会敵②
「おい……何度も言わせるなよ。俺様は誰の意見も聞かねェ! 目的を果たした後は、邪魔な領民どもを狩り尽くして、その全てを俺様の手中に収めるのさ! 目撃者を全員殺しちまえば、協定違反なんぞどうとでもなるしなァ! ハッハッハ!」
「――そうか。出来れば平和的に済ませたかったのだが、残念だ」
フレアルドの発言を受け、レオナルドは心底落胆した。
一軍を預かるものがこのような思考で良いものなのかと。
戦いになるのは予想していたことではあるが、高らかに笑うフレアルドからは、一片の慈悲も感じられない。
出来ることなら、アースのように種族のしがらみに関係なく手を取り合うことを願っていたのだ。
しかし指揮官がこれでは、望み薄だろうと結論付ける。
「――んだァ? そのいけすかない態度はよォ! いいぜ、まずはテメェからだ! 死にやがれ!」
そう言ってフレアルドが手の平をレオナルドへと向けた瞬間、岩影で身を潜めていたアースが二人の間へと飛び出す。
「レオナルド! いったん退くぞっ! 『天地創造』!」
アースが地面に手を付き、フレアルド達の視界を覆い尽くすほどの岩壁を出現させる。
それと同時に、フレアルドの手の平から激しい炎が迸るが、アースが作った巨大な岩壁によって阻まれる形となった。
「――――クッ、クハッ! ハーッハッハ! いたぞ……! いやがった! 間違いない、今のはアースの野郎だ!」
一瞬ではあったが、フレアルドの目にはアースの姿がはっきりと見えた。
アースの生存を確認、そしてそのアースが目の前に現れたことで、フレアルドの感情は高まる一方だった。
「こんな壁を出したところで、俺様には無意味だぜ! オラァァァッ!」
先程の炎は小手調べだったと言わんばかりに、今度は両手をかざし炎を放射し続けるフレアルド。
その直撃を受けた岩壁は、ドロドロと溶けて徐々にその形を変えていく。
進路を塞ぐ壁が無くなるまでそう時間はかからなかったが、開けた視界の先には既にアースとレオナルドの姿は無かった。
「フン! 時間稼ぎのつもりか? いいぜ……とことん追いかけてやるよ……! 行くぞお前ら、全軍突撃! ただし、アースの野郎は俺様が殺る。絶対に手を出すんじゃねェぞ! お前らは他の人間族を皆殺しにしろ! わかったか!?」
「――了解しました。各小隊、分散して――」
「何勝手に指示してやがる! 指揮権はこの俺様にあるんだ、全員このまま突っ込め! 人間族……それも民間人相手なら小細工なんていらねェんだよ!」
「――了解、です」
隊長であるゴラウンが指示を出そうとするが、フレアルドによってゴラウンの指揮権が剥奪される。
それは今に始まったことではないが、ゴラウンは苦虫を噛み潰したような表情でそれに従う。
フレアルドを先頭に、滅戯竜隊が続く。
敵が潜むであろう、既に目視できる位置にあるリーフェルニアの街を目掛けて。




