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魔女が真龍に仕掛けた我儘戦争(仮です。迷走中です。少し変えるかもです)  作者: 漆本李彩(しつもと りあ)
第二章 冒険者学校は才女だらけ?!
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第110話 閑話 動き出す者達

【帝都テンルウの北西、屍龍の遊び場の最南端】


「おぉ。2人とも無事だったか。まさか俺が最初に戻ってくるとは思わなかったから、伏兵にでもやられたかと思ったぜ?」

「まぁ、そんな所じゃ」

「なんだって! 伏兵もいたのか!」


 俺は目の前の相手に集中する為に、周囲の警戒をオルドとリトルに全て任せた。氷雪地帯を選んだから、並の奴等じゃ近付くことすら出来ないと思ってたが……


 うーん。警戒を怠り過ぎたか?


「すみませんジークさん。僕が気付けなくて……」

「いや、アレは仕方あるまい。まさか、あんなのが居るとはな。俺も気づくのが遅れた。だが安心しろジーク。青髪女とは関係ない奴だ」


 リトルは、青髪女が空間を曲げて外に出れないように、結界魔法を使ってたハズだ。ならば、氷雪地帯に普通に入ってきたのか?


「それで何者だったんだ?」

真龍人(マリュウト)、ヘカトンケイルだよ」

真龍人(マリュウト)だって?! アイツ等って、まだ5体ぐらいしか確認されてないんだろ? なんで、そんな奴が居たんだ?」

「おそらく偶然だろう。大魔女サヤに致命傷を与えた真龍人(マリュウト)、その弟子とされる真龍人(マリュウト)の3人は、その後に新たな主人を探して彷徨ってる。と聞いた事がある。ヘカトンケイルは、その内の1体だったハズだ」


 やっかいな奴だな。この300年近く遭遇した事無かったハズ。何故このタイミングなんだ?


「オルド。俺とヘカトンケイルなら、どっちが強い?」

「間違いなく、お前だ。だか、かなり消耗するだろう。出来れば、戦わない方が良いな」

「オルドなら倒せるか?」

「分からん。奴は肉弾戦を好むという。俺の老いた身体でどこまで対抗出来るだろうか」

「ジークさん、オルドさん、早めに移動しませんか? ここの腐敗臭は、ちょっと辛いですね」


 この屍龍の遊び場は、3体のゾンビドラゴンが不毛な戦いを続けている。近づく生き物を全て殺して、己の配下として、腐敗した身体で復活させては、戦わせ続けている。

 おかげで、あたり一面、腐った地になってしまっている。


「リトルは、まだ自身を守る魔法の持続力が短いな。氷雪地帯で使い切ったか?」

「そうですね。魔力を効率よく使用するのが不得意です」


 さて、これからどうするか? 真龍人(マリュウト)達も何か情報を持っていそうだが、戦うのは得策ではないか。


「第1大陸に戻るか?」

「そうだな。腕を調べるしかあるまい。ちゃんと取ってきたんだろうな?」

「もちろんだ! ついでに、破片とかも拾ってきたぜ」

「良いですか?」

「どうしたリトル」

「ワナン国の北方に、魔道具の使い手がいると聞いた事があります。その腕は魔力で動いてたんでしょう? もしかしたら何か分かるかもしれません」


 こいつの動力が魔力ってのは、前々から判明していた。そうか魔道具の類いなのかもしれんな。


「聞いた事あるな。元冒険者で引退して魔道具を専門で扱ってる奴だな。現役時代の噂を聞いた事がある。俺と同じで今は60ぐらいのジジィのハズだ」

「行ってみるか?」

「最終的には殺すかもしれんが、良いな?」

「仕方ねぇーよ。人間1人の命で、俺達の呪いが解けるなら、安いだろう」

「それじゃあ、早いとこ移動しましょう! 臭くて、かないません」


 よーし、300年ぶりの進展だ。なんとなくだが、これから世界が動き出しそうな気がするな。



【大平原の東、氷雪地帯の南端】


 おもしれーもんが、見れたな。アレがジークか、最後に会ったのは300年前か? マスターが大魔女と戦った時に、アイツもいたな。

 どうやら、アイツ等は覚えてないみたいだ。どういうカラクリなんだ?


「マスター。お久しぶりです」

「ロキか? 貴様なぁ。俺様をマスターと呼ぶな! って何度、言ったら分かるんだよ! ヘカトンケイルか。マスター・ヘカトンケイルと呼べ!」

「長いのでね」

「可愛くねぇー奴だな」


 このロキは、見た目は可愛い。人間でいうと8歳ぐらいだ。龍人でいうと“誓龍(セイリュウ)の儀”を終えた“童龍期(ドウリュウキ)”にあたる。

 だが、実際は術によって幼くなってしまっただけで、200年は生きてるハズだ。コイツが大人の姿だった時を見た事がある。


 銀髪に白い肌、長い耳、鋭い眼、龍人の特徴を全て持っている。コイツらしさといえば硬い髪質と長髪ってところか?

 そして、言動が見た目と合わない。さらに頭が硬いというか、我儘というか、自分の効率を優先する奴だ。


 可愛くない。


「よく、俺様の居場所が分かったな」

「マスター・ヘカトンケイルは2年毎に、3つの大陸を回ってますから、今はこの辺だろうと思ってました。あとは、しばらく前に気配を感じられたんで。何かあったのです?」

「おうよ! おもしれー事があってな。人族最強のジークと知らない女が勝負してたのよ! あの女がまた、ヘンテコな術を使うからよぉ。女で、あれほど戦える奴は、戦隊の奴等か大魔女ぐらいだな」

「貴女もメスでしょうが」


 俺様も一応メスではあるが、そんな事は忘れた。龍人にとってオスとメスってのは、お互いを支え合って高め合う為の、仕組みであって、人族のような繁殖の為ではない。

 真龍人(マリュウト)となった俺様にはオスは必要ないからな。これ以上強くなるには、強者と戦う事で得る経験だけだと考えている。


「それじゃ、俺のチームと顔合わせしましょうか。少し離れた所に待たせています」

「なんで?」

「マスター・ヘカトンケイルは、龍人達の憧れですから、いきなり会わす前に声をかけたんですよ。前のクレセント・アイズ達みたいにしないで下さいよ?」

「いや、何で顔合わせするだ?」

「迎えにきたから。俺のチームとして動いてもらう約束だったでしょ?」


 そうだった。80年前のDerENWSとの決戦以降に、分かれてから自由にさせてもらってるが、迎えににきたらチームに戻る約束だった。


「となると、アレか? 近いのか? 浄化の日までは」

「正確には分からないが、10年前後かと思ってる」


 なるほど。最近、おもしれー事が多いのは、そのせいかもしれんな。勘づいてる奴等も多いって事か。


「ロキ隊長! 頼むから、あと2年くれねーか? 今、面白くてよ! 空賊の動きも激しくなってるし、怪人も増えてるし、ドラグマン・レッドって変な奴まで現れてる。ちょっと全員と、やり合ってみたいんだ」

「またですか。40年前に呼びに来た時も言ってましたね? すっごい魔力が何とかって」

「そういや、半年前ぐらいに、あの時と同じ魔力を感じたなぁ~」

「仕方ないです。マスターは、自由な奴ってのは昔から知ってますから、必ず2年後にマリーの所に来て下さいね!」

「マリーの旅館は、ワナン国だったな? 分かった。約束だ」

「マスターとの約束は、破られる事が多いので信用出来ませんが」

「それで? お前は何しにエデンに来たんだ?」

「もちろん、アーカディアの為に! いったんマリーの所へ寄ってから、第2大陸を調査していきます。目的はキキとザキの捜索と、DerENWSの殲滅、怪人や戦隊などの強力なレシピエントを見つけ次第、殺します」


 強気な発言だな。まぁ、コイツならやってのけるだろう。


 8体目の真龍人(マリュウト)に1番近い奴、それが、ロキ=クレセント・ソウルだ。



【第3大陸の北方山脈のどこか】


「団長、報告に参りました」

「……」


 人間でありながら、巨大なドラゴンの頬を撫でている男。

 薄い赤髪に細身の身体、眼帯をして、ありとあらゆる生物に、死を撒き散らす様な雰囲気を纏っている男。

 この世で、最も恐しい人間だろう。


「失敗しました。狩れた魂は半分ぐらいかと思われます」

「……」


 そんな事は分かってるだろう。なんせ魂狩りの最終工程を行うのは団長だから。

 魔法か? 魔闘気か? まったく分からないが、数多のドラゴンを支配し、その劫火によって人々を焼き殺す。そして、その魂を何処かへと誘ってるいるのだ。


「龍支配の空賊は、世界に名を轟かせていますが、それ故に対策もされてきていまして、今までのような、やり方では上手くいかなくなってきています」

「……」


 15年。たった15年でギルドや魔女教団と並ぶほどの組織として世界から注目されている。やってる事は大量虐殺だが、全ては世界の為だ。


「そろそろ、世界に真実を話しては如何でしょうか?」

「サヤは孤独だった」

「はっ?」


 この人は、大魔女サヤ様に酔狂している。いつも唐突に大魔女サヤ様の話をしてくる。まるで、友人であるかのように。


「それでも1人で世界の為に動いてた。真実は残酷で、受け入れられるものではいと分かっていたからだ。俺も1人で問題ない」

「ですが、戦力はあったほうが――」

「お前等が戦力になっているのか? 何度も失敗するお前等が?」

「しかし、相手も、A級冒険者やレシピエントなども増えてきており、対策されています」

「そいつらを何故、排除出来ない?」

「その、キキ様が、あまり動いて下さらないので」

「キキは、俺の奴隷だ。俺がそう命じてる。アイツの仕事は魂狩りをする事じゃない。ドラゴンや龍人という強敵と対する為にいる」


 分からない。襲ってるのは辺境の村や、ちょっとした施設。ドラゴンや龍人が居るハズ無い。キキ様の役目は強敵と対する事、なのに、A級冒険者やレシピエント相手では戦ってくれない。


「では、何の為にキキ様は居るのですか?」

「お前等こそ、何の為にいる?」

「我々は団長の意志に賛同しまして――」

「俺は1人でも事を成せる。お前等から先に魂狩りの生贄となるか?」

「いえ! 我々は、我々が、団長の道を作ります! 何としても全ての障害を排除してませます!」

「……」


 近いうちに殺される。団員は居ても居なくても、この人には関係ない。

 私のように団長の考えに酔狂して、空賊に入った者は少ないだろう。ほとんどは血と暴力と虐殺が好きな、どうしようも無い奴等だ。


 団長の目的の為なら死んでも良い。でも、できれば、その道の行く先を一緒に見たい!


「サヤは、色々と思考錯誤していた」

「はい」

「多くの失敗もし、犠牲も払い、より良き方法を求めて様々な方向から挑戦をしていた」

「素晴らしい方です」

「お前等にも、それが必要なのだろう。ドラゴンでは無く奴隷を増やす。半年の時間をやる。全ての団員を鍛え直せ! 次はドラゴンの力は貸さない。お前等だけで魂狩りをするのだ」

「かしこましました!」


 おそらく、次で最後か。そこで結果を出せなければ、全員死ぬ。


 それでも、団長の道の一部となれるのなら、それで満足だ。



【アーカディアのとある施設】


「華神大将、失礼します」

「なんだい?」

「やはり、ここにおられましたか」


 ザキ様の亡骸の保管室。DerENWS 4大将軍の1人、華神大将はここが好きで、よくこの恐しい場所に居座っている。

 DerENWSの創始者とはいえ、死体が保管されている場所なんて、誰も好んで居座ろうとしないのに。


「問題が発生しました」

「問題?」

「はい。まずは報告を。1週間前ほど、フラタギス公国の山にある村が、龍支配の空賊に襲われたそうです」

「へ~。最近、奴等の動きは活発になってるね~」

「そうですね。ですが、全滅は免れたらしいです。最近は撃退される事が多く、奴等も焦っているのかもしれませんな。その目的は全く持って不明ですが、何を焦っているのか」

「世界の為に頑張っていても、世界から嫌われる事はあるさ。魔女教団も、僕らも嫌われてるだろう?」


 確かに、嫌われている。DerENWSは人族の為に率先して龍人やドラゴンと戦っているというのに。

 なのに人々は、問題を起こすな。過激な事はするな。龍人と人族での戦争を起こさない条約を忘れたか? などとギルドの意志にしか賛同しない。

 龍人共がいつ裏切るか分からない。人族が更なる発展を遂げる為にも、龍人共を人族の支配下におかなければ、ならない!


「それで? 問題は?」

「キリュウ様が、また、確認されました」

「空賊が暴れる所に、キリュウの目撃情報か。これで6件目かな?」

「そうです。もう、間違いないかと」

「龍支配の空賊が、何故、ドラゴンを支配出来るか? それはキリュウが参加しているから。という事か」

「おそらくは」

「さぁーて、どうしようかね~。まずは将軍クラスで会議かなぁ?」

「その方がよろしいかと。しかし、問題はそれでは無くてですね」

「他に問題が?」

「トゥエル大将がフラタギスに向かいました。キリュウ様を連れ戻してくると」

「あちゃ~! トゥエルは、我慢出来なかったかぁ~」


 トゥエル大将は、元々はキリュウ大将の下で長い間、中将として付き添ってきた。誰よりもキリュウ大将への忠誠が高く、心配しているのであろう。


 しかし、DerENWSは組織だ。組織のトップがで勝手な事しては困る。


 私が中将でなく、4大将になっていれたら。


「それを含めて会議をしようか。アーガイル中将、呼べる人には声かけておいて」

「了解しました」

「それから、最近のトゥエルはよろしく無い。中将クラスには大将試験があるかもって伝えといて。コレは大将達で決める事だから無いかもしれないけど、一応ね」

「了解しましたぁ!」


 これは、チャンスだ! 成果を出さなければ!


「さぁ! なんか、世界が動き出している気がするよ~。ボク達も大きく動かないといけないカモね!」

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