魔術師ギルド長の困り事 ~解決策提示編~
主人公がとんでもない反則技を思い付きます。ある意味、チートな助っ人が登場します。
第三章 第十三部<魔術師ギルド長の困り事 ~解決策提示編~>是非最後までお付き合いくださいませ。
目を覚ますと、俺はどうやら寝ている間にセレアを抱き締めていたらしく、腕の中にセレアがいた。背中には柔らかい感触がベッタリとくっついて、後ろからも抱き締められていたりする。
「お、おはようございます。ご主人様。」
セレアは真っ赤になりながら耳もペタンと垂れ切っているままに、激しく舌を絡めてきた。起き抜けから可愛過ぎるんですが。いきなり完全に起きたぞ。全部が。
「おはよう。セレア。」
「タカシ様ぁ。」
リアは起き上がって、上から俺に顔を寄せてくる。心無しか目が潤んでいる。
「おはよ。リア。」
朝の挨拶と一緒に、セレアを抱き締めていた片腕を離してリアを抱き寄せて唇を重ねて舌を吸う。リアは思いきり抱き締め返してきて、舌を絡めさせながら、体を擦り寄せてくる。
もしかして、妬かれてる?ごめんな。寝てる間は無意識だから勘弁してくれ。
リアとセレアを半身ずつ上に乗せるように上を向いて、唇を重ねたままにリアの体を弄る。
「おはようございます。タカシ様。」
嬉しそうな顔になって、朝の挨拶を返すリア。すると、セレアは拗ねたような顔で下に潜り込んだ。
これ、朝の日課になるんじゃね?嬉しい限りだけど、自重しないと出発できなくなるなぁ。
昼過ぎにはレンシディオさんが来るという事で、ベットと風呂の1回戦ずつのみで自制して、遅い朝食を済ませる。昨日も結構遅い時間にはなってた筈なのに、それなりの時間に起きてた自分が凄い。
「レンシディオさんの困り事ってなんだろうな?ギルド内での権力抗争だったりすると、やれる事がない気がするけど。」
「そうですね。しかし、お話を聞いてくださるだけでも気持ちは軽くなりますし、ご主人様のような方に心情的に味方をしてもらえるというのは大きな救いになるかと思います。冒険者ギルド最高位の白金級の冒険者なのですから。」
「はい。それに、もし、後ろ楯になるという事になれば、実際にその場にはいなくてもその影響力は大きいですし。何せ、白金級の冒険者は世界でも極少数しかいない、大きな功績を残した人にしか与えられない名誉の階級ですから。」
リアの言葉にガックリと肩が落ちる。
「マ、マジでか・・・・それ、とんでもなく目立つんじゃないのか?」
「恐らく、お名前は知れ渡ることになると思います。ただ、今の状態だと他の街では騙り、偽者扱いされる事の方が多いかもしれません。」
「どうしてですか?ご主人様の容姿に関する話も一緒に広まるのでは?」
やや憮然とした声で問うセレア。
俺としてはその方がありがたいんですが。冒険者ギルドでは依頼を受ける時に出さないといけないけど、それ以外では出す必要性もないからバレる心配もないし。
「奴隷の数が少な過ぎるんです。しかも、連れている奴隷は獣人と亜人のみ。一般的には鉄級の冒険者程度の持ち物ですから。」
「あ、それで採掘場でも魔術師ギルドでも鉄級に間違われたのか。てっきり俺があんまりにも弱そうに見えるもんだからとばっかり思ってた。」
「そんな。ご主人様が弱そうだなんて有り得ません。あの気迫、迫力、威圧感、どれを取っても思わず身震いをしてしまう程のものですのに。」
「でも、普段のタカシ様は優しげで柔らかな雰囲気をしてますし、口調も丁寧で温和そのものですから、表面だけで物事を判断する人はそう捉えてしまうかもしれませんね。・・・・それだからと言って、タカシ様を侮辱するような愚か者にはそれ相応の報いを受けてもらうつもりですけど。」
「当然です。」
セレアもリアも声がマジ過ぎる。
「い、いや。確かに、見縊られるのは面白くはないけどさ。不必要に威圧する事もないよ。必要なら、俺が直接言うし。」
この2人がキレると、相手がマジで死にかねない。採掘場のブチギレを見て思った。キレさせたらマズイと。
「本当に、ご主人様のあの迫力は私達とは次元が違いますね。目を見据えて言葉を発されるだけで、あの無礼な輩が膝から崩れ落ちたんですから。」
「はい。凄かったですよね・・」
2人はどこかウットリした眼差しで俺を見つめる。採掘場のイケメンの時の事を言ってるんだろうけど、そういう目で見ないでほしい。メチャクチャ照れくさい。
「ん。まぁ、だから基本的に放っておいていいよ。」
「しかし・・・ご主人様はお優し過ぎますから・・・」
「そうですよ。昨日の魔術師ギルドの輩に対しても、全く怒りもせずに・・・・あんな無礼な輩にまで温情は必要ありません。他の冒険者なら相手を叩きのめしていますよ?」
マジか。冒険者、ほとんど荒くれのチンピラじゃないか。道理で、やたらとビビられる筈だ。
「そういうのは好きじゃないんだ。手を出さなくても、口だけで充分に必要な所は改めさせられてるし。」
「・・・ご主人様?その必要な所というのは、もしかして私達に対しての周囲の人達の対応に関するものばかりではありませんか?」
「他に何かあるか?俺に対する反応は冒険者証でも出せば変わるだろうけど、獣人族や亜人族への態度は言って改めさせないと変わらないだろ?」
そういう時に必要になりでもしない限りは出しませんが。俺への反応は変わってほしくない。極力目立ちたくはないのだ。仕方がない時は諦めるけど。
「それはそうですけど・・・」
「ご主人様は本当に寛大で懐が深すぎます。では、せめて、奴隷をお増やしにはなりませんか?リアさんの言う通り、奴隷の数や種族でご主人様の見方が変わるのであれば・・・」
「あっ。そうですね。それなら、タカシ様の評価が無駄に低く見積もられる事もなくなりますし、タカシ様にお仕えできる事になればその奴隷も他の誰かに買われるよりも絶対に幸せです。」
ぬぅ・・・そう言われてしまうと、買いたくないとは言い辛い。でも、自分を誇示する為に奴隷を増やすってのはどうにもなぁ。それにどうやら、1つ勘違いしてるっぽいし。
「でも、セレアとリアみたいに、俺が誰にでも好意を寄せるって決まったわけじゃないぞ?2人が優しいって思ってくれてるのは、間違いなく俺がセレアとリアを好きだからだし。好きな人以外には特別優しくはないぞ?俺は。」
俺の言葉に2人は首筋まで真っ赤になって俯いてしまう。
「「は、ははははは、はいっっっっ。」」
あれ?俺、もしかして、かなり恥ずかしい事を口にしませんでしたか?
「〔好き・・・ご主人様が・・・私を好きと・・・ご好意を、その、示してくださっている、のは・・・・分不相応ながらも、その、分かっているつもりでは・・・・・で、でも・・・す、好きと仰って・・・・・〕」
「〔こ、好意をも、もも、持ってくれてるのは・・・その・・伝わってない方が変ってくらいです、けど・・・・・・す、すすすすす、好きって・・・〕」
2人共、小声ではあるけれど、思いきり密着されながらだと、普通に聞こえてしまうんですが。顔がスゲェ熱いっす。
「ごっ、ご主人様っ。わ、わわわ、私も、その・・・お、お慕いしています。私の全てはご主人様のものですっ。心から愛していますっ。」
「え、ええええと、その、あの・・・・私も、大好き、です。身も心も全部捧げても足りないくらいに愛していますっ。」
2人はそれぞれ腕を抱き締めながら、嬉し恥ずかしなセリフを全力投球してくる。
顔どころか、全身が熱い!!!
そこに、ノックの音がして、レンシディオさんがやってきた。
リアが出迎えて、俺達はベットに腰掛けて、レンシディオにはソファーに掛けてもらい、向かい合わせになる。
「あの・・・もしかして、タイミングが悪かった、でしょうか?」
セレアとリアの若干恨みがましい視線が気になったらしい。いやまぁ、分からんでもないけどね?元々来る予定だったんだから、そういう顔をしないの。
「い、いえ。気にしないでください。それで、早速ですけど、お困り事というのは?」
「あ、はい。実は、リスタニカ魔術師ギルドでは2つの派閥ができてしまっておりまして・・」
ありゃ。権力抗争系の悩み事か?
「派閥がある事自体は珍しくもないんです。ただ、私が女だという事で、女性のギルドメンバー以外への指示が通りにくいんです。昨日の魔法講習についても半分以上はそれが原因で、ギルドの運営にも支障が出る有り様でして。冒険者ギルドや奴隷商会、宿屋などからも苦情が絶えないんです。」
「冒険者ギルドと奴隷商会に加えて、宿屋までから?」
「はい。魔石への魔力供給がされていなかったり、遅れてしまったりと・・・」
あぁ。なるほど。灯りやお湯とかの為に魔石を使う時には魔術師ギルドに依頼が来てるのか。
「それも、私が懇意にしている所ばかりがそうなってしまっています。」
「なるほど。向こうの派閥の嫌がらせってわけですか。」
「はい。」
「相手の長になってるのは、やっぱり副ギルド長ですか?」
「お察しの通りです。しかも、副ギルド長は魔法の才がある者を優遇しているので、増長した者が他で揉め事を起こす事も少なくなくて、困り果ててるんです。最近では、才能を持つ増長した者がそうでない者を虐げるような事も出てきている始末で・・・・発見次第に制裁を加えているのですが、反省の色もなく、むしろ、副ギルド長は力ある者の道理が通らない方がおかしいと擁護する姿勢を示すものですから、反発してくる有り様なんです。」
「うわぁ・・・それじゃ、才能がある奴は好き勝手にさせてくれる副ギルド長に加担していくから、派閥のパワーバランスも偏っていると?」
「・・・はい。仰る通りです。」
言って項垂れるレンシディオさん。
ダメだ、こりゃ。副ギルド長、クソ野郎決定。んで、増長してる奴らは馬鹿認定。
多分、副ギルド長はパワーバランスを崩す為に、馬鹿の横暴や怠慢を容認してるんだろう。そのせいで、魔石への魔力供給っていう仕事にも支障が出てるのだ。何せ、魔石への魔力供給は才能がある人にしかできないらしい高等技術らしいからな。それが長期に渡って頻発すれば、レンシディオさんのギルド長としての資質を問われる事になって、最悪の場合は辞任という事になってしまうだろう。そうなれば、ギルド長の地位は、次点である現在の副ギルド長にっていう目論見なんだろうけど・・・・
そうなった時にはリスタニカ魔術師ギルド自体の信用が地に落ちているのは明白。さらに、増長させた馬鹿は、急に真面目にやれと言われてもやる筈もない。そうなれば、最早、ギルドが組織としてまともに機能しなくなり、潰れてしまうのはそう遠くなくなっているだろう。
ギルドが会社みたいに潰れるなんて事があるかどうかは分からないけど、少なくとも、組織として再スタートを切る為には相当に面倒な事になるのは間違いない。そうなったら、副ギルド長がギルド長に就任した所で一時的なもの。即行で失脚するのは日の目を見るよりも明らかだ。何せ、権力を得る為に、土台となる組織を腐らせるような奴なんだから。
「となると、副ギルド長の土俵に立って、副ギルド長を追放、もしくは失脚させるのが1番の解決策でしょうね。ついでに、増長してる馬鹿の鼻っ柱を叩き折って、精神的に追い込んだ上で、2度と偉そうな態度を取れなくする事で、思慮に欠けた行動は抑えられるかと思います。」
「はい・・・しかし、先程申し上げました通り、才能のある者は全員副ギルド長派です。実力行使をしようにも、私1人ではさすがに全員を叩きのめす事は難しくて、何か他の方法はないかと頭を悩ませている次第なんです。」
うむぅ・・・目立つのは嫌いだけど、弱い者イジメをしているような事を聞いたら、全力で加害者の方を潰してやりたくなる。権力や腕力に物を言わせるタイプは虫酸が走るくらいに嫌いなのだ。
あの専務の息子というだけで仕事もできないくせに店長になったカスとか、店長の愛人だからというだけで仕事もしないくせに新人イビりをしてた態度のデカい性格ブスとか、ムチャな仕事量を押し付けてきてこっちが残業で深夜まで残ってるってのに悠々と定時に上がっていくエリアマネージャーとかっ!あと、中学時代には・・・・
「ご、ご主人様?」
「ど、どうしました?」
「す、すみません。何かお気に障るような事を言ってしまいましたでしょうか?」
セレアとリアからは気遣うような、レンシディオさんからは怯えた視線が声と共にやってきて、我に返る。
「あ、あぁ。申し訳ありません。少し、昔の嫌な事を思い出してしまいまして。」
いかんいかん。レンシディオさんを怯えさせてどうする。
と言うか、俺、そんなに怖い顔をしてましたか?本当に申し訳ございません。でも、セレアとリアはビビんないのね。なんか嬉しい。
「状況は分かりました。では、実力行使に出ましょう。」
「え?」
目をパチクリとさせるレンシディオさん。
「馬鹿には言葉を尽くしても伝わりません。なら、実力で捩じ伏せて2度と逆らう気が起きないようにしてやればいい。副ギルド長は言っていたんでしょう?力ある者の道理が通らない方がおかしいと。」
暗い含み笑いが漏れる俺。
「は、はい。しかし、どうされるおつもりですか?」
若干引き気味でレンシディオさんが問う。
「心の底からの恐怖ってのを味わわせてあげますよ。ただ、それには3つ条件があります。」
ゴクリと喉を鳴らせるレンシディオさん。
「1つ。魔術師ギルドのメンバー、それも副ギルド長派の奴らと俺達とレンシディオさんだけの舞台を作る事。他の観客や野次馬は勿論、レンシディオさんの派閥の人もが一切いない状況という事ですね。これは可能ですか?」
「は、はぁ。それは多分、今後の権限を賭けるとでも言えば・・・場所は先日の中庭でしたら、野次馬なども有り得ません。」
「はい。では、2つ目。その場には副ギルド長と増長してる馬鹿全員を集める事。」
「それは問題ありません。僭越ながら、私はかなり強力な魔法使いです。私を捩じ伏せるつもりなら、必ず全員を集めます。それに、権限を賭けるのですから、副ギルド長が参戦しないわけにもいかないでしょう。」
「では、最後。その日にあった事は絶対に誰にも言わない事。これはレンシディオさんだけが守ってくだされば充分です。仮に、副ギルド長一派が<その日の事>で騒いでも、知らぬ存ぜぬを貫き通す事。」
「? はい。お力添えをいただくのですから、それを口にする事でタカシ様に不利益が生じるという事ならば、生涯口にしないと誓わせていただきます。」
怪訝そうな顔をしながらも、首肯してくれる。
「ありがとうございます。それなら、ほぼ間違いなくそいつらの鼻っ柱を叩き折って、レンシディオさんに従順かつ忠実な部下にさせられると思いますよ。」
暗い炎を宿したかのような俺のセリフに腰が引けた様子のレンシディオさん。
うん。八つ当たりに近いもんがある上に、副ギルド長達には全く関係のない私怨がゴッソリ含まれているだけに怖いものはあるとは思う。
「・・あ、あの。条件はそれだけ、ですか?」
「? はい。」
「その・・報酬はいかがしましょう?」
「へ?」
緊張した声音のレンシディオさんに、間の抜けた声を返してしまった。
「え?あの、仮にもご相談に乗っていただいて、しかも、ご助力いただくのですから、当然かと思われるのですが・・・」
「あぁ。そっか。言われてみればそうなりますね。」
ほぼ完全に八つ当たりの私怨だから、そういう認識がなかった。
「では、先程の条件の3つ目を報酬とさせていただきます。」
「え?」
「他の2つではレンシディオさんに動いてもらわないといけませんから、普通の依頼と言うよりもお手伝いみたいなものです。それに、何より、私がそういう輩が大嫌いでしてね。こちらからお願いさせていただきたいくらいの話なんですよ。」
「・・・・あの、タカシ様の過去に一体何が?」
汗を一筋垂らしながら言うレンシディオさん。
「いえ。そんな大した事はありませんよ?」
「・・・そうですか?あの、でも、できるだけ人死には避けたいんですけれど・・・」
一体どれだけの怨念を抱えてると思われてるんだ?
「大丈夫ですよ。多分。」
まぁ、手段が手段だけに絶対とは言えないから、そう取られても仕方がないか。
「・・えっと、ところで、どのような手を?」
ん~・・・かなり乱暴な手に出るつもりだからなぁ。事前に言っておいた方がいいか。レンシディオさんまでパニックになられても困るし、本当に口止めが有効かの確認にもなる。万一、副ギルド長達との事の前にレンシディオさんがどこかに駆け込んだとしても、俺達が恍ければ彼女が晒し者になるだけだし。そうなったら、まぁ自業自得って事で。
「そうですね。事前にお伝えしておかないと、パニックになられても困りますし。」
リュックにしまっていた遠話の腕輪を出す。風呂に入る時に片付けていたのだ。
「タッ、タカシ様!?ま、まさか、心の底からの恐怖って・・・」
「そ。ジェラルリードちゃん。」
『はぁい。呼んだ~?』
レンシディオさんの表情が驚愕に固まる。
何故にそんなにビックリしてるんだろ?声だけでジェラルリードちゃんの素性が分かる筈も無いと思うんだけど・・
「うん。元気?」
『勿論。タカシ達も無事に生きてる?』
「おう。セレアとリアも元気だよ。」
『うんうん。それで、どうかした?』
「ちょっと力を借りたいなと思ってさ。ジェラルリードちゃんがこの前に果たせなかった目的の助けにも少しはなると思うし。」
『あたしのって。それ、人間族相手に暴れなきゃ意味ないのよ?』
「分かってるよ。だから、とりあえず、殺さない程度に暴れてほしいんだ。」
『・・・あんたってホントに変。いくら殺さない程度にって言っても、同族を襲わせようとする?食事もしちゃうわよ?別に人間族の血が嫌いってわけじゃないんだから。』
「それって、血を吸ったら失血量が致死量じゃなくても死ぬとか人じゃなくなるとかある?」
『は?いや、別にそれはないようにできるけど・・・』
「んじゃ、それで頼めない?」
『血を吸うのは止めないんだ・・・ハァ。分かった分かった。1人も殺さないようにしたげる。それでいいんでしょ?』
「マジ?ありがと。」
『・・・・あんたが人間族だってのがちょっと疑わしくなってきた・・・』
「失礼な。正真正銘ただの人間だぞ。」
「あ、あの・・・その腕輪はまさか・・・いえ、それよりも、血を吸うって・・・」
青ざめた顔で体が微かに震えているレンシディオさん。まぁ、察しはつくわな。
『あれ?他に誰かいるの?』
「うん。今回の頼み事の関係者。詳しく話したいんだけど、こっちに来れないか?日中なのに悪いんだけど。」
『いいわよ。それじゃ、今、あんたに影はできてる?できてなきゃ、光魔石でも使って作ってちょーだい。』
「? 了解。あぁ。そだ。俺の事情は話してないから、そのつもりで頼むな。」
影を作ってどうするんだ?もしかして、影を介した空間転移魔法とか?
『おっけー。んじゃ、影ができたら教えて。』
「はいよ。リア。頼め」
言い切る前に、リアは既に光魔石に魔力を注ぎ終わって、光魔石の発する光によって俺の足下に影が濃くできる。ホント、気が利くなぁ。
「ありがと。」
「いえ。当然の事ですから。」
俺の隣に戻ってくるリアの頭を撫でると、嬉しそうに肩を寄せてくる。
「できたよ。」
『了解。じゃあ、1回遠話を切るわね。』
「はいよ。」
遠話が途切れたかと思ったら、俺の足下の影からジェラルリードちゃんがゆっくりと出てくる。それを見たレンシディオさんは顔色を真っ白にして、倒れてしまった。
やっぱり先に会わせておいてよかった。当日に倒れられたら洒落にもならないからな。
主人公がレンシディオさんに対して少し冷たい気がしますが、これは主人公は特別にレンシディオさんを気に入ってる訳ではない為です。セレアとリアには過保護気味な主人公ですが、それはやはり作中で主人公が言ってた通りだからなのでしょう。
主人公は、博愛主義者でも全女性の味方という訳でもないのです。
では、これにて第三章 第十三部の幕を下ろさせていただきます。最後までお付き合いいただいた皆様に感謝です。また次もお付き合いいただければ幸いです。




