撃」
グレシアが突き刺したのは、わたしの幻影。
昔から変わらない、戦闘開始の合図。
グレシアが先制攻撃でわたしがそれを躱す。そして戦闘開始。
いつの間にか決まったルール。
――まずは、「――ノクターン・サンクタム」
この魔法は私の半径二十メートル内で魔法使用を禁止する魔法。
陰属性と陽属性の混合魔法。
二十メートル外からの魔法攻撃に対しても、効果を半減させる副作用付きの超理不尽魔法。
半径二十メートル以内にいたグレシアは落ちていく――
やはり飛行魔法で飛んでいたようだ。
ミルヴァ・ティア――水を針のようにして打ち出す水魔法を連撃。
もちろん簡単に躱される。
飛行魔法を使えるようになった、グレシアは剣を構える。
そして私めがけて突きを連続で繰り出す。
――見えない剣。
グレシアは多量の魔力を剣に流している。剣に流された大量の行き場のない魔力は彼女の速すぎる突きによって放出される。
そして魔力は見えない剣としてわたしに突き刺さるというわけだ。
正確には私の幻影に。
「――剣術を使うときに魔力探知できない弱点は克服されていないようだな!」
ノクターン・ベイルを利用し、追撃した後に幻影と交代。
――わたしは遥か上空へ。
水属性と陽属性の同時使用で完成する空間。
この空間内ではわたしの幻影をどこにでも自由に出現させられる。
――そして、陽属性と陰属性と火属性で特殊な粒子を発生させる。
発生した粒子を高エネルギー状態にし安定させる。
そして、加速させ放出。
――半年前、魔王城でくすねた本に書いてあった知識だ。
おそらくルシヴェルのものだろう。原理は全くわからないがこの技術を魔法によって使用する方法が、おびただしい数字と共に書いてあった。
「ビームと言うらしいぞ、この現象は……」
わたしによって放たれたビームは一直線にグレイシア向かって飛んでいく。
わたしはその隙に壁に向かう。
途中、グレイシアの方を確認すが――無傷のようだ。
あれで無傷ってもう生物の領域じゃないぞ?
あんなのに勝てるわけない、逃げるが勝ちだな。
――私は風魔法を駆使して全速力で逃げる。
だが、グレシアは追ってこなかった。
そのあとは何事もなく王都を出ることができた。
まったくひどい目にあった。
「――それにしてもビームかぁ。放出までに時間がかかりすぎる、再現性はあるが私の魔力が一発で半分持ってかれる……うん、ボツだな」
――王都――
見事に逃げられたようだ。
「グレシア様、捜索隊をだしますか?」
「いい、壁上で見張りを続けろ」
「はっ!」
歴代最高の魔女と言われたリュミエル・セレスタ――
いまだに成長しているとはな、魔法好きはあの頃と変わっていないようだ。




