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魔女が真龍に仕掛けた我儘戦争(仮です。迷走中です。少し変えるかもです)  作者: 漆本李彩(しつもと りあ)
第二章 冒険者学校は才女だらけ?!
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第126話 なんと! マスターの責任でしたか……

「タツキ~! 帰ろう~」

「おう! ちょっと待ってくれ」


 先週からシェンユは、ギルドのバイトをしなくなった。4月までは自分の時間にするか、我儘亭で手伝いをするらしい。


 領主様から聞いたけど、冬の間は帝都テンルウの貴族が暖かいユウツオに来るらしい。シェンユ自身は何も言わないが、きっと警戒しているだろうな。


 なので、俺もシェンユに合わせて、放課後の自主訓練をやめる事にした。領主様からもシェンユを頼むと言われているし、何よりも、2週間前の立入禁止区画の爆破事故を、穏便に収めてくれたのはシェンユだ。お怒りの領主制を鎮めてくれたのも。


「今日はね~。ちょっと、市場に行かない? 探し物があるんだ~」

「お、いいな。俺も久しぶりに市場を見て回りたいな」

「あっ。ノアちゃん!」

「おかえりなさいませ、マスター。シェンユさん」


 ノアは先週末から、帰りも迎えにくるようになった。

 シェンユがギルドのバイトをしないで帰るとか、その理由とか、俺も一緒に帰るようにするとか話をしたら、「何かあった時の為に、私も御一緒しましょう!」とか言ってきた。

 ノアがいれば戦闘とかになると安心できるけど、貴族とのトラブルって力技では解決しないだろうから、むしろ不安ではある。


 校門で、突っ立てるので、ゼルトワ達と鉢合わせになる事もあるようだけど、どうなってるのは聞かない。

 ダリアさんやユウや双子と会ったら礼儀正しく挨拶をするみたいだ。そして、ヒトラ様とヒョウカさんに会ったら、深々と挨拶をするらしい。


「ノア、今日はちょっと市場に行こうと思ってる。お前は、どうする?」

「もちろん、ついていきますよ」

「よーし。じゃぁ、ユウツオ兎車に乗ろうよ。オイラが運賃出すからさ」

「走って行くんじゃないのか? 珍しいな」

「ちょっとね、出来るだけ貴族区画を通りたくないから」


 なるほど。


 俺達はユウツオ中を回っている都市バスみたいな、ユウツオ兎車に乗って商業区画の市場まで向かった。

 ちゃんと俺とノアは自分で運賃を支払った。年下の学生に払ってもらうワケにはいかんのだよ。


 市場に着くと、なんかいつもよりも人が多い感じがした。


「なんか、賑わってる? 久しぶりに来たけど、こんなもんだっけ?」

「あぁ、商人が多いんじゃないかな? ほら、今はユウツオに帝都テンルウの貴族が多いでしょ? あの人達は、こんな市場まで買い物に来ないからね。だから商人は、ここで仕入れて、貴族区画の中に売りに行くのさ。帝都テンルウと違って、ユウツオの貴族区画にはお店って2店ぐらいしか無いからね~。少し高くても彼らは買うよ」

「おぉ! それは儲かりそうだな!」

「マスター、やるんですか?」

「そうだなぁ~。俺に商売の才能があるとは思えないが、エクシィのカードならできそうな気がする」

「タツキやめときなよ~。無駄なトラブルが起きるよ? 関わらないのが1番さ!」

「そうかぁ?」


 いや、そうだな。俺が発端でシェンユに迷惑がかかると、いけないからな。


「それから、カードの販売ならユウとジョノが、もうやってるよ」

「えっ? そうなの? 知らなかったなぁ」

「あの、それで、どこへ向かいますか?」

「そうだ。シェンユの探し物って?」

「ん~っと、こっちかな?」


 市場の北西側に向う事になった。

 最東端にはガルーパフ駅がある。そこから物は運ばれてくるので、資材や武器など重い物は駅に近く、衣類や魔道具などの軽い小物ほど西側に店がある。

 ちなみにエクシィの専門店は最西端の隅っこに1店舗だけ存在する。


「何を探してるんだ?」

「服の下に着る、伸縮性の高い服だよ」

「そんなのがあるのか?」

「あるんだなぁ~。着るとキツいから苦しいし、動きにくいし、人気は全然無いから、扱ってる店が1つしかないんだよ。しかも在庫がほとんど無くて、今日、行ってもあるか分からないけど、たまに見に行ってるんだ」

「下にそんなの着てたのか。なんの為に? 動きにくいんだろ?」

「ふっふっふっ。動きにくい状態で、動けるようになれば、それを脱いだ時に凄い動けるようになるだろ?」


 おぉ! 加圧トレーニングみたいなのか! そんなインナーがあるとは。俺も欲しいなぁ。伸縮性の高い服なら、全身タイツ的な事もできるか? ドラグマン・レッドのコスチュームに使えるかもしれん。


「そういえばノアちゃんって、毎日その、変わった服だよね?」

「そうですね。同じ服を何着も持っていますので、ちゃんと洗ってますよ」


 たぶん、洗ってるのはノア4だ。


「いやぁ、臭いとか思ってないよ~! ただ、他の服は着ないのかなぁ? と思って。ノアちゃん美人さんなのに、もったいない」

「マスターが、この服か裸しか許可してくれないのです。式典で、この服装をダメと言われたら、裸で行く事になりますね」

「えぇ~!」

「いやいやいや! そんな事、言ってない! 確かに制服を設定したけど、他の服はダメとか言ってないから!」

「そうですか。なら、どんな服が好みですか? 御主人様から和服を借りてきましょうか?」

「タツキの好みの服しか、着れないの?」

「そんな事ない! 好きな服を着ろよ!」

「そうですか。なら、コレでいいですね。私は気に入ってますので」


 結局、制服しか着ないのかよ。なんなんだ、この会話は。


「あいたっ」


 後から誰かが、ぶつかってきた。声からすると小学生ぐらいの子供だろう。


「大丈夫か?」


 振り返って声をかけると、予想通りの6歳ぐらいの体格の子が、尻もちをついていた。そして予想外な事に、小さな身体に大きなウンコの頭をしていた。


「えっ?」

「オジサン、ごめんなさい」

「あ、うん。いや、いいよ、うん」


 ちゃんと顔の部分に穴が開いている。どうやら被り物みたいだが……


 ウンコ!? なんで?


「マスター、もしかして、あの怪人の子でしょうか?」

「ちょっとノアちゃん、違うよ! 怪人に子供なんていないよ!」


 ウンコ頭の子は、一礼すると、キョロキョロと周りを見回しながら、ヨタヨタと歩いていく。


「もしかしたら、迷子かなぁ?」

「ま、迷子か! 俺ちょっと、声かけてくるよ」

「待って下さいマスター」

「どうした?」

「変なオジサンが声かけると、逃げるかもしれません。私も行きます」


 誰が、不審なオジサンじゃい!


「オイラも一緒に行こう」

「探し物は?」

「後でいいよ。迷子だったら助けてあげたいじゃないか」


 さすがシェンユだ。こいつもヒーローになれる見込みがあるぜ。


 声をかけると、やっぱり迷子だった。祭りの小道具売り場へ、他にも大勢の子供と一緒に、市場に来たと言う。


「こういう木製お面系を売ってるのは、もっと南の方かな? 行ってみようか」

「えっ。コレって売ってる物なの?」

「そうだよ~。オジサン知らないの? 僕ねぇ、本当は違うのが良かったけど、お金無くてコレにしたの」

「離れないように、お姉さんと手を繋ごっか?」

「うん。分かった」


 え? 木製ウンコの被り物を売ってるって、どういう事よ!


「そっかぁ、今年は龍滅祭かぁ~」

「龍滅祭って? コレを被る祭りがあるの? 信じられん」

「はははは~。コレだけって事は無いけど。1番多いのはドラゴンのお面だろうね。他にも有名な龍人のお面もあるよ。あとは怪人の被り物かな」

「どういう祭りなんだ?」

「年末に年越し祭りの1つなんだ。4種類あって、今年は龍滅祭なんだろうね。内容は悪いドラゴンや龍人や怪人を倒して、人族の繁栄は維持されている。次の年も人族が繁栄できるように、奴等をやっつけよう~! 的な感じかなぁ?」

「そうだよぉ~。みーんな、コレ被って街に行くの。そしたら冒険者が剣で、倒してくれるんだよ! それでアメを貰えるの!」

「えっ? 剣で? 冒険者が?」

「タツキ、剣って、オモチャの剣だよ。いちおうドラゴンの素材で豊かな生活をおくれてるからね。感謝の気持ちもあるだ。それで、何故かアメをあげるんだよ。詳しくはオイラも分からない。そういう祭りなんだ」


 なんか変わってんな。ハロウィンみたいなものだろうか。


 南側に行くにつれて、親子で歩いてる、ウンコ頭の子供が増えてきた。他にもオニギリ頭とか、羽が4枚ある頭とかいる。異様な雰囲気だ。

 トマトを投げ合って真っ赤になる祭りとか、臭い泥を塗りつける祭りとか、知らない人からしたら、狂気だよな。似たようなものか。


「タツキは、来年の年越し祭りが楽しみだね! まぁ、大変な事になるとは思うけど……」

「来年? 4種類あるって言ってたな。毎年違う祭りをするのか」

「そうだよ。帝都テンルウはね、毎年4種類を4つの会場で全部やるんだよ。ユウツオでは毎年違う祭りを1つやるんだよ」

「帝都は、すげぇな。それで? 来年の祭りは?」

「大魔女祭だよ。人族に力と平和と知識と、あらゆる物をもたらした、大魔女サヤ様に感謝する祭りをやるよ」


 サヤ様感謝祭か! それは、楽しみだな。何か情報も得られそうだし。


 たぶんだけど、ノアは知ってたな?


「シェンユさん、大変になるとは何故でしょうか?」

「毎年、魔女教団が張り切るんだよ…… ユウツオにはサヤ様が滞在してた歴史もあるし、大防壁もあるし、弟子が住んでたとされる円柱地形もあるからね。魔女教団の偉い人が来たりするんだよ~」

「そ、そりゃ大変そうだな。来年は領主様も苦労するだろうな」

「だね~」

「あっ! 皆いたー!」


 ノアと手を繋いでるウンコ頭の子が指をさす方向に、まさかの大勢のウンコ頭の子供がいた。

 8人のウンコの集団と1人の保護者らしき女性がいて、こちらに気づいて手を振っている。


 異様な光景だ!


「カファン! もう、どこに行ってたのよ」

「そうだぞ! ツアンニェさんを心配させんなよ!」

「ゴメン。ゴメン」


 迷子だった子供は、ノアから離れてウンコの集団の1つとなった。他の年上ウンコからお叱りを受けている。


「ありがとうございますぅ。この子がいなくなっちゃって、困ってた所でしたぁ」

「いえ。迷子よりも、なんでこんな光景になったのかは、困らなかったんですか?」

「はい?」


 俺が保護者なら、止めるだろう。1人ならまだしも、9人がウンコになるなんて……


「あ、タツキの兄貴じゃないっすか!」

「マスター、ウンコの知り合いがいたんですね~」

「ノアの姉御も一緒なんっすね!」

「お前もな!」


 俺とノアに声をかけてきたのは、見知った双子のウンコだった。いや、シャンウィ君とシェンファちゃんだ。


「シェンユさんも、こんにちはです。こんな頭ですけどシェンファです」

「こんにちは。大丈夫! クラスメイトの顔ぐらいは分かるよ。ウンコ頭でもね!」


 シェンファちゃんは、ちょっと嫌そうな顔をしている。


「これは、な、なんの集まりです?」

「年末の祭りの為に、今年から参加できる孤児院の子供達、皆で買いに来たのですぅ。ウチでは安全の為に8歳以上からの参加と決めているのでぇ」

「それは、分かりました。そんな事よりも、何故トイレで詰まって溢れてしまった。みたいな事になってるんですか?」

「ちょっと、マスター! 言い方! それじゃあ、濡れてますよ! 形をしっかりと保ってるんですから、溢れかえった。ではなくて、流れなかった。が正解です」


 どっちでもいいよ! 言い方って、お前が言うなよ!


「俺っすよ。俺がタツキの兄貴がウンコの怪人と遭遇して追い返した話をしたんすよ! そしたら皆がコレを選ぶ事になったんすよ!」

「値段も安いのでたすかりましたぁ。孤児院は、そんなに余裕無いので、皆が喜んで選んでくれたので、ありがたいですぅ」

「なんと! マスターの責任でしたか……」


 知らねぇーよ! 俺の責任なのかよっ!

 だいたい、なんで、こんなラインナップがあるんだよ! 誰だよ、コレを売っているヤツ!


 俺が目を光らして辺りを見回すと、すぐ近くに祭りの出店のような、ウンコの被り物が並べられている、お面屋があった。その隣に他の怪人の被り物や、ドラゴンなどの木製お面が何種類かあった。どれも棘や鱗など細かく再現されている。


 何故ウンコが安いのか分かってしまった。

 あのウンコは作るのが簡単なんだ。前後左右が同じ形になっているから木から削り出すのが楽なんだろう。なので価格を抑えられるかもしれん。

 赤く着彩までされた1点しかないドラゴンのお面なんて、ウンコの10倍もディティールが細かい。もちろん値段も10倍するぞ! アレはちょっと俺が個人的に欲しいなぁ~


「マスター? 何を見てるんですか。まさか、マスターもお面が欲しいんじゃないでしょうね?」

「違うわい!」

「そうっすよ! タツキの兄貴が面役は困る。我儘亭の学生は毎回、冒険者役をするんだろ? 俺達はウンコ怪人になって、タツキの兄貴に追い払われたいんだから!」


 ウソだろ! なんで、そんな事に憧れるんだよ!


「ウンコ頭の子供をオモチャの剣ではたくマスターですか…… 笑えますね」

「ジンリーさんは、大笑いしそうだね」

「ダメだー! それは、ダメだろう! ノア!」

「はい。マスター!」

「あの龍の面で安めのヤツを人数分買ってこい! 財布が空になっても、かまわん!」

「よろしいのですか?」

「足りなかったら、お前も出せよ。給金もらってるだろ? それに、シャンウィ君とシェンファちゃんには、帝都で迷惑をかけただろう?」

「アイアイサー!」


 ノアの手持ちでは少しだけ、お金が足りなかったので、シェンユから借りて9個の龍の面を買った。孤児院の子供達にその場でプレゼントしたけど、さすがに申し訳ないと言って、保護者のツアンニェさんが渋ったので、いたしかたなくウンコの被り物と交換してもらった。

 みんな、すっごく喜んでくれたので良かった。


 けど俺には、新たにシェンユへ少しだけの借金と、使い道が分からないウンコの被り物9個が手元に残った。


 あの赤い龍の面は欲しかったなぁ。ドラグマン・レッドのコスチュームに使えそうだからな。12月の支給金が出たら、また来よう。その時まだ売れ残ってたら絶対に買う。

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