第3話 地下で過ごした「数年」と、様変わりした現代
第3話をお読みいただきありがとうございます!
今回は地上へ生還したレンと、スカウトを狙うリンちゃんの掛け合い回です。
本文に入る前に、主人公とヒロインのビジュアル紹介を載せておきます!
◆ 一条 レン(177cm / 21歳)
黒髪ニュアンスパーマの細身体型。地味な見た目だが『無効』スキルでダンジョンの絶対ルールを全て壊していく無自覚男。
◆ 天音 リン(158cm / 19歳)
プラチナブロンドのハーフツインテールが特徴の元トップランカー配信者。ツッコミとリアクション担当。
3年の時のズレに困惑するレンと、絶好の逸材を逃したくないリンちゃんのテンポ良い会話をお楽しみください!
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ダンジョン最下層からの緊急脱出を終え、配信を切った天音リンに連れてこられたのは、都心に聳え立つ巨大な高層ビル――大手探索者事務所『ライブラ』の本社ビルだった。
「……あの、天音さん。ここ、めちゃくちゃ綺麗なオフィスビルに見えるんですけど」
「そりゃそうだよ。ここが私の所属してるギルド兼プロダクション事務所だからね」
通された高級応接室で、レンは運ばれてきたお茶を一口すすり、ふと壁のカレンダーに目を留めた。
「……ん? 天音さん、あのカレンダーの日付、年が違ってませんか?」
「は? 違わないよ。今年度最新のやつだけど」
「え……? 俺、ガルバさんたちに落とされてから、迷路みたいな最下層を二〜三日くらい散歩してただけなんですけど……」
レンの言葉に、リンは絶句した。
「二、三日……!? レンさん、あなた……あそこ(最下層)に落とされたのっていつなの!?」
「えっと、〇〇年の四月です」
「……嘘でしょ。今、そこから整々三年経ってるよ!?」
「ええぇぇ!?」と声を上げたのはレンの方だった。
最下層の『絶対即死ゾーン』は空間と時間の歪みが激しく、内と外で時間の進み方が壊れていたのだ。
レンにとっては「追放されてから二、三日迷っていただけ」の感覚だったが、地上では丸三年という月日が流れ、レンはとっくに「死亡扱い」となっていた。
そしてその三年間のうちに、世界の探索者事情は激変していたのだ。
かつてレンが知っていたダンジョン攻略は、泥臭くモンスターと戦う過酷な裏稼業だった。
しかし現代では、ダンジョンから産出される魔鉱石が新エネルギー源として定着。探索者は公的ライセンス制の花形職業となり、さらにダンジョン内の特殊魔波を利用した『ダンジョン生配信』が大ブームを巻き起こしていた。
トップ探索者はアイドル以上の人気を誇り、企業スポンサーや投げ銭で億単位を稼ぐ時代――それが、レンが三年の間に置き去りにされた「現代」だった。
「……つまり俺、死亡扱いされてる上に、浦島太郎状態で、しかもさっきの言動が全国に生放送されてたってことですか?」
「そう! 最終的に同接三〇〇万人オーバー! 『三年ぶりに生還した即死無効の男』ってトレンド大爆発中だよ!」
頭を抱えるリン。
何しろ、最下層のバグ級デスルールを「ぬるま湯かな?」とスルーしたレンの存在は、今の業界の常識を根底から覆す大事件だったのだ。
「でね、行き場もない死亡扱い状態のレンさんに提案なんだけど……」
リンは身を乗り出し、真っ直ぐにレンの目を見つめた。
「うちの事務所で身元を保証して再登録の手続きをしてあげる! その代わり、私と専属の配信ペアを組まない!?」
「えっ、俺をですか? でも俺の『無効』なんて、ステータスも上がらないゴミスキルですよ?」
「毎秒一万の即死呪いを『ぬるま湯』ってスルーして三年間生き延びたゴミスキルがどこにいるのよ!!」
身を乗り出してツッコミを入れてくるリンに、レンは圧倒されながらも、どこか嬉しそうに苦笑するのだった。
最後までお読みいただきありがとうございました!
「ちょっと散歩してたら三年経ってた」というトンデモ事実が判明したレンくん。
元パーティのガルバたちが今どうなっているのかも気になるところですね……!
次回更新は【明日21:00】を予定しております!
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