第1話 死の呪いが消えない男
『ダンジョン無効化』をお読みいただきありがとうございます!
「せっかくの固有スキルが『無効』なんて地味すぎる……」と追放された主人公・レンですが、実はダンジョンの理不尽なルールすら全スルーできる激ヤバ能力でした。
どん底からの爽快な勘違い&無双劇を楽しんでいただけたら嬉しいです。
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「おい、レン。お前はもうクビだ」
薄暗いダンジョン第十五層。
リーダーの黒騎士・ガルバが冷ややかな視線を投げかけてきた。
「え……ガルバさん、どういうことです……?」
「言葉通りの意味だよ」
ガルバの背後に立つパーティメンバーたちが、あざ笑うように口元を歪める。
「お前が神から与えられた固有スキル『無効』。鑑定師に見せたら『ステータスや属性変化を一切受け付けないだけのゴミスキル』だとさ。攻撃力も上がらん、魔法も使えん。ただの荷物持ちにしかならん奴に、貴重な報酬を分配する余裕はないんだよ」
「でも、俺がアイテム袋を運んでいたから、ここまで潜ってこれたんじゃ……」
「黙れ! クズが言い訳するな!」
ガルバが俺の胸元を強く突き飛ばす。
たたらを踏んだ俺の足元は、ダンジョン最下層へと続く【奈落の穴】だった。
「ひ……っ!?」
「ハハハ! ちょうどいい、ここは足を踏み入れた瞬間に全身の肉が腐り落ちるっていう『絶対死の怨嗟』が満ちた穴だ! 骨すら残らず消えて失せろ!」
浮遊感。
次の瞬間、俺の身体は真っ逆さまに暗闇へと落ちて行った。
上空から聞こえる嘲笑声が遠ざかっていく。
視界が真っ黒に染まり、やがて強烈な衝撃とともに地面へ激突した。
――ズドンッ!!
「ぐっ……!!」
全身を打ち付けた痛みに耐えながら、俺は這い上がるように身体を起こした。
息を整え、周囲を見渡す。
「……痛たた。生き……てるな」
そこは、赤黒い霧が立ち込め、地面には数多の冒険者たちの残骸(骨)が転がっている不気味な空間だった。
『――ガガ……侵入者、検知――』
頭の中に、機械的なダンジョンアナウンスが響く。
『――エリア効果【絶対即死の怨嗟】発動。毎秒10,000の不可避スリップダメージを与えます――』
赤黒い霧が一斉に渦を巻き、俺の身体を包み込んだ。
……なるほど。ガルバの言っていた通り、ここに入った者は一瞬で肉体が腐り落ちて死ぬらしい。
だが。
『――エラー。侵入者のスキル『無効』により、状態異常・ダメージ判定を棄却します――』
『――エラー。ダメージが通りません――』
『――エラー。対象は『死亡』できません――』
俺は首をかしげた。
「……? なんか、ちょっと温かい風が吹いてるな」
赤黒い怨念の霧は、俺の肌に触れた瞬間にただのぬるま湯のような心地よい風に変わり、消えていく。
「スキル『無効』って……攻撃力は上がらないけど、要するに『ダンジョンのルールやデバフを全部無視できる』ってことか……?」
試しに、地面に設置されていた【触れると即座に全身が石化する魔法陣】を土足で踏みつけてみた。
『――エリア罠【絶対石化】発動――』
『――エラー。無効化されました――』
カチャ、と軽い音がして罠が壊れた。
「……うん、やっぱり何ともないな」
理不尽な死の罠も、即死の呪いも、俺にとってはただの「背景」でしかないらしい。
「よし。とりあえず追放されたし、ここから自力で地上に帰るか」
俺は装備の埃を払うと、冒険者たちが「一瞬で全滅する」と恐れおののく最凶のデスゾーンを、散歩感覚でのんびりと歩き始めた。
この時、俺はまだ知らなかった。
このダンジョン最下層に、なぜか「デスゲーム配信」を撮影するために潜入していた元トップランカーの美少女配信者がいて、俺のこのイカれた挙動が全チャンネルに生放送されているということを――。
最後までお読みいただきありがとうございました!
即死の呪いを「ぬるま湯」と言い切るレンくんの明日はどっちだ……。
そしてこの後、状況を理解できていない美少女配信者とバズりコメント欄が大変なことになります(笑)。
次回、「え、これ生放送中なんですか?(無顔)」
お楽しみに!




