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辺境伯の娘の武勇伝  作者: 茅野紗凪
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その後〜副団長目線〜

副団長、パレス視点です。この名前はついさっき決まりました。

今日は驚いた。とにかく驚いた。まだ昼にもなっていないのに、半日だけで一生分驚いた気がする。


昨日、レオンに呼び出されて執務室に行った。そこで聞いたのは驚くべき内容だった。

なんと、お嬢が剣術を習いたいと言ったそうだ。今まで、我儘一つ言ったことのないお嬢がだ。理由を聞くと、レオンの跡を継ぐ為に剣術も必要だからと言ったらしい。

それでなぜ俺が呼び出されたかというと、お嬢には俺から剣術を教えてほしいかららしい。その過程で、武の才があるか見極めて報告してほしいということだった。

ツェーヴェルト私兵団の団長の座を継ぐ為には強くなくてはならない。その求められている基準が高いから、ツェーヴェルト伯爵家は何人子供がいても武の才がある者がいないという理由で才能のある親戚の子を養子にもらうこともあるくらいだ。レオンの子はお嬢しかいないが、レオンは愛人を取る気がない。マリエッタはもう子供を産めないから、お嬢以外に子ができることはないだろう。だからこれはツェーヴェルト伯爵家にとってとても大切なことである。

そんな役目を任されて、慎重に様子を見て報告しようと思った。


そう思っていたのに、そんな思いはすぐに覆された。お嬢は天才なんてものじゃない。将来はレオン以上の化物になるだろう。


俺はお嬢に私兵団の制服を渡して、着がえるように言った。更衣室から出てきたお嬢はいつもの柔らかい空気はどこへやら髪を一つにくくって凛とした空気を纏っていた。正直、今年入ってきた兵士達より男らしい。


まず、走り込みをした。これは訓練の始めにいつもしている。いつもと違うのはお嬢がいるということだけだ。俺はお嬢はすぐに私兵団の団員に置いていかれると思っていた。しかし、その予想はすぐ覆されることとなった。なんと、お嬢は当たり前のように私兵団の団員たちについてきたのだ。それも最後尾でなく、中間あたりを。こんな2歳は見たことがない。ツェーヴェルト伯爵家の後継者となるかもしれないと考えると歓迎できるのだが、お嬢には『我儘』とか『甘え』とかもっと年相応の可愛げがほしい。


次に素振りをするのだが、まずはステータスを確認してもらった。普通の人間のステータスを教えると、すごく複雑そうな顔をした。ステータスが2歳にしては化物なんだろう。走り込みも平和ボケした王国の他の軍の人間ならついてこられないであろう速さだったしな。ほんと、将来が楽しみだわ。

素振りも始めこそ重心の変化に戸惑っていたが、思ったより早く型になっていた。


だから、すぐに試合形式での打ち合いをすることにした。本当なら明日、早くても今日の午後から始めるつもりだったが、お嬢の吸収が速すぎて午前もすることになった。つくづく規格外だ。


お嬢がかかってきた。もうスピードだけなら、そこらの兵士より上だ。目線は俺の胴に向いている。胴を狙って来ているのだろう。的が大きいからだろう。だがそこは防ぎやすいんだなぁ、お嬢からしたら上にありすぎてうまく力が伝わらないだろうし。とか思っていたら、最小限の動きでお嬢の剣は俺の左足を狙ってきた。胴に来るだろうと思っていたから反応が少し遅れたが、今のお嬢の剣速なら問題なく対処できる。お嬢の剣が俺に届くより前にお嬢に向かって剣を振り下ろす。お嬢はそれを避けてそのままの勢いで右足を狙ってきた。それを俺は避け、お嬢の首すじに向かって剣を振った。だがまさかお嬢が避けられるとは思わなかった。それを避けたお嬢は俺が驚いて固まっている内に懐に入ってきて、手数で押してきた。流石に俺よりは遅いがツェーヴェルト私兵団に入るには十分すぎる速さだ。

どのくらいたっただろう。お嬢の動きのキレが悪くなってきた。お嬢もそれが分かったのだろう、一旦引いて息を整えている。しっかり構えて、来た!残った全ての力を乗せて来ているのが分かる。俺がお嬢の剣を受けとめてお嬢の首すじに木剣を当てると、お嬢は気を失った。凄えなお嬢は。纏う空気といい、武の才といい、2歳でこれか。次期当主はお嬢しかいねぇな。俺もレオン以外で従うならお嬢がいい。この化物のお嬢様はどんな成長をするのかね。

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