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第五十六話 新装備と山羊少女

 そんなこんなで一行は、新装備への衣替えを完了させた。


「しかしまあ……今回は今までに無く、派手な色だな」


 春明が着ているのは、「海風の着物」という、青い生地に波の模様が描かれた着物である。以前の雷雲と違い、こちらは水属性と睡眠攻撃に耐性があるらしい。

 また腰に差している刀も変わっている。こちらは「打刀・翔子」という名前である。


「なあ、翔子って誰だか判るか?」

「う~~ん。思いつくのは赤森の天者の一人の名前だけど……まさかね?」


《春明 Lv63 HP 1801/1801 SP 720/720》

《可能装備  武器/刀・槍・弓   身体/和装・和鎧・プロテクター》

《武器/打刀・翔子  身体/海風の着物 装飾1/麻痺避けの腕輪  装飾2/幸運の麒麟像  装飾3/   》

《攻撃力/10780  防御力 8520  魔力 810  敏捷性 198 感覚 180》

《獲得経験値 8807705/20500000》

《スキル   集中 0  気功治癒 10  気功撃 12  気功矢 12  気延撃 20  飛斬 20  百撃矢 30  魂吸撃 20  気功治癒二式 40  気功撃二式 50  気功矢二式 50  気功撃二式 80  飛斬二式 80  百撃矢二式 120》

《リミットスキル   大一撃 30%  大矢撃 30%  台風斬撃 50%  流星矢撃 50%》


 なお、この装備を着替えるときも、女性陣が覗き込もうとしたので、春明はしっかり風呂場に隠れて着替えた。


 装備は他のメンバー分もあった。ハンゲツのローブも、春明と同じ海の柄で、同様に水属性と睡眠耐性の効果を持っているようだった。

 また杖も、前と違って雷属性の攻撃属性を持つ、紫色の魔石付きに変わっている。


《ハンゲツ Lv63 HP 1125/1125 SP 1240/1240 》

《可能装備  武器/杖・短剣・剣   身体/和服・洋服・プロテクター》

《武器/雷精の杖  身体/海風のローブ 装飾1/毒避けの腕輪 装飾2/石化避けの腕輪  装飾3/   》

《攻撃力 5400  防御力 5280  魔力 10800  敏捷性 111 感覚 110》

《獲得経験値 19030007/20500000》

《スキル  ガードアップ 62  アタックアップ 62  マジックアップ 62  スピードアップ 62  ガードダウン 62  アタックダウン 62  マジックダウン 62  スピードダウン 62  TPアップ 50  ゴーストアタック 30  ゴーストズアタック 50  マジックアクア 20  スリープゴースト 30  スリープゴーストズ 60  チャームゴースト 30  チャームゴーストズ 60  コンフュゴースト 30  コンフュゴーストズ 60  オールガードアップ 124  オールアタックアップ 124  オールマジックアップ 124  オールスピードアップ 124  オールガードダウン 124  オールアタックダウン 124  オールマジックダウン 124  オールスピードダウン 124  マジックサンダー 20》

《リミットスキル   ゴーストバイソン 30%  ゴーストワイバーン 50%  ゴーストアサシン 50%》


 ルガルガの斧は形や大きさは、以前使っていたのと変わらず。ただし色合いは、黒塗りの刃に、銀色の刃先だ。恐らく予めルガルガの体型に合わせて用意されたのだろう。ただ刃の腹に、大きく達筆な崩れ字で「雷」と書かれている。雷属性のある武器であることが、実に判りやすく体現されている。

 新防具は、緑と白の色合いのプロテクター。何でもこれは、毒と麻痺の攻撃に耐性があるそうだ。ちなみに以前装備していた幸運の麒麟像は、パーティーのレベル調整のため、今は春明に渡している。


《ルガルガ  Lv63  HP 1840/1840  MP 730/730》

《可能装備  武器/斧・大剣・鈍器   身体/和服・洋服・和鎧・洋鎧・プロテクター》

《武器/雷精の斧・翔子   身体/ヒドラプロテクター  装飾1/混乱避けの腕輪

かこ  装飾2/  装飾3/   》

《獲得経験値 7060047/20500000》

《攻撃力 17040  防御力 9800  魔力 1240  敏捷性 56 感覚 225》

《スキル  集中 0  気功撃 12  怯みの一撃 18  山割一閃 24  大打撃 24  怯みの乱撃 36  気功撃二式 48  怯みの一撃二式 72  山割一閃二式 100  大打撃 100  怯みの乱撃二式 150》

《リミットスキル  命の一撃 30%  大ブーメラン 50%  国割一閃 50%》


 そして最後が金山 浩一である。彼の装備もきちんと用意されていた。どうやら全て予定調和だったようだ。

 彼が着ているのは緑色のジャージだった。春明の世界の、中高の運動部が着てそうな、地味な服である。

 手に持っているのは一丁の大型拳銃である。デザートイーグル並のサイズで、黒い色のエネルギー銃だ。彼女の最初の装備と違って、二丁装備ではない。


《浩一  Lv65  HP 1988/1988  MP 790/790》

《可能装備  武器/刀・槍・銃  身体/和服・和鎧・プロテクター》

《武器/ドラゴンスレイヤー  身体/ヒドラスーツ  装飾1/   装飾2/   装飾3/   》

《攻撃力 5890  防御力 5970  魔力 1600  敏捷性 520  感覚 210》

《スキル  雷神斬り 12  風神斬り 12  闇斬り 15  プラズマブレッド 12  煙幕弾 15  雷神斬り二式 50  風神斬り二式 50  闇斬り二式 50  プラズマブレッド2 50  サンダーショット 50》

《獲得経験値 10000025/25500000》


「ところでこれどうすんだ? 置いてく?」

「そういやこれ何なのかしらね? 私のと同じみたいだけど……」


 皆が新装備を着終えた辺りで、ルガルガが手にある物を持ってそう言い出す。そこにあるのは、ハンゲツが装備しているのと同じ、海風のローブと雷精の杖である。

 何故同じものが二つ?と思ったら、よく見るとこれ、ハンゲツが装備しているよりも遥かにサイズが小さい。まるで子供用の道具である。正直このサイズを着れる者は、今この場にはいない。


「ああ……それは多分、次の仲間の魔法使い用の装備だろうな」

「次の仲間って……この島誰もいないんだけど」

「ゲームマスターが、何か当てを探してくれるんだろ。とりあえず持っていこう」


 疑問に感じながらも、春明はそれらの装備をアイテムボックスに仕舞う。そして一行は、ゲームでの次のイベント先である、この島に本当にあるのかも判らない、遺跡を探しに出発した。






 春明達一行が町を出て、森の中に入り込んでから、数分ほどたった辺りの時間。

 町の港湾内の海に、一隻の船が来訪していた。既に放棄された無人島に、この日になってまさかの外からの来客である。

 エンジン付きのボートで、かなりの速さで外海から湾内に入り込み、そのまま港の桟橋に、急ブレーキをかけて到着する。そしてその船に乗っていた者が、この港に足をつけた。


「何これ? 全然人いないじゃん? ちょっと~~誰かいませんか!?」


 船から下りてきたのは、何と子供であった。見た目十代前半ぐらいの少女である。Tシャツの上に白いローブを身に纏っており、手には木製の魔道杖が握られている。どうも魔道士のような装いの幼い娘だ。

 肌は黄色で、髪は薄茶色。そして頭には、山羊のような二本の角が生えている。よく見ると彼女の足には、靴が履かれていない。半袖のズボンから伸びる足には、髪の色と同じ薄茶色の毛で覆われており、足には偶蹄類の蹄がついている。

 彼女はどう見ても純人ではなく獣人だ。春明達が以前、ゲール王国で出会ったラッセルと同じ、ザネン族である。


 彼女はしばらく声を張り上げて人を呼んだが、誰も来る気配がない。仕方なく少女は、港の桟橋を歩き、町の中に入ろうとしたときだった。


「あああっ! 人だ! 人がいたのか!」


 この時になって少女の元にやってきた者がいた。それは先程浩一から逃げた、あの提督である。

 港湾付近の石造りの道を走り、先程声が聞こえた方へと、走り寄ってくる。そして提督と少女が、港の近くで顔を見合わせた。


「この島の娘か!?」

「この島の人ですか!?」


 双方同時に発せられた、お互いの問いかけ。その問いかけで、両者の問いが否定されていた。

 少女は「あれっ?」と首を傾げ、提督の方をつぶさに見る。最初に次の問いかけをしたのは、提督であった。


「お前はこの島の者ではないのか? どこからきた?」

「ここからちょっと離れたキュウイ王国の方から……おじさんは誰? キュウイの人じゃないの?」

「むっ!? まっ、まあ……色々あってな。不本意だが、今はこの島に滞在しているのだ」

「あっ、そうか! おじさん、漂流したんだ!」


 あっさり相手の事情を理解した少女が、ためらいなくそう口にする。それに提督は、屈辱的に顔を歪ませるが、どうにか気を取り直して、少女に再度問いかける。


「おっ、お前は外から来たのだな!? では船はあるか!?」

「うん、あるよ。あっちに」


 少女が指差したのは、すぐ近くの桟橋にかけられている一隻のボート。かなり年季の入っていそうな、ボロボロの船である。これを見て提督が、目をパチクリさせる。


「あ……あれで来たのか?」

「うん。そうだよ」

「あんなもので……ちゃんと帰れるのか?」

「う~~ん、それなんだけどね。ちょっと困ってるんだ。帰りの電力が、もうないんだよね」

「はぁ!?」


 提督の唖然とした顔が、今度は驚愕に変わる。折角この島から出る船が見つかったと思ったらこれである。


「お前、そんなものでどうやって戻るつもりだったんだ! というか、そもそもこの島に何しに来た!?」

「いやぁ~~勇者様を探しに来たんだけど……補充はこの島ですれば良いって思って、めんどくさくて何もしなかったんだよね」

「勇者? いや、そんなのでよく海に出たな! この島は廃棄されてて、誰もおりはせんわ!」

「ああ……やっぱりそうなんだ? どうしよう? 勇者様がどうにかしてくれるかな?」


 帰還の手段がない深刻な状況に、少女の顔にここにて焦りの色が見える。あまり計画性のある性格ではないようだ。


「くそっ! 他の島に連絡することはできんのか?」

「ああっ……そういえば無線機も持ってきたんだった。あれで家に繋げれば……」

「何!? 本当か!?」


 無線機の話を聞くやいなや、提督は少女の乗ってきたボートに飛び込んだ。そして中にある荷物を次々とひっくり返して無線機を探す。


(うわあ……こっちにいいかも聞かないで。失礼な人だな……)


 そんな恥知らずな大人の姿を、少女は呆れながら見ていた。

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