プロローグ
俺はこれまでの人生で、いったいいくらの金をギャンブルで失ったのだろう。
数千万円か。それとも億を超えているのか。
正直なところ、もう分からない。いや、分からないというより、計算するのが怖いのかもしれない。
パチンコ、競馬、カジノ、ポーカー、そして野球賭博。
思い返せば、俺の人生にはいつもギャンブルがあった。
勝ったこともある。一晩で、普通のサラリーマンが何か月もかけて稼ぐような金を手にしたことだってある。
だが、不思議なもので、勝った金が今どこにあるのかと聞かれれば、何も残っていない。
負けた記憶は山ほどあるのに、勝った金だけがきれいさっぱり消えているのだ。
借金もした。住むところを失ったこともある。
会社を経営し、それなりに成功した時期もあった。そして、その会社まで潰した。
普通の人間なら、一度そんな目に遭えば懲りるのだろう。ところが、俺は懲りなかった。
何度失敗しても、次こそは勝てると思ってしまう。
今になって考えれば、何とも馬鹿な人生だ。
それでも、すべてが不幸だったかと聞かれれば、そうとも言い切れない。
勝負に勝ったときの興奮。負けたときの絶望。
金がなくなった翌日に、また金を手にすることばかり考えていた自分。
そんな日々を、俺は確かに生きてきた。
もし人生をやり直せるとしたら、俺はギャンブルをしない人生を選ぶのだろうか。
その答えには、今でも自信がない。
ただ一つ言えることがある。
俺の人生を大きく変えた最初の勝負は、たった300円から始まった。
あれから、およそ40年。
すべては、高校生だったあの日に始まったのだ。




